簡単に成功できるとは思ってない

──サウンド面としてはアゲアゲのEDMですが、こういうサウンドに馴染みはありましたか？

和泉　初めてオケを聴いたときは「このオケにどう歌が乗るんだろう？」って思ったんですが、歌詞が乗ったときに「こういう感じになるんだ！」とすごく感動しました。個人的にはEDM系は苦手なんですが、歌い続けていくうちに大好きな曲になりました。

田口　僕はバラードのほうが歌いやすいんですが、ライブを重ねることによって、EDM系の曲のほうがよりお客さんがノリやすいことを実感していきました。フロアで声出しもできるようになったので、なおさら盛り上がりを感じますね。

山崎　僕は初めて聴いたとき、Repezen Foxxの曲っぽいなと思いました。僕としてもすごくノリやすい曲です。

千葉　こういうサウンドはテンションが上がりますよね。ファンの方たちも「わんドリーム」が一番盛り上がってくれているなとライブ中に実感します。

──ライブでのテンションを音源に封じ込めるにあたって、どのような点を意識しましたか？

森　僕は歌が苦手なんですが、社長から「お客さんがノっているところを想像して歌ったほうがいい」とアドバイスをいただき、楽しみながら歌いました。

千葉　僕はテンポがすごく速いラップパートで「あれ？ あの子可愛くない？」と歌うときにファンの方を指差すことがあるんですが、そういうライブでの僕の姿をイメージしてもらえるような歌い方を意識しました。

和泉　僕はリーダー（田口）の歌い出しに続くパートを担当していますが、サビの直前なので徐々にボルテージを上げていくようなテンションを意識しました。

田口　僕としては「黙って見てな ついてきてみな」っていう歌詞に注目して聴いてほしいです。ライブでも特に力を入れて歌っているパートなんですが、音源では歌声の強弱を際立たせるようにがなり声を入れたりしています。

山崎　僕はボーカル担当なので、ライブ前にみんなを集めて「ここはこういうふうに合わせよう」といったことを話しているんですが、「わんドリーム」は5人それぞれ声色も歌い方も違う中で、「みんなが個性を爆発させて歌ってほしい」という話をしました。ToP DoGの個性を生かしたボーカルに注目してもらいたいです。

和泉　僕は、普段からよく見ている「THE FIRST TAKE」でやってるような、マイクの前でヘッドフォンを装着して……みたいなことを実際に自分もできていることに楽しくなっちゃいました。

山崎　僕はレコーディングをすることが1つの夢だったので、それが叶ったことで地元・福岡のみんなに自慢したいなと思いました。歌うことが本当に好きなので、またレコーディングをしたり、歌う機会がどんどん増えたりすればいいなって思っています。

田口　僕は前のグループでもレコーディング経験があったのでそこまで緊張しなかったんですが、ライブとレコーディングは全然別物なんだなと改めて感じて、もっと歌がうまくなりたいと思いましたね。

──田口さんのパートの「奴らの思い背負いつつ」という歌詞には、以前所属していたグループへの思いが込められているんでしょうか？

田口　そうですね。森が付けてくれた振付にも、前のグループのダンスパートが盛り込まれているんです。

森　社長からは明確に「この歌詞は（田口が所属していた）前のグループのことを指している」という説明をされたわけではないんですが「そういうことなのかな」と汲み取って、前のグループの振付を取り入れました。この振付を社長に提案したらそのままOKをもらえたのでうれしかったです。

──全体を通して、この曲の歌詞では「これまでいろいろなことがあったけど突き進もう」という気持ちが描かれています。これについてはどう感じましたか？

千葉　芸能活動を行う中で夢半ばで断念する友達がいたり、僕に対して「いつまでやってるの？」って言ってくる人がいたりするんですよね。もちろん僕も簡単に成功できるとは思っていませんが、そんな世界で5人が一致団結して同じ方向を見て上を目指すことが描かれている、僕たちにぴったりの素敵な自己紹介ソングだなって思います。個性がバラバラの5人がサビで一緒に歌うところにToP DoGらしさが詰まっているなって。

和泉　僕は田舎育ちだったこともあり、芸能界を目指す人が周りにいなかったんです。そんな環境で「アイドルをやりたい」と言い出して、親は応援してくれたんですが、周りの友達は笑いながら「え、がんばって（笑）」みたいな反応でした。今回「わんドリーム」がリリースされて当時僕のことをバカにしてきた友達の耳に入ったら、少しはアイドルを目指すことに対する眼差しが変わるのかなって思っています。

山崎　僕の場合は、芸能活動をしている人が周りにけっこういたこともあって、「アイドルになりたいから東京に行くわ」と話したときも、家族から友達までみんな賛成してくれて「吏希ならなれるよ」と言って空港に見送りに来てくれたんです。ただ、そこから1年経っても僕が全然芽が出ない中で友達がどんどん売れていくような状況があって……。周りから「吏希はいつ売れるの？」って電話が来たり、帰省するといじられたりしてすごく悔しかったんです。でもこうやって「わんドリーム」がリリースされることで自慢もできるし、早く福岡でライブしたいなって思えるようになりました。すごく自信をもらえる曲です。

森　対バンライブをやったとき、対バン相手のお客さんから相手にされなかったり、ビラ配りをしても受け取ってもらえないことも多かったんですけど、その悔しさもこの歌には乗せやすいなって思います。

田口　 お客さんの中には「ライブには行きたいけど、コロナが怖くて行けない」っていう人もけっこういたんですよね。それは仕方がないことではありますが、僕たちとしてはすごくつらくて。僕たち自身何度も挫折しそうになりましたが、そこで折れずに今こうやってToP DoGとして活動してこの曲を歌えています。この曲を聴くと挫折しそうになったときのことを思い出しますね。

千葉　 デビューした頃はお客さんの数がすごく少なくてゼロのときもありました。そういう中で「どうにかして知ってもらいたい。そのためにはどうすればいいか」ということを考えて、ひたむきに泥臭くがんばりました。苦労なくして有名にはなれないと周りの方にご指導いただいたこともあり、「がむしゃらに突き進むんだ」という気持ちを込めて歌っています。

森　活動している以上、中途半端ではなくトップを目指す気持ちでやらないとダメだと思うんですよね。なあなあな気持ちでやっていると、パフォーマンスにも影響があると思います。「わんドリーム」は、トップを目指す気持ちを思い起こさせてくれる曲ですね。

和泉　芸能の道で食べていくために上京したので、その道を選んだ以上、上に行かないと一生この道で食べていけないと思うんです。少しでも早く家族を安心させられるように、という気持ちで活動に取り組んでいます。

新時代のメンズアイドルの象徴になれたら

──1stシングルには「わんドリーム」以外にも3曲収録されていますが、制作の際にどんなところにこだわりましたか？

森　静かな曲でもアッパーな曲でも、熱量を下げないことを意識しています。メリハリをつけるっていう。

千葉　「ホワイトベル」は、2番の歌詞を社長が女の子目線で、1番の歌詞を僕たちが男の子目線で書きました。

和泉　社長に「歌詞を書いてみたいです」って相談したら、「じゃあやってみたら」と言ってもらえて。どういう歌詞を書こうか考えている時間がすごく楽しかったです。メンバーそれぞれが歌詞のアイデアを出し合って、いいところをピックアップして作っていきました。僕は「オオカミ少女と黒王子」という映画がすごく好きで、原作もめっちゃ読んでるんですが、あの映画の切なさからインスピレーションを得て歌詞を書きました。自分たちでできることが広がるなと思ったので、これからもいろんなことに挑戦してみたいです。

田口　僕は1週間、毎日3時間ぐらいカフェに行って歌詞を考えました。サビの「かじかんだ手を温めるのは僕の役目じゃダメかな」という歌詞は僕が書いたんですが、カフェの店内で歌詞に入れたいフレーズをメモったりしながら、作詞することの大変さを学びました。

千葉　歌詞を書くのは初めてでしたが、同じシーンを想像してもメンバーそれぞれから全然違う言葉が出てくるのが面白かったです。「冷たい」「寂しい」「寒い」といった言葉に対しての感じ方もそれぞれ違って、いい経験になりました。

──5人それぞれに個性がある中で、共通点は何だと思いますか？

和泉　それぞれやり方は違いますが、上を目指す気持ちは一緒かもしれないです。5人とも我が強いので競い合える。あとめっちゃ仲がよくて、休みの日に5人だけで富士急ハイランドに行ったりします！

田口　車で夜景を観に行ったりもしました（笑）。

森　社長の車を借りて、ゲームセンターにも行きましたね。5人バラバラのキャラクターだけど、まとまると強いと思っています。

──では最後に聞かせてください。ToP DoGはどういうアイドルを目指しますか？

森　今のToP DoGの根本を崩さずに、いろんなチャレンジをして化学反応を起こせるグループになりたいです。

千葉　世の中的には僕たちみたいなアイドルをよく思ってない人もたくさんいると思うんです。それを僕たちが払拭して、ToP DoGが新時代のメンズアイドルの象徴になれたらいいなと思っています。

和泉　日本だと“アイドル”と聞くとジャニーズの方々などを連想する人が多いと思うんですが、そうじゃなくてもアイドルとして大きなステージに立てるんだよっていう夢と希望を与えられるような存在になりたいです。

田口　夢を追うことをあきらめてしまった方に刺さるような、大きく心を動かせるグループを目指したいですね。

山崎　心を動かせるアイドルになることが一番。やっぱり僕は歌うことが好きなので、歌で人を感動させられるようになりたいです。そして、グループとしての具体的な目標としてはドームに立ちたいです。