特撮は楽しいことばかり

──今回のアルバムは約3年ぶり。特撮は結成から15年が経ちましたが、それぞれの活動がある中でこのバンドは皆さんにとってどんな存在なんですか？

NARASAKI　100％楽しみたいと思ってます。趣味って言っちゃうと責任がない感じに聞こえちゃうかもしれないけど、全力で楽しむっていう姿勢は貫きたいなと。あとは自分が好きなギターの音を出したり、大槻さんがカッコよく見えるようにしたり、そういう基本的なところもずっと続いてるかな。そこだけは意識してますね。

ARIMATSU　可能性がいろいろあると思うんですよ。音楽性もバラバラだから、その分インスパイアされたり刺激を受けたりすることもすごくあって。このメンバーと一緒にやることで、ミュージシャンとしてレベルアップできるという楽しさもありますね。最初の頃はもっとバラバラだったんですよ。アーティスト写真も、今回は衣装の雰囲気とかがすごくそろってるけど、以前はそれぞれがまったく違う感じだったので。

三柴　今回のアーティスト写真はまったく打ち合わせせずに撮影したものなんですよ。「Devoみたいに衣装をそろえよう」って言ってたわけではないのに……。

──ビジュアルのイメージが統一されてますね。

三柴　そう。だからビックリしちゃった。

ARIMATSU　15年もやってると、そういうところも成熟してくるんでしょうね。

三柴　今も違うところはたくさんあるけどね。1人ひとりが個性の塊だから、面白いんですよ。特撮がある限り、メンバーみんなに会えるじゃないですか。ホントは個人的に遊びたいんだけど、遊んでくれないので……。

大槻　ライブが終わったあと、5分で帰っちゃうからでしょ。

三柴　ライブのあとは疲れてるから（笑）。俺はオーケンの車の助手席に乗って、富津とか行きたいんだよ？ 俺は君を飽きさせないよ。最高なんだから。

NARASAKI　ハハハハハ（笑）。

三柴　こうやって会ってるといろんな音楽も教えてもらえるし、みんなで音を合わせれば、こういうロックなアルバムもできるし。楽しいことばかりですよ。

──ストレスなく、楽しくロックをやれるバンドっていう。大槻さんは特撮についてどう感じていますか？

大槻　特撮には作曲家陣が3人いますからね。それぞれが意表を突く曲を作ってきてくれるし、それに歌詞を乗せるのが楽しいんですよ。どうやら最近、僕は作詞の量産体制に入ってるようで、その中でも特撮のメンバーが作った曲に歌詞を付けていくのがすごく面白くて。あとね、僕は（筋肉少女帯では）煽って煽って死にもの狂いで盛り上げるスタイルでやってきたんだけど、特撮はそれとは違っていて、もっとシンプルでソリッドなんです。開放感を感じるようなライブスタイルというか。

50代からのミュージックライフ

──2月7日に東京・赤坂BLITZで行われるイベント「大槻ケンヂ 50th生誕祭！特撮」のゲストは筋肉少女帯。まさに大槻さん祭りですね。

大槻　そうですね……。いろいろな企画を提案したんですけど、ことごとくここにいる特撮の皆さんが断ってくるんですよ。筋少はたいがいOKなのに。

一同　 ハハハハハ！（笑）

ARIMATSU　前にも筋少とは一緒にやったね。

大槻　でも今回はまた違う感じにしたいんだよね。特撮のメンバーと筋少のメンバーがダラダラしゃべるコーナーを設けるとか。

ARIMATSU　ぜんぜんソリッドじゃないな（笑）。

──（笑）。大槻さん、50代になる心境はどうですか？

大槻　うーん……。エディは50代だよね。

三柴　51歳だよ。そろそろ人生終わりだね。

ARIMATSU　アルバムのインタビューでそんなこと言う？ 縁起でもない。

三柴　でも十分生きたからね。楽しい人生を送らせてもらいました。

大槻　だから「楽しい人生を送らせてもらいました」という気持ちで音楽をやれるのが50代なんじゃないかな、おそらく。

三柴　あ、そうかもしれないね。

大槻　20代はギラギラしてるし、30代も……。

三柴　「どっちに行こうかな」っていうのがあるよね。

大槻　40代で「まあ、いいか」って抜けてきて、50代からやっと楽しんでできる気もするね。でも、「どっちに行こうかな」はいまだに思うよね。

三柴　あちこち悪くなるけどね。歩いてるだけでももの裏がつっちゃうとか（笑）。まあ、運動してないからだと思うけど。

大槻　確かに身体はボロボロだけど、そこから見えてくる希望や音楽があるんじゃないの？ “ハザード”で警告されていても、“ウインカー”をどちらに向けるかによって、いいミュージックライフが送れるんだと思うよ。

ツアーではなじみの曲より新曲を

──アルバムリリース後のツアーも楽しみです。セッションから作った曲も多いですし、ステージ映えしそうなアルバムですよね。

ARIMATSU　そうですね。曲を作りながらレコーディングして、そのままツアーに行けるというか。身体に沁みついている感じもあるし、ライブでどんなパフォーマンスができるか楽しみです。

三柴　みんなで音を出すこと自体が楽しいからね。あとは体力が持つかどうか。がんばります。

NARASAKI　楽しくなるようにたっぷり練習しておきたいと思います。

大槻　新譜のツアーだから当然、新しい曲をたくさんやるわけじゃないですか。普段ならメンバーもリスナーも「なじみのある曲のほうがいい」って思ってるだろうけど、今回は新譜の曲をやりたいという意識がとてもあるね！

NARASAKI　（笑）。

大槻　なんでイイこと言ったときに笑うの!?

NARASAKI　だって、言い方がおじいちゃんみたいだから（笑）。

大槻　50代になるんだからしょうがないよ！ さっき言ったように特撮のライブは“煽って煽って”ではなくて、自然に盛り上げていきたいんですよね。お客さんにも自然に盛り上がってもらって、お互いに呼応しながら、音の中にすっと入っていけるようなライブをやりたいですね。