PUPEEが語る「マイティ・ソー バトルロイヤル」|今のマーベル映画をリアルタイムで観るやつはヤバい

「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」「スパイダーマン」など大ヒット映画のキャラクターたちが壮大なスケールで交差するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。その最新作である「マイティ・ソー バトルロイヤル」が11月3日に世界同時公開される。本作は2018年4月27日に日本先行公開が決まっている「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」への布石ともなる重要な1本。この作品について、自他ともに認めるアメコミ好きであるラッパー&プロデューサーのPUNPEEに深く語ってもらった。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / cherry chill will.

新しくなったソーのキャラクターに注目

──「マイティ・ソー バトルロイヤル」を最速上映で観た感想を教えてください。

PUNPEE

面白かったです。個人的には映画の冒頭からタイトルまでが重要だと思うんです。そこで作品の好き嫌いが分かれる。「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」には最初にキャプテン・アメリカがビルから落ちるシーンがあるんですけど、そのまま地面に落ちるんじゃなくて1回バウンドするんですね。そこで「これはヤバい映画だ」と確信したんです(笑)。今回も冒頭からディテールも含め最高で、タイトルが出た瞬間に「これは!!」ってなりました。

──過去2作とはかなり印象が変わりましたよね。

ですよね。事前にトレイラーを何種類か観た段階で、今回はソーがちょっとファニーなキャラになってるっぽいなと思って。実際に観たら思った以上に笑えました。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」よりも、日本人っぽい笑いの要素があると思いました。ギャグを何度も“天丼”して見せるシーンもあったし。あと、間とかも含めて。

──「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でキャプテン・アメリカとアイアンマンが戦っていたときに、ソーが何をしていたかを描いた先行トレイラー「“チーム・ソー”結成」も面白かったですよね。

最高でした。クリス・ヘムズワースって実は本人はすごくお調子者キャラなんですよ。ファンと一緒になるような会場でソーのコスプレをした一般の人と一緒に踊っちゃうような人で。あのトレイラーにはクリス・ヘムズワースのそういう性格がすごく反映されてると思いました。

──確かに今回のソーは明るいですよね。

「マイティ・ソー バトルロイヤル」より、ソー。

ソーはこれまでそんなに冗談を言うタイプじゃなかったんですよ、神話をモチーフにしたキャラだし。むしろ過去作の「マイティ・ソー」「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」のほうが原作コミックのキャラ設定に忠実なんじゃないでしょうか。でも今回のソーが一番自然な感じがしたな。人間味があるというか。

──どういうことでしょうか?

「マイティ・ソー バトルロイヤル」より、ロキ。

「アイアンマン」のトニー・スタークも、「キャプテン・アメリカ」のスティーブ・ロジャースも、ヒーローなんだけどすごい人間味があるんです。ダメなところがあったり、融通が利かなかったり。「実はソーにもそういうのがあったら面白いんじゃないかな」と前から思ってて。そしたら今回、義弟のロキと一緒にいるシーンが長くて、2人のやりとりの中にソーの人間味がすごく出てたんですよ。これまで描かれてなかった兄弟の関係性も見えてくるので、そのあたりは見どころだと思いますね。

──「マイティ・ソー バトルロイヤル」は、キャラクターの性格なども含め、いろいろ再定義された感はありましたね。

そうですね。でも完全にキャラ変してるわけじゃなくて、ちゃんと過去作の設定も踏まえてる。だから今までのソーを知ってる人も違和感なく観られるし、初めての人も楽しめると思います。

タイカ・ワイティティはかなり変な人っぽい

──今作の好きなキャラを教えてください。

コーグが好きでした。岩みたいな見た目なのに声が高くて、安田大サーカスのクロちゃんみたい(笑)。あのキャラは、監督のタイカ・ワイティティが演じてるんですよ。

──そうなんですね。

PUNPEE

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を監督したジェームズ・ガンもそうだけど、身内をガンガン巻き込んで、自分の庭の中で大きい作品を作る感じがすごく好きです。ちなみに「ガーディアンズ~」のロケットのCGの動きをやってた人も監督の弟のショーン・ガンだったし。しかもショーン・ガンは、役者としてヨンドゥの右腕のクラグリンも演じてて。タイカ・ワイティティにもそういうイズムを感じましたね。

──タイカ・ワイティティのことはもともと知っていましたか?

名前は知ってましたけど、作品を観たことはなかったですね。今回「マイティ・ソー」の最新作を監督するということで改めて認識した感じです。でもこの監督はすごく変な人っぽい。Twitterでずっとどうでもいい冗談を言っていたり、「Comic-Con International」(アメリカ・カリフォルニアで開催されるマンガや映画の大規模なコンベンションイベント)に出演したときにヘラ役をケイト・ブランシェットじゃない別の女優さんの名前で話してたり。誰だか忘れたけど間違えかたがすごく微妙で、ネットでその動画を観たときはリアルに間違えてるのか、高度なギャグとして言ってるのか正直わかりかねました(笑)。でも今回の映画を観て、あの人がそういうギャグセンスの持ち主なんだって改めて感じましたね。

──マーベルはそこまでメジャーではない監督を大抜擢することが多いですよね。

すごい面白い動きだと思います。ジョン・ファヴローも「アイアンマン」の監督をしたことによってさらに有名になりましたしね。「シビル・ウォー」のアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟にも言えることですけど、みんな自分がやりたいことを自分のペースでやる人という感じはしますね。タイカ・ワイティティも今後マーベル映画の軸になっていってほしいし、次に公開される「ブラックパンサー」を監督するライアン・クーグラーも楽しみです。

「マイティ・ソー バトルロイヤル」
2017年11月3日(金・祝)より全国ロードショー
「マイティ・ソー バトルロイヤル」
ストーリー

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」の戦いから2年。アベンジャーズでもっともアツい雷神ソーの前に、復讐に燃える死の女神ヘラが現れた。究極の武器ムジョルニアをもたやすく破壊するヘラによって、ソーと義弟である宇宙一の裏切り王子ロキは宇宙の辺境・惑星サカールへ飛ばされてしまう。そこでエキセントリックな独裁者グランドマスターに捕らえられ、格闘大会へ出場させられたソー。目の前に現れた対戦相手は、なぜか大会の“絶対王者”として君臨するアベンジャーズの盟友ハルクだった。そんなとき、ヘラがアスガルド崩壊をもくろんでいると知ったソーは、ハルクとロキ、さらにワケあり女戦士のヴァルキリーと即席チーム“リベンジャーズ”を結成し、故郷へ急ぐ。

スタッフ / キャスト

監督:タイカ・ワイティティ

出演:クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、イドリス・エルバ、ジェフ・ゴールドブラム、テッサ・トンプソン、カール・アーバン、マーク・ラファロ、アンソニー・ホプキンスほか

PUNPEE「MODERN TIMES」
2017年10月4日発売 / SUMMIT
PUNPEE「MODERN TIMES」

[CD] 2916円
SMMT-99/XQMV-1009

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 2057
  2. Lovely Man
  3. Happy Meal
  4. 宇宙に行く
  5. Renaissance
  6. Scenario(Film)
  7. Interval
  8. Pride
  9. P.U.N.P.(Communication)
  10. Stray Bullets
  11. Rain(Freestyle)
  12. 夢のつづき
  13. タイムマシーンにのって
  14. Bitch Planet
  15. Oldies
  16. Hero
PUNPEE(パンピー)
PUNPEE
東京都板橋区在住のラッパー / トラックメーカー / DJ。2006年に「ULTIMATE MC BATTLE 2006」東京大会で優勝し、2007年にGAPPER、弟の5lackとPSGを結成。PSGは2009年10月にデビューアルバム「David」をリリースし、この作品は各所で高い評価を集める。その後ソロ名義で「Mixed Bizness」「MOVIE ON THE SUNDAY」などのミックスCDを発表し話題に。エナジードリンク「レッドブル」のCMソングや、TBS系「水曜日のダウンタウン」のオープニングテーマ&ジングル制作で多くの人々に知られるようになる。2015年12月には加山雄三とのコラボ曲「お嫁においで 2015」をアナログ12inchでリリース。2017年1月には宇多田ヒカルのヒット曲をリミックスした「光(Ray Of Hope MIX)」を全世界で配信し、全米のiTunes Store総合ページで日本人アーティスト最高位となる2位にランクインした。同年10月に初のソロアルバム「MODERN TIMES」を発売。