音楽ナタリー PowerPush - TK from 凛として時雨

TKが求めた最上級の“Magic感”

ベルリンで完成した曲「tokio」

──ピアノ弾き語りの「tokio」(3月リリースの「contrast」初回限定盤DVDに収録された「Bonus Video (filmed in Berlin)」の音源)は、ほかの曲とは違う輝きを放っていますね。

以前、1曲で聴いていたときとも鮮明に印象が違いますね。アルバムの真ん中にあることで、突然世界が変わったように感じました。

──これはDVD収録映像からそのまま音源だけを抜いてアルバムに入れたんですか?

ミックスは少し違うんですが、あのときの音です。僕、曲を作って録って、ミックスするのがずっと同じ場所なんで、ときどき海外に行くんです。この曲は思い立ってベルリンに行ったときにできた曲で、日本を離れることで、今自分がいる場所や環境が明確に見えて、言葉が自然と浮かんできたんです。この曲はそこで無理やりレコーディングスタジオを3時間借りて。調律が狂ってたピアノを直してもらって、弾き語りを録音したものですね。

──今回は、ほかには海外で録ったものは?

ないですね。海外行けてないんですよ。常に狙ってはいるんですけど(笑)。

──どれくらいの時間が空いたら飛び立とうと思ってるんですか?

作品ができあがったら、常に……すぐに……いつでも(笑)。

──(笑)。今年は3タイトルリリースしてますし、かなり精力的ですよね。

ですね。1年に3作出すなんて、これまでにない……。というよりも、今までが少なかっただけかもしれないですけど、取り組み方は一緒なんです。

──ソロに関して、時雨のメンバーで話をしたりするんですか?

話しますよ。ソロをやってる間も時雨のデモを一緒に作ったりはしてるんで、近況報告的に。それぞれ新しいプロジェクトが始まると、こっちもワクワクします。

音をそぎ落としてしまうならライブはやらない

──楽曲はライブを想定して制作してるんですか?

ライブでの再現性は全然考えてないんですよ。もちろん「flowering」の頃に、参加ミュージシャン全員に「ライブでこれをやるの!?」と驚かれたときよりは、イメージできるようにはなってますけど。ただこういう音楽を鳴らしてる人はほかにいないと思うから、もしライブで表現することによって新しい次元に人を惹きつけられるのであれば、やりたいと思うようになりました。……と言いつつ、自分自身で楽曲の世界観を濁らせてしまうならライブはやらないほうがいいとも思うんで、音楽を生み出すのと同じくらい苦しかったりするんですけどね(笑)。

──でも、すでに今年だけでも2本のツアーをこなして、10月には新たにライブハウスツアーをやりますよね。

自分が見てる景色や世界をより視覚的に伝えるためにもライブが必要なんです。一度自分が完成させた「音」に対しての苦しみも伴うんですけど、きっと新しいものが見せられると思っているし自分も見てみたいんです。ツアーとしてまだ本数は少ないんですが、濃くて刺激的なツアーにしたいですね。

──そうですね。ちなみに10月のツアーが終わったあと、海外旅行を目論んでいるんですか?

やりたいことも終わりも見えていないのでわからないですが、まだまだ精力的にがんばらないとですね(笑)。

2ndアルバム「Fantastic Magic」 / 2014年8月27日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 3888円 / AICL-2715~6
通常盤 [CD] / 3240円 / AICL-2717
CD収録曲
  1. Fantastic Magic
  2. unravel
  3. kalei de scope
  4. an artist
  5. tokio
  6. Shinkiro
  7. Dramatic Slow Motion(album version)
  8. Spiral Parade
  9. fragile
  10. contrast
初回限定盤DVD収録内容
  1. haze(Music Video)
  2. contrast(Music Video)
  3. unravel(Music Video)
  4. Fantastic Magic(Music Video)

TK from 凛として時雨 TOUR 2014
「Fantastic Color Collection」

2014年10月8日(水)
東京都 Zepp DiverCity TOKYO
2014年10月16日(木)
宮城県 Rensa
2014年10月22日(水)
愛知県 DIAMOND HALL
2014年10月23日(木)
大阪府 なんばHatch
凛として時雨(リントシテシグレ)

TK(Vo, G)、345(Vo, B)の男女ツインボーカルとピエール中野(Dr)からなる3ピースバンド。2002年に地元・埼玉で結成し、2005年に自身で立ち上げたレーベル「中野Records」より アルバム「#4」をリリースした。ハイトーンの男女ツインボーカルと、轟音かつプログレッシブなギターロックサウンドで多くのファンを獲得。その後も順調にライブの動員を増やし続け、2008年12月に1曲入りシングル「moment A rhythm」でメジャー移籍を果たす。2010年4月にはさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを開催し、同年5月には初のイギリスツアーを敢行した。9月にリリースした4枚目のフルアルバム「still a Sigure virgin?」はオリコン週間ランキング1位を記録。2013年4月に通算5枚目となるアルバム「i'mperfect」を発表し、同年6月には東京・日本武道館で初の単独公演を行い、成功を収めた。バンドと並行して、メンバーそれぞれがソロ活動、サイドプロジェクトも活発に行っている。