ヘヴンリーは外の世界に出られないのは悟っている

──前作は「FAIRY DUST」や「ANGEL FADE」がアルバムを象徴するような曲でした。今作でキーになる曲というと？

「I WANT YOUR BLOOD†」かな。ヘヴンリーはもっと外の世界に行きたいけど、ここから出られないのは悟っているんですよ。だから、今いる場所をとことん自分の気に入る空間に作り込んで、寂しくなれば人を呼んできて閉じ込めちゃう。ゴーストやゾンビみたいな人たちも、かわいくリボンをつけて自分が居心地のいい世界観にしているんです。外に出られないからこそ、ここを変えていかに楽しむかっていう状態ですね。

──「-Intro-」というタイトルのインスト曲が3つ入ってますよね。その意図は？

今回は特典映像として収録する「Ruby eyes」と「Can you hear me？」のPVを先に進めていて、その2本をつなぐ映像も作ったんです。そこに乗せるBGMなんだけど、曲としてもすごく気に入っているから、アルバムの区切りになるところに入れていこうと思ったんです。

──PVもすごく作り込んでますよね。

今回はアクセサリーブランドのQ-pot.さんにおばけちゃんっていうキャラクターのフェブラリーver.とヘヴンリーver.のコラボグッズを制作していただいたこともあって、MVやアートワークにも登場しています。美術模型や小道具などをお借りしたりして、世界観もコラボさせてもらったり、それに合わせて背景を考えたりして、かわいくできたので楽しかったです。

──世界観を作るのは楽しいということも以前おっしゃってましたよね。スランプにあってもそこはやっぱり楽しめるんですか？

いや、今回はきつかったかな。現場に行けば楽しいんだけど、準備の段階ではけっこう頭を抱えてましたね。全然頭が回らなくて。

私の中にいる2人がいいバランスで和解しちゃった

──英語詞の対訳は今回も付けるんですか？

必要ですか？って聞いたら、ジャケット制作進行のスタッフさんや関係者の方々が話し合って、今回はなしでいきますって。だから今回はなしです。もしかしたらコンテスト形式にしたら面白いかなと思ってるんですよ。

──ファンから訳を募る？

そうそう。いいものがあれば採用します！って。最終的には私の手柄に。

──新しい試みですね（笑）。

楽しそうですよね。たぶん不安定だったからまたもう一度発売延期にならないように配慮してくれたのかも（笑）。対訳を付けなくてはいけないっていう決まりはないと説明されたので安心しました。

──そこまで追い込まれてたんですね。

そうなんですよ。本当にVAMPSさんのハロウィンパーティがあってよかった。

──でも、そのイベントってついこの前ですよね。

そうそう（笑）、そこから一気に作りました。スイッチが入ったらめっちゃ早かったです！

──今までも似たようなスランプはありました？

うーん、近いことはあったけど、ここまでではなかった。前回の作品から続きが見えちゃったんですよ、あまりにも。私の中にいる2人がいいバランスで和解しちゃったというか。だから2人のユニットにしちゃおうかなとも思ったりして、でもヘヴンリーとして出すことが決まってて。今コレやったら面白いのに！っていうアイデアがあるのに、そこから離れなきゃいけないのが苦しかった。

──今まで15年も絶えず作品を作り続けてきたわけじゃないですか。そんな川瀬さんでも、スランプってあるんですね。

自分でも驚きましたけどね。2人を統合したいというイメージはずっとあって、それが初めてピンと来た瞬間でもあったんですよ。やってみないとわからないけど、これはいい感じになりそう！ってひらめいちゃった。