ナタリー PowerPush - 東京カランコロン

祝メジャーデビュー! 作詞者・高橋久美子と本音トーク

メジャーデビューの真相

──先程のお話にもあったとおり、これまで東京カランコロンはライブにせよCDにせよ、インディアーティストとして、自分たちの手で売上も堅実な右肩上がりをマークしていました。それがここにきて、なぜメジャーデビューで、しかもavexという、ある意味バンドのイメージとはすぐに結びつかないレーベルとの契約を果たしたのでしょうか?

いちろー

いちろー そもそも最近はメジャーとインディーズの境界線って、あまり感じない気がしますよね? 中にはメジャーから好んでインディーズに転身する方だっていれば、メジャーデビューしてもあえてそれを強く言わない人もいたりする。でも僕はそれってなんか夢がないなあと思っちゃって。僕は元々、いわゆるアンチメジャー的な気持ちはゼロだったし、どうせやるんだったら「メジャーデビューだ!」って華々しく言いたいという気分だった。だから今回のお話をいただいて、じゃあいっそこの上がないってくらいハデにいきたいなと思った。なんかavexって、レーベルのイメージがメジャーの中でもハデじゃないですか? さらにavexの中でも硬派なレーベルもあれば、坂本龍一さんのいるcommmonsとか、いろんなレーベルがあるんですけど、avex traxはなんかいまだにちょっとバブリーなパブリックイメージがあって(笑)。

──「あのユニフォームが着たくてこのチームと契約した」みたいな?

いちろー まさに。CMとかで「エイベックストラーックス!!」って言いたいだけ、みたいな(笑)。

高橋 笑えるわ(笑)。でもなんかシーンが明るくなるニュースみたいな気分になるね。

いちろー そうそう。まあこれも人それぞれの考え方なんでしょうけど、なんでも夢があったほうがいいかなって(笑)。せっかくバンドをやっているんだから、メジャーデビューを華々しく宣言しない風潮みたいなのは、ちょっと寂しいなって。それに繰り返しになりますけど、何よりこうしたトピックを面白がっても、自分たちがいい曲を作っているというプライドも、これからもこの自由な音楽性は絶対にブレさせないぞという自信もあってこそだったので。

季節にひっかけるってバブリーな感じがしません?

──今回の「ゆらめき☆ロマンティック」は通称「ナツ盤」という設定で、今冬には“いちろーさん推し”の「フユ盤」となる「きらめき☆ドラマティック」のリリースも予定されています。

いちろー アルバムを二極化することで僕らのいろいろな音楽性を知ってもらえればと。当初は普通にフルアルバムを出そうかという話もあったんですが、ボーカルが2人いることも含めて、改めて皆さんにもう1回このバンドを説明できる機会になればいいなと思ったので。あと、季節にひっかけたリリースっていうのも、なんかバブリーな感じがしません?(笑)。

──ああ、80年代における山下達郎さんの「クリスマス・イブ」みたいな?

せんせい そうそう。インディーズで硬派にやってるバンドの人たちって、クリスマスソングとかまず出さないじゃないですか?(笑) そういうのをウチらは逆にやりたいなって。タイトルもアルバムジャケットも、ユーモアは絶対に忘れたくない。こういうこと言うとアレかもしれないけど、最近はみんな何をするにもシリアスになり過ぎている気がするんです。

高橋久美子

高橋 うん。で、慣れてきてるよね、その状況に。みんなが。だからいいと思うよ。タイトルに“☆”が入ってる感じもらしくていい(笑)。最近の世の中に足らない明るさやと思うもん。

いちろー そうなんですよ。バブリーさを自粛気味の今だからこそ、そのほうが絶対面白いと思うし。いっそラメ付けた衣装で踊るぐらいの……。

せんせい そうそう。スパンコールの付いたタンクトップに、自分のイニシャルを書いて……。

高橋 ちょっと待って。君たち、微熱DANJI?(笑)

野望は「それ、ないから」とツッコまれる経験

──高橋さんは今後も作詞活動を含め、ご自身の活動を続けていかれるわけですが、メジャー経験者として東京カランコロンのデビューをどう感じますか?

高橋 や、もう何も不安がない。頼もしいし、縛られていないし、何より曲が素晴らしいわけですから。もうガンガン上っていってほしいですね。

二人 ありがとうございます!!

──では最後に、ここからメジャーデビューを果たしたあとの、東京カランコロンとしての野望は? ほら、こういうの訊くのも“メジャーデビュー”っぽいでしょ?(笑)

いちろー いいですね(笑)。うーん、なんだろうな……。

せんせい 私、「ミュージックステーション」に出てダジャレとか言いたいです(笑)。

高橋 そっか、「テレビもガシガシ出たるわ!」って感じなんやね?

いちろー 出たいですね! そこも「あまり出たくない」っていう人がたくさんいるじゃないですか。でもウチらはガシガシ出たい(笑)。昔のテレビで言うと、「ザ・ベストテン」で1位獲って点数が9999点マークみたいな「おいおいそれはないだろ?」ってみんなからツッこまれるような経験をたくさんしたいと思っていますので、ぜひともこれからの東京カランコロンに注目してください!

写真左からいちろー、せんせい、高橋久美子

東京カランコロン / 泣き虫ファイター【MUSIC VIDEO&EXTRA映像】

CD収録曲
  1. 泣き虫ファイター
  2. 夏 part1
  3. ウキウキエブリデイ
  4. うれしい予感
  5. ララララ
CD-EXTRA収録内容
  • メジャー発表当日ライブ映像&ドキュメンタリー~カランコロンメンバー解体新書編~
  1. CAN'T STOP 運命線
  2. true!true!true!
  3. ×ゲーム

東京カランコロン

東京カランコロン(とうきょうからんころん)

佐藤全部(B)、いちろー(Vo, G)、せんせい(Vo, Key)、おいたん(G, Cho)、かみむー氏(Dr)からなる5人組バンド。2009年5月より現メンバー編成にて活動開始。翌2010年6月に自主制作音源を発表すると、インディーズチャートで連続1位を獲得。同年10月には初の全国流通盤となる「東京カランコロンe.t.」をリリースし、12月に初の自主企画ライブ「ワンマ ソ」を行う。その後2012年までインディーズシーンでミニアルバム、シングル2枚を発表し、ライブ活動も精力的に展開。8月にavex traxよりメジャーデビュー盤となるミニアルバム「ゆらめき☆ロマンティック」をリリース。さらに9月に東京・渋谷QUATTROでワンマンライブ「ワンマ ん2012」を開催する。

高橋久美子

高橋久美子(たかはしくみこ)

1982年4月10日生まれ、愛媛県出身。鳴門教育大学在学中の2004年4月、チャットモンチーにドラマーとして加入。その後音楽活動の傍ら、詩の個展を開催し、画家の白井ゆみ枝や若手建築家らと「ヒトノユメ」を発足するなど、作家活動も並行して行う。2011年9月にチャットモンチーを脱退。現在は作家、作詞家として活動中。