ナタリー PowerPush - T.M.Revolution

20周年に向かう覚悟と賛否両論ツアーの裏側

T.M.Revolutionが、新曲「Count ZERO」とライブDVD / Blu-ray「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」を同時リリースする。

PS3用ゲーム「戦国BASARA4」のオープニングテーマとなる「Count ZERO」は、SCANDALとのスプリットシングルとして発売。そしてライブDVD / Blu-rayは、昨年行われた全国ツアーの魅力を余すところなく伝える映像作品に仕上がった。

今回ナタリーでは西川貴教にインタビューを実施し、それぞれの作品について話を聞いた。さらに2016年に迎えるデビュー20周年への展望も語ってもらっている。

取材・文 / 大山卓也

“浮き世離れ”した世界を提供

──新曲「Count ZERO」のリリースおめでとうございます。今回も非常にアツい曲になりましたね。

そうですね。まあこれ以外あんまり戦闘方法を知らないので(笑)。

──「戦国BASARA」関連の曲は、T.M.Revolutionの楽曲の中でも特にアッパーで攻撃的な印象が強いですが。

プレイヤー目線でゲームとの親和性を考えると、やっぱり一発ずつライフルで撃ってくっていうよりはなんかマシンガンとか火炎放射器みたいな曲になる(笑)。そういう感じはあるかもしれないですね。

──そしてタイアップありきで作られた楽曲にもかかわらず、T.M.Revolutionらしさが存分に出ている点も特徴的です。

T.M.Revolution、SCANDAL。

作品の世界観を表現するのはもちろんですけど、将来的に自分がライブで大事に歌い続けていくわけですから、そのときに自分の意志や覚悟みたいなものが入ってないとっていうのは意識してます。作品と自分の間の共通項をいくつ見つけられるかが大事なのかなって。あくまで自分の楽曲ですからね。

──“戦国”というシチュエーションに合う曲を作れと言われても普通のアーティストにはなかなか難しい気がします。それを作れてしまうところがT.M.Revolutionの独自性だと思うんですが。

アニメやゲームの主題歌を担当させてもらうことは多いですけど、たぶん依頼してくださる側は僕にフィクションとかエンタテインメント性みたいなものを求めてくださってるんだと思うんです。ゲームとかアニメの場合は実写映画とかと比べて2Dになってる段階ですでにもう次元が違いますから、突き抜けてれば突き抜けてるほど、浮世から離れてれば離れてるほど、作品との親和性は高くなるんですよね。T.M.Revolutionの楽曲は、そことやっぱりマッチングしやすいっていうか。

──その浮世離れしたものを誰が作ってくれるのかって考えたときに「T.M.Revolutionに頼もう」っていうことになるわけですよね。

そういうふうに考えていただけてるとありがたいですね(笑)。

肉体の儚さと自分の生きる意味

──今アニメやゲームの話題が出ましたが、そういうファンタジックな世界と親和性の高いT.M.Revolutionならではの映像表現というものがあるとして、その集大成の1つが昨年の全国ツアーだったと思うんです。

2013年に行われた全国ツアー「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」の様子。

そうですね。特にこのシングルと同じ日に発売になるライブ映像(「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」)は実際編集し終えてみると、あのツアーが結果的にこの作品の素材を撮るためのライブだったのかなと思えるぐらい(笑)。自分的にもかなり踏み込んだものが作れたかなと思ってます。

──客席で生でライブを観ていたときには情報量が多すぎて処理しきれなかったところもあったので、映像で観られるのが楽しみです。

そう言ってもらえるのはうれしいですね。改めて映像で観ていただくことで、1つの作品としてのドラマをよりわかりやすく理解してもらえるだろうと思うので。

──この映像作品リリースのタイミングで改めて伺いたいんですが、あのツアーはいったいなんだったんですか?

ですよね(笑)。

──「なんだったんですか?」というのもおかしな質問ですが、実際かなり異例の内容だったと思うんです。水樹奈々さんとのコラボ曲「Preserved Roses」のビデオクリップの世界観をさらに広げ、SF的なストーリー仕立ての映像が全編にわたってスクリーンに投影される中でのステージでしたよね。資料には「ヒトはなぜ生まれ、何のために生きるのか?というテーマのもと、“THE ONE”なる広大な世界を舞台に“生きる意味”を求めて旅を続けるストーリー」と書かれていました。なぜあのような形のライブになったんでしょうか?

2013年に行われた全国ツアー「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」の様子。

その理由については……どこから話せばいいのかな。あの……ちょうど「イナズマロック フェス」を始める前の年ぐらいに、母親がちょっとしたことでケガをしたんですね。ケガ自体はただの骨折だったんですけど、でも歳も歳なんで、それをきっかけに別の病気も出てきてしまって、たった数年で車椅子が必要な状態になってしまったんです。

──環境や体調の変化が悪いほうに作用したんですかね。

うーん、おそらくそうだと思うんですけど。僕が小さな頃から両親は共稼ぎで働いていて、立ち止まるのが一番嫌いっていう感じの人だっただけに、その姿を見て本当に考えさせられたというか。肉体は魂の器だって言いますけど、それがこんなにも儚いものだったのかって。そのことが自分の中ですごく衝撃だったんです。それで自分の使命とか、自分が生かされてる意味について改めて考えたんですよね。

──それをあのツアーで表現しようと思った?

何か問題提起できるようなものが作れたらいいなっていうのは思ってましたね。

T.M.Revolution | SCANDAL スプリットシングル「Count ZERO | Runners high ~戦国BASARA4 EP~」 / 2014年2月12日発売 / EPICレコードジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / ESCL-4156~7
通常盤 [CD] / 1223円 / ESCL-4158
CD収録曲
  1. Count ZERO
  2. Runners high
  3. Count ZERO (Instrumental)
  4. Runners high (Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • T.M.Revolution | SCANDAL 平成ガチBATTLE ~乃木坂の戦い~
ライブDVD / Blu-ray「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」 / 2014年2月12日発売 / EPICレコードジャパン
「T.M.R. LIVE REVOLUTION'13 -UNDER II COVER-」
DVD2枚組 / 5800円 / ESBL-2347~8
Blu-ray Disc / 6800円 / ESXL-40
初回生産限定盤 豪華三方背BOX 28Pフォトブックレット付き
T.M.Revolution(てぃーえむれぼりゅーしょん)

1970年滋賀県生まれの西川貴教によるプロジェクト。1996年5月にシングル「独裁-monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲と圧倒的なライブパフォーマンスで人気を集め、「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」などのヒット曲を連発する。2008年には「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、翌2009年から滋賀県初となる大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を連続開催。その他、司会・俳優など幅広い分野にて精力的に活動を展開している。2013年には水樹奈々とのコラボシングル「Preserved Roses」「革命デュアリズム」を発表し同年末の「NHK紅白歌合戦」にも出演。2014年2月にPS3用ゲーム「戦国BASARA4」のオープニングテーマとなる新曲「Count ZERO」をリリース。