ナタリー PowerPush - tieemo

BIGMAMA×Choir touched teras chord エモとThe Get Up Kidsを語る

そもそも「エモ」とは?

──そもそもエモという音楽を皆さんはどう解釈しているかお伺いしたいんですが。

大橋 「エモ」とか「エモい」って言葉はなんとなく使われてますよね。ネット上では「BIGMAMAはエモい」って書き込みを見たりするし(笑)。

金井 うーん、言葉で説明するのは難しいですね。BIGMAMAは「パンク」だとか「メロディック」だとか、自分たちの音楽をカテゴライズされることにむなしさを感じていて、むしろジャンル分けに迷われるくらいのオリジナリティを目指そうと常に思いながらやっているんですね。ただそうはいっても僕らはエモが好きだし、ファンの人が僕らの音楽にエモの要素を見出してくれることはうれしくて。ジャンル分けされるむなしさより、エモと呼ばれることのうれしさのほうが勝るっていう、そんなジャンルではありますね。

左から柿沼広也、金井政人、大橋賢、鈴木将太。

柿沼 あえて一言で言うなら、感情に訴える音楽。泣けたり、グッとくるものが僕の中でのエモなんですよね。そして「BIGMAMA、エモい」って言ってもらえると僕らの音楽が聴いている人の胸に刺さった気がしてうれしくなりますね。

金井 今となっては言葉が一人歩きしていて「エモい」という言葉が何を指しているのか、人それぞれで一致していない可能性はすごくあると思います。

──音楽的に掘り下げていくと、エモはFugaziに代表される1980年代のハードコアパンクをルーツに、1990年代後半にそれこそThe Get Up KidsやJimmy Eat Worldといったバンドの活躍を通じて一般的に広く知られるようになって。ただ今となってはスクリーモのようなサブジャンルがあったり、エレクトロニカなサウンドに対してもエモという言葉が使われていたり、実際のところ、エモがどんな音楽なのかは曖昧ですよね。

鈴木 そうですね。だから僕にとってのエモはジャンルではないですね。今はいろいろな種類のエモがあると思います。

大橋 でもそうは言ってもThe Get Up KidsやJimmy Eat Worldを一度聴けば、みんな好きになると思うんですよ。だからエモを知らない人もこのフェスを機にぜひ聴いてほしいですね。

金井 今ちょっと思ったんですけど、エモって切実さや儚さだと思います。音源であれライブであれ、絞り出すようなニュアンス。汗をかかないクールなイメージがあるUKロックに対して、すごく必死に、切実に音楽を表現しているところがエモバンドの共通点としてあるんじゃないかと思いましたね。

理想的なフェスの条件

──今回の「tieemo」の出演者ラインナップもエモが1つのキーワードになっているんですよね?

左から大橋賢、鈴木将太。

大橋 エモの定義って人それぞれなので、最終的には自分の直感を信じてオファーしたんですけど、どのバンドも僕の中ではエモの要素をさまざまな形で感じさせてもらっています。ただ僕たちのようなエモシーンど真ん中のバンドばかりを集めるのでなく、幅広いシーンとつながることを意識しました。それがエモシーンの活性化につながり、未来を切り開くきっかけになるのではないかと思っていて。

──ある意味パーソナルな、手作りのイベントなんですね。全国各地でさまざまなフェスが行われている今、皆さんが考える理想的なフェスってどんなイメージですか?

柿沼 いろんなフェスに出させてもらって僕がよかったなって思うフェスに共通しているのは、来るお客さんが地元愛も含め、そのフェスを大事に思っているところ。そういうお客さんを奮い立たせるパフォーマンスをして、その場で一体感を作り上げられたときに「いいフェスだったな」と思いますね。

金井 僕はイベントの演者と遊びに行くオーディエンスとしての視点が常に両方あって。オーディエンスとして重要なのはそのイベントの信念です。僕はフェスのようなイベントはお弁当のようなものだと思っているんですね。お弁当のおかずのバランスがよくないとガッカリするじゃないですか。ただ違うジャンルのバンドが並んでいるだけだったらワンマンライブを観に行ったほうがいいと思うんですけど、何か信念がつながっていれば、いいフェスになると思うんですよね。

──では演者としてのフェスについては?

金井 出演する側としては、そのイベントの責任者としてライブができるのかということですね。そのイベントに出演者として関わっている身としては人のお金と時間を拘束しているわけだから、そういうことは自ずと考えるし、それが信念となって、お客さんにも自然と伝わると思うんです。だから自分がいいなと思うフェスは自分も主催者のつもりでステージに立てるかどうかが大事ですね。

左から鈴木将太、大橋賢、金井政人、柿沼広也。

──自分たちでフェスを立ち上げるのには膨大な熱量が必要だと思うんですが、大橋さん、鈴木さんはいかがですか?

大橋 その熱量が詰め込めるからこそのフェスだと思うんですよね。「tieemo」というフェスをやろうと思ったきっかけは昨今言われているエモリバイバルなんです。僕は10年くらい前にエモどっぷりのバンドをやっていたんですけど、解散してしばらくエモやドラムから離れていた時期があって。でも3年半くらい前に改めてバンドを組んでエモにどっぷり入っていったら、世界が変わっていて。ぜんさんみたいな若い世代がかつてのエモを聴いていて、当時の僕らと同じようにそのよさを語っているのがすごくいいなと思ったんです。だからそういう今の流れをフェスという1つの形にするのは夢があるんじゃないかなって思ったんですよね。

──それが今回のフェスの原動力になったんですね。

大橋 そのフェスを1つの形でみんなに伝えるには、一貫性がありつつもそれだけではないものをつなげる必要があるとも思っていて。だからThe Get Up Kidsの招聘に始まり、出演アーティストのブッキングやフェスの運営に至るまで、最初の直感を信じて準備を進めているところです。

──では最後にフェスに向けた意気込みをお聞かせいただけますか?

金井 The Get Up Kidsにつなぐためにライブをやるんだという気持ちも頭の片隅に置きつつ、まずはその場にいるオーディエンスにBIGMAMAの音楽を好きだと言わせたいし、次の自分たちのライブに足を運びたいと思わせるライブをしたいですね。あとは自分たちの出番が終わったらThe Get Up Kidsのライブを心ゆくまで楽しみたいです(笑)。

柿沼 金井が言った通り、僕らのパフォーマンスを観て「もう十分満足したから帰ってもいいな」って思ってもらえるようなライブをするだけです。まあ帰ってもいいんですけど、The Get Up Kidsもメッチャいいから観ていったほうがいいと思いますが(笑)。

大橋 そうですね、最後までどんどんアガり続ける、そんなイベントになっていってほしいですね。

鈴木 「また来年もここでライブを観たいな」と思ってもらえるようなパフォーマンスをしたいです。そんなライブになったらバンドとしては最高ですし、全体を通してそう思ってもらえるフェスにしたいですね。

tieemo
tieemo
2013年11月9日(土)、10(日)
埼玉県 所沢航空記念公園野外ステージ

OPEN 10:30 / START 11:30 / END 17:00(予定)
1日券:5700円 2日通し券:9800円
※小学生以下入場無料
<出演者>
2013年11月9日(土)
The Get Up Kids / Predawn / HUSKING BEE / avengers in sci-fi / グッドモーニングアメリカ / LAST ALLIANCE
2013年11月10日(日)
The Get Up Kids / BIGMAMA / 武居創(ex.OCEANLANE) / cinema staff / Choir touched teras chord / the band apart
tieemo project Pre Party
The Get Up Kids JAPAN tour 2013
Osaka / Nagoya
2013年11月6日(水)
大阪府 大阪BIG CAT
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
The Get Up Kids / Choir touched teras chord / and more
2013年11月7日(木)
愛知県 BOTTOM LINE
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
The Get Up Kids / HUSKING BEE / Choir touched teras chord
BIGMAMA(びっぐまま)
BIGMAMA

金井政人(Vo, G)、リアド偉武(Dr)、柿沼広也(G, Vo)、安井英人(B)、東出真緒(Violin)からなる5人組バンド。2002年に東京・八王子で結成され、メンバーチェンジを経て現在の編成に。2006年7月にミニアルバム「short films」をUKプロジェクト傘下のレーベル・RX-RECORDSから発売した。2013年3月に5thアルバム「君想う、故に我在り」と、初のビデオクリップ集「母子手帳 2006-2012」を同時リリース。4月からは全国ツアー「BIGMAMA Tour 2013“ライブ・イズ・ミルフィーユ”」を開催。「父の日」にあたる6月16日の公演では“BIGPAPA”と名前を変えて披露した一夜限りのスペシャルステージが話題に。8月には10thシングル「alongside」を発表。11月1、3、4日に東京・赤坂BLITZにて、過去の作品を余すところなく演奏するライブイベント「We Don't Need a Time Machine」を開催。

Choir touched teras chord
(くわいあーたっちどてらすこーど)
Choir touched teras chord

田島祐貴(Vo, G)、矢巻孝仁(G, Cho)、鈴木将太(G,Cho)、彦田真典(B)、大橋賢(Dr)による5人組エモバンド。通称“ちょいあー”。onsaの岡崎孝和(Vo, G)が在籍していたバンドLet your sprit soarの中心人物である大橋を中心に2010年に結成された。2011年4月に自主制作3曲入りCD「The Sprout of radiant melodies」を発表し、2013年8月には1stミニアルバム「pm / fm」をリリースした。