音楽ナタリー PowerPush - TK from 凛として時雨
TKが求めた最上級の“Magic感”
聴いてくれる人に魔法をかけたい
──アルバムの収録曲は早い段階でこの10曲と決めていたんですか?
いや、「unravel」ができた6月くらいのタイミングであったのは9曲だったんです。なんかもう1曲欲しいなと思って作ったのが「Spiral Parade」。これはもう本当にギリギリで、もしできなかったら9曲でいくからってくらいのタイミングに作って。
──何が足りないと感じたんですか?
タイトル曲の「Fantastic Magic」を作ったとき、“Magic”の最上級という漠然としたイメージから「Fantastic」を頭につけたんですね(笑)。今回は僕の音楽を聴いた人が魔法をかけられたような状態になればいいと思ってアルバムのタイトルにしたので、足りないというより、あと1曲足すことで、より“Magic感”が増すと思ったんですよね。あくまで感覚的な話ですが。
──なるほど。ちなみに「Shinkiro」はCharaさんとのコラボ曲……という言い方でいいんでしょうか。
なんかデュエットって表現されますね(笑)。
──あ、やっぱり(笑)。以前、ライブで競演したこと(参照:「夢のようです」凛として時雨×Chara対バンに345感激)がきっかけかと思いますが、この曲はお2人の歌声が重なる瞬間など、“Magic感”の強い曲だと思うんですね。Charaさんとデュエットをと思った経緯は?
普段、断片的なデモってあんまり作らないんですけど、イントロ部分にアダルトな雰囲気が漂っていて、雨が降ってる景色が浮かぶような弾き語りのデモがあって。そのままでも十分美しかったけど、そこに光を感じるものを入れたいと思ったときに、何か自分がコントロールできないものを入れたら、そういうものに仕上がるんじゃないかと思ったんです。
──ほかにもイメージした方はいらしたんですか?
女性シンガーで一緒にやれる人って、そんなにいないと思うんですよ。
──それはどういう意味でいないと?
僕の声も音楽も特殊だから(笑)。
──なるほど。
素敵な女性ミュージシャンはたくさんいますけど、僕の声に対して唯一無二の存在感を出してくれるとなると、1人しか思いつかなかったですね。ミックスを終えたとき、「特殊なもの同士一番遠いところにいきすぎて、結果一番近いところにいた」って感じがしましたから。
──それは、想像していた以上のものだったんだ。
想像はできなかったんですよ。345だったらここらへんのキーでやれば「こうなるかな?」とかがもちろんわかるんですけど、今回はプリプロもしなかったし。楽曲を送って、「このキーで大丈夫ですか?」って聞いたら、「大丈夫でーす」という返事がきただけだったので(笑)。
──なんというラフな(笑)。
そうなんです。どれくらい大丈夫かもわからないまま本番に突入したら、フランクでマイペースな感じがブースに入ると一気に切り替わって、なんていうんだろう……孤高で斬新でした。自分が書いた言葉なのに、Charaさんの言葉だったし。
──TKさんが持つ激しさの中の繊細な部分というのは、きちんと積み重ねるような作品の作り方故に存在しているもの、というイメージがあったので、そういうラフな進め方にも対応するのは意外でした。
そうですね、確かに(笑)。どうなっても確実に何かしらの光になってくれるという確信があったからでしょうね。
──確信が得られたのはなんででしょう。ソロで得た自信?
自信……ではないですね(笑)。たぶんそれだけ何かを欲しがっていたんだと思います。自分が思っていない方向にいくかもしれない不安と確実に自分の手で作れるものを天秤にかけたとき、自分の手からだと出せないものがあるというのが明確だったからやれたんでしょうね。
次のページ » ベルリンで完成した曲「tokio」
- 2ndアルバム「Fantastic Magic」 / 2014年8月27日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3888円 / AICL-2715~6
- 通常盤 [CD] / 3240円 / AICL-2717
CD収録曲
- Fantastic Magic
- unravel
- kalei de scope
- an artist
- tokio
- Shinkiro
- Dramatic Slow Motion(album version)
- Spiral Parade
- fragile
- contrast
初回限定盤DVD収録内容
- haze(Music Video)
- contrast(Music Video)
- unravel(Music Video)
- Fantastic Magic(Music Video)
TK from 凛として時雨 TOUR 2014
「Fantastic Color Collection」
- 2014年10月8日(水)
- 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2014年10月16日(木)
- 宮城県 Rensa
- 2014年10月22日(水)
- 愛知県 DIAMOND HALL
- 2014年10月23日(木)
- 大阪府 なんばHatch
凛として時雨(リントシテシグレ)
TK(Vo, G)、345(Vo, B)の男女ツインボーカルとピエール中野(Dr)からなる3ピースバンド。2002年に地元・埼玉で結成し、2005年に自身で立ち上げたレーベル「中野Records」より アルバム「#4」をリリースした。ハイトーンの男女ツインボーカルと、轟音かつプログレッシブなギターロックサウンドで多くのファンを獲得。その後も順調にライブの動員を増やし続け、2008年12月に1曲入りシングル「moment A rhythm」でメジャー移籍を果たす。2010年4月にはさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを開催し、同年5月には初のイギリスツアーを敢行した。9月にリリースした4枚目のフルアルバム「still a Sigure virgin?」はオリコン週間ランキング1位を記録。2013年4月に通算5枚目となるアルバム「i'mperfect」を発表し、同年6月には東京・日本武道館で初の単独公演を行い、成功を収めた。バンドと並行して、メンバーそれぞれがソロ活動、サイドプロジェクトも活発に行っている。