TOSHIMITSUから青春ヶ丘俊光へ、「THE BEST4」で表現した音楽への情熱 (2/2)

やればやるほど好きになる

──歌やラップのスキルが上がっていることを実感するのは楽しいですか?

楽しいです。「まだまだ歌もアカンしな」という気持ちはありますけど。だから本当に細かいことを考えてる余裕はなくて、一生懸命歌うしかないんです。僕はソロの活動を始めたのがそもそも遅いので、とにかく必死でやるしかない。それでライブはできる限り1日2回やってるんです。本数を少しでも増やさないとほかの人に追いつけないので。歌うことが好きなので、1日2回やることに対してキツいと思ったことはないですね。やればやるほどライブが好きになってます。動画クリエイターとしての活動にはそういう思いが全然ないのが不思議なんですけど(笑)。

TOSHIMITSU

──音楽活動とはモチベーションの質が違うんですね。

そうですね。YouTubeはぬるっと始まっちゃったものが、いつまでもぬるっとしているというか。今の若い子たちは有名になろうと思ってYouTubeを始めてる子が多い気がするんですが、早くから動画クリエイターとして知られてる人たちにはそうじゃない人が多いと思うんです。Fischer'sとかもたぶんそうで。

──そうなんですね。

僕らもなんとなくカメラを持ち始めた感じなので、今みたいな状況になっているのがありがたいですね。動画クリエイターとしてそれなりの使命感を持つようになりましたけど、YouTubeをやる前から好きだったのがSMAPであり音楽なので、少しでもSMAPのようなアーティストに近付きたいという気持ちがあります。音楽活動では周りに負けたくない気持ちが強いですね。曲を出す動画クリエイターはたくさんいますが、ライブをコンスタントにやってる人は少ないので、まずはライブを観てほしいんです。そのためにもっと自分から積極的にアプローチをしていきたいという気持ちが強くなってます。観てもらった結果、「あいつ大したことなかったな」と思われてもいいんです。そう思われたら「またがんばるので期待して待っててください」という気持ちになるので。

TOSHIMITSU
TOSHIMITSU

夢を語ることはおかしいのか

──9月から始まるツアーはどんな内容になりそうですか?

「全力疾走ツアー この漢 青春ヶ丘」というツアータイトルなんですが、初めてライブをやる土地もいくつかあるので、今まで以上に気合いが入りますね。前回のツアーの感触もよかったんですが、初めて来てもらえる人が毎回すごく多くて。僕は内内で楽しむつもりはないので、あえて外という言い方をしますが、アウェーでも戦えるようなライブができるよう準備していきます。

──「THE BEST4」の収録曲「SPLENDOR」はTOSHIMITSUさんにとって音楽を楽しむことがどういうことかを歌った曲に聞こえました。

そうですね。ライブに限らず、いいものを見たときに僕は感情があふれてくるので、その気持ちを忘れないようにメモるんです。飾らずシンプルな表現だからこそ素敵に見える。それを詩的に表現しても、誰かの真似をしたようなものになってしまって自分のものではなくなってしまう気がするので、自然とまっすぐな歌詞になりますね。「SPLENDOR」の歌詞はフェスでとあるアーティストのライブを観たことをきっかけに生まれたんです。そのときのライブに参加しているお客さんが、本当に幸せそうな顔をしていて。ダイブしてはまた客席に戻って、またキャッキャッ楽しそうに笑っていた。それを見て「最高だな!」と思ったんです。ライブ中に飛沫が上がるような汗とか、お客さんの笑顔とか、そういう景色は本当に輝いてるなって。それを思い出しながら歌詞にしました。

──「SPLENDOR」の次に、「嗚呼 青春が終わるくらいなら バカのままでいい」と歌う「I don't stop playing!!」が来るという流れがまた青春感があります。

ちょっと「NARUTO」っぽい歌詞ですよね(笑)。僕は「NARUTO」も大好きなので影響が出てるのかもしれないです。誰になんて言われようと関係なくて、自分が最高だと思ったものは最高のままだし、それは誰にも否定させない。その気持ちを爆発させたくて、その歌詞をサビの頭に持ってきました。

──「I don't stop playing!!」は「Hey! 夢をうたってみた ねぇ! 何故か笑われた」という歌詞から始まりますが、これは熱いことを言うと冷笑されがちだという意味で歌っているのでしょうか?

はい。動画クリエイターが曲を出したり一生懸命ライブをしても、「誰かの真似事だ」とか「カラオケだ」と言われることがあるんですよね。あと、学生時代に友達に「こういうふうになりたい」と言っても「そうはなれないよね」と否定されたことも思い出しました。夢を語って笑われると「僕がおかしいのかな?」と思う。そういうことをちょっとムカつきながら歌詞に書いて、明るく歌ってみました。前のアルバム(「THE BEST3」)に入ってる「夢で逢いましょう」という曲も、いろいろ言われて「うるさいな」とムカつきながら作った曲ですね。

TOSHIMITSU

──歌詞もツアータイトルも全力で自分ができることをやるという強い意志を感じます。

僕の場合、やっぱり感情をむき出しにしているほうが自分らしさが伝わると思うんですよね。YouTubeでも感情をあらわにしてますし。今さら着飾ることはできないし、やらない。昔は意識してなかったんですが、今は動画クリエイターであることが音楽活動において強みになるなと思ってます。

──「I don't stop playing!!」に「どんな夢でも輝けるさ 恥ずかしがらずに語ってみな」という歌詞がありますが、それは動画クリエイターとして成功し、音楽活動でも階段を上がり続けているからこそ書けた歌詞なのでしょうか?

自分が成功していると思ったことはないんですよ。傍から見たら大成功で、確かに何不自由なく生活させてもらってはいるんですが、それが動画クリエイターとして成功しているのかと言われると、よくわからないというか。東海オンエアのメンバーで今の自分に満足している人は少ない気がする。もっと上に行きたい気持ちがあるんだと思いますし、結局遊びなので極力仕事にしたらいけないと僕は思ってます。だからYouTubeはがんばらない。音楽もあくまで娯楽ではあるので、なるべく自分が歌うものは暗い曲ではなく楽しい曲にしたいと思っています。

SMAPのライブを観てニヤニヤ

──SMAPのように夢や希望を与えるようなアーティストでありたいという気持ちが強いんでしょうか?

そうですね、本当に好きですから。いまだにSMAPのライブ映像を観ながらニヤニヤしてます(笑)。

──どういうところに心を動かされるのでしょう?

圧倒的なスターのオーラがある、ステージ上の振る舞いですかね。一挙手一投足から目が離せないというか、瞬きすらしたくないと思う。自分もそう思われるアーティストになりたいですね。

──そのために意識してることはありますか?

どうすればいいのか考えるのが楽しいんですよね。SMAPのコンサートのDVDを観ながら友達に「この指の差し方を見てくれ」とか「この帽子の角度を見てくれ」とか「この首の角度と目線が完璧だから」とか言ってるんですけど、普通ならさらっと流してしまいそうなわずかな所作まで完璧なのが、まさにスターですよね。僕は不細工ですが、自分なりにそういう意識をしながらライブをやってます。ライブ中、記憶に残り続けるような瞬間を少しでも多く作りたい。歌うだけがライブじゃないし、いいMCをするだけがライブじゃないと思ってます。

──TOSHIMITSUさんの楽曲にさまざまな展開が盛り込まれていて、ライブでの見せ場が作りやすいものが多いのは、そういう思いが関係しているんでしょうか?

そうですね。大げさな動きができる曲が多いですよね。僕は決してスマートではない、ちょっと仰々しい動きをすることが多いんですが、それがやり切れるといいライブになる。ステージ上では日常生活では絶対にやらない振る舞いができるから、ライブが好きなんです。僕のステージでの動きは不格好かもしれないけれど、誰の真似事でもないですし、そういう自分を見て勇気を持ってくれる人がいたらうれしいですね。

TOSHIMITSU

ライブ情報

青春ヶ丘俊光 1st ONEMAN「全力疾走ツアー この漢 青春ヶ丘」

  • 2024年9月7日(土)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2024年9月16日(月・祝)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
  • 2024年9月22日(日・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2024年9月28日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2024年10月11日(金)宮城県 Rensa
  • 2024年11月2日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2024年11月3日(日・祝)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年11月17日(日)東京都 Spotify O-EAST

プロフィール

TOSHIMITSU(トシミツ)

愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組動画クリエイターの東海オンエアのメンバー・としみつのアーティスト名義。2019年6月にソロアーティスト・TOSHIMITSUとしてデビュー作品「THE BEST」をリリースした。最新作は2024年6月発表のEP「THE BEST4」。アーティスト名義を青春ヶ丘俊光に変更し、9月から11月にかけてライブツアー「全力疾走ツアー この漢 青春ヶ丘」を行う。