東京女子流インタビュー|結成12年でたどり着いた等身大でフレッシュな充実作「ノクターナル」はどのように生まれたのか (3/3)

新井ひとみが考える「ノクターナル」中江友梨の推しポイントは……?

中江 「ノクターナル」を紹介するときによく言ってるし、そうあってほしいと思うのは「あなたに寄り添ってくれる曲がこの中に絶対に1曲はあるから」ということで。みんなの中でそれぞれ「寄り添ってくれている」と感じる曲が見つかっているのなら、それが一番うれしいし、そういうアルバムであってほしいなと思います。私はすべての曲にしっかり寄り添う気持ちで歌ったので、どれか1曲を選ぶとなると難しいんですけど……「Viva La 恋心」ですね。この曲は最初のサビの「最低な想いをしたの 抱きしめて」を私が歌ってるんですけど、すごいセリフですよね。この年齢にして急に恥ずかしくなっちゃって(笑)。同時に「すごく好きだな」と思ったんです。弱い自分を見せて素直な感情を伝えているこの表現がすごく女性らしく感じるし、今の4人の歌声によって“いい女”ができあがったなって。

新井 「Viva La 恋心」のサビもいいんですけど、私が思うなかえってぃーの推しポイントは……。

中江 えっ、何? 初めて聞きますよ(笑)。

東京女子流

東京女子流

新井 「フライデーナイト」の頭の「1.2.3.4!」とか、「コーナーカット・メモリーズ」の「…予感!?」のところ。普段のなかえってぃー歌声とはちょっと違うので、ファンのみんなも「え、ここ友梨ちゃんが歌ってるの!?」とびっくりしてるんじゃないかと思います。

──こういう明るく弾けた感じのフレーズは、これまでだったら新井さんか山邊さんあたりが担うことが多かったような。

山邊 まだライブで披露する前に「『1.2.3.4!』とか『…予感!?』とかよかったよ」って私が言われたんですけど、「いやいや、私じゃないんだけど!」って。だから公式インスタのストーリーで「友梨だよ」って発表しました(笑)。でもいまだに言われるもん。

中江 あはは(笑)。「…予感!?」のところはレコーディングのときに後藤さんと一緒に決めましたよね。

後藤 もともとは1番と同じメロだったんですけど、「ちょっと語尾を上げて『予感!?』って言ってみない?」と言ってできたのがあの部分です。個人的に90’sアイドルでリスペクトする方がいて、そのコミカル&かわいい要素を意識して取り入れさせていただきました。

メンバー4人の魅力と期待するところ

──今日はせっかく後藤さんに同席してもらっているので、メンバー1人ひとりについて、後藤さんがすごくいいなと思うところ、よくなったなと思うところ、あるいは「ここは直してほしい」などダメ出しも含めて、それぞれの評価を聞かせていただきたいです。

庄司 えー! ダメ出しー?

中江 公開処刑じゃん(笑)。

新井 ドキドキしちゃう(笑)。

後藤 難しいなあ……えー? 1人ずつですよね? じゃあ未夢から。

山邊 うわあ~! はい……。

山邊未夢

山邊未夢

後藤 未夢さんは何よりも高音が本当に最高だと思っていて。「この曲、未夢さんが光るな」と思う曲がたくさんあるんですよ。女子流の楽曲において彼女の高音は絶対に必要なものですね。

──確かに山邊さんは独特な声質を持っていて、女子流にとって大きな武器ですよね。

後藤 まさに私も“武器”だと思っています。特にコーラスの部分とか。未夢さんがいることで成り立つ、みたいなところがあって、「コーナーカット・メモリーズ」「ストロベリーフロート」なんかはコーラスに注目してもらえるとそれがよくわかると思います。すごく大切な存在ですね。音楽的な面ではまずそこで、あとは……めっちゃいい子。いや、みんないい子なんですけど、未夢さんは気遣いがとてもできるんですよ。メンバーの中でお姉さん的な部分を見せたりとか、東京女子流のSNS番長としていろいろ見せてくれるところもありがたいなと思っています。あとはダメ出しか……。

山邊 ヤだなー(笑)。

後藤 ダメ出しというか、もっと期待するところですけど……スタイルのよさも彼女の強みだと思うので、ファッション的な部分をもっと引っ張ってもらえたらいいなと思います。あと、バラエティ的な場面で未夢さんが体張ってくれて面白いことがよくあるよね(笑)。そういうところはYouTubeでどんどん出していきたいです。

──では次に新井さん。

後藤 ひとみさんは本当に歌がうまくなったなって。さっき言ったウィスパーの使い分けだとか力の抜き具合だったりだとか、歌との向き合い方が上手になったなと思います。ひとみさんへの要望は「私は歌がうまいんだぜ」と超自信を持ってほしい。彼女は性格的にもアイドルらしさのある方なので、もっとどんどんキャピキャピしてもらえたらなと(笑)。あと、ひとみさんはなんだかんだで一番ギャップがある子なんじゃないかな。普段はホワッとしてるけど、パフォーマンスになるとめっちゃカッコよくなる。そこを全面に押し出してもらって……もっと自信を持ってもらいたいです。自信がなくなったときは、スタッフさんに「褒めてください」って言えばみんな全力で褒めてくれるから(笑)。

新井 あはははは(笑)。はい。

新井ひとみ

新井ひとみ

後藤 ホントに素敵なアイドルだなと思ってます。

山邊 そう。アイドル力がすごい。

中江 生まれながらのものって感じですよね。

後藤 関わる人みんながアイドルとしてファンになっちゃう。それをあえて戦略的にやるのもいいし(笑)。

──中江さんはいかがでしょう。

後藤 友梨さんは音楽的なところで言うと、未夢さんとはまた違う部分の高音に魅力があって。未夢さんが倍音的なハイの気持ちよさだとすると、友梨さんはもうちょっとストレートに高音が気持ちよく刺さるタイプ。友梨さんもどんどん歌がうまくなってるし、「1.2.3.4!」や「…予感!?」を友梨さんに任せたのも、その声のキャラクターを存分に生かしたかったからなんですよ。きっと演技がうまいんだよね。あと、友梨さんはいつも陰ながら努力している人だなと思っていて。人には何も言わないんだけど陰でがんばっているなというのを私はすごく感じています。

中江友梨

中江友梨

──4人の中で一番人間力のある人、という印象もありますね。ほかのアーティストと競演するときなども物怖じせず堂々としているし、話すのもうまいなと。

後藤 そうですね。前に芸人さんとコラボしたときも「友梨ちゃんはもっとタレント的な仕事をやってもいいんじゃない?」って言われたんですよ、実は。MCが上手なので、そのへんをもっと伸ばしてもらえると女子流の強みになるかなと思います。

──最後に庄司さん。

後藤 「僕は嘘つき」とか「この雨が上がっても」みたいな切ない曲になると、芽生さんのニュアンス系の歌声は曲の魅力を掻き立ててくれますね。芽生さんは……褒める要素がたくさんあるんですけど(笑)、すごい努力家。休みのときもスタジオに行ってダンスの練習をしたりとか。パフォーマーとしても素晴らしいし、人間的な包容力がある。ダメ出し、何かあるかな……マイナスな部分が正直見当たらないなっていう。

庄司芽生

庄司芽生

──ベタ褒めですね。性格的なところなのか、4人の中ではバランスとして後ろから支えにいってるような印象があるんですが、もっと率先して前に出ると女子流の“入り口”として効果を発揮しそうだなと思うことがあります。

後藤 そうなんですよ。

中江 昔は確かに控えめだなと思ってたんですけど、最近は自分が好きなこととか、こう見せたい、こうしたいんだなというのが見えやすくなっていて。それを楽しんでいるのが伝わってくるし、変わったんだなと思います。本人が楽しそうなのが、見ているこっちもうれしい(笑)。

後藤 最近は芽生推しがどんどん増えていて。ちょっと女子流が気になるな、という人はぜひ最初に芽生さんに会いに来てほしい(笑)。ファッション系などもっと活動を幅広くして、いろんなジャンルのユーザーをゲットしてほしいなと思います。

庄司 ありがたいお言葉です。

東京女子流

東京女子流

──そろそろお時間なのでインタビューは終了ですが……新井さん、さっき何を言おうとしていたのか思い出しました?

中江 あっ、そういえば!

山邊 なんの質問だっけ(笑)。

新井 後藤さんの話をしてるときに「あ、これも言いたいなー」と思ってたんだけど……。

中江 どう?

新井 うーん……忘れちゃった(笑)。

──(笑)。じゃあ、それで終わりましょう。

中江 「忘れちゃった」がインタビューのオチですか?

庄司 大丈夫ですか?(笑)

中江 いいオチだなあ。

東京女子流

東京女子流

プロフィール

東京女子流(トウキョウジョシリュウ)

山邊未夢、新井ひとみ、中江友梨、庄司芽生の4名からなるエイベックス所属のダンス&ボーカルグループ。「音楽の楽しさを歌って踊って伝えたい!」をコンセプトに、2010年5月にシングル 「キラリ☆」でデビューを果たし、2011年5月に1stアルバム「鼓動の秘密」をリリースした。2012年12月、2013年12月と2度にわたって東京・日本武道館でワンマンライブを開催。デビュー5周年を迎えた2015年5月には初のベストアルバム「1st BEST ALBUM キラリ☆」を発表した。2022年8月には約7年ぶり、通算6枚目となるオリジナルアルバム「ノクターナル」をリリース。