ファンがTHE YELLOW MONKEYという偶像を育ててくれていた

──これらの楽曲を実際にドームで披露されて、改めてファンと同じ空間を共有することに対してはどう思いましたか？

ヒーセ　ファンの皆さんもコロナ禍でいろいろなことがあったと思うし、僕らは3年半ライブができなくて、その時期のライブは声出し禁止の時期だったし。そういうところから復活できたという意味は大きいと思います。さらに吉井は病名も何もかも全部さらけ出して「こんな状況です」と。そういうこともファンの皆さんは知ったうえで東京ドームに来てくれたので「皆さんと復活」みたいな、密接な関係を感じましたね。あとは90年代に、僕らのすごく大切な曲をたくさん弾いてくれていた三国（義貴）さんも今回のアルバムやドームに参加して、いいフックをたくさん作ってくださって。みんなの集大成でしたね。

──おっしゃる通り、バンドだけにとどまらないファンとの関係性、コミュニティがまた復活していると僕も実感しました。

アニー　「THE YELLOW MONKEYは4人のことだ」と昔は思っていたんですけど、休止して解散した間も存在していたような気がして。じゃあTHE YELLOW MONKEYってなんなんだろう？って言ったら、オーディエンスがTHE YELLOW MONKEYという偶像をちゃんと育ててくれていた印象があるんです。それを今回のドームですごく強く感じて。THE YELLOW MONKEYは俺たちのことじゃなくて、聴いてくれる、愛してくれるすべての人を含めているんだなと。それで吉井の声がかすれようが完全に「復活した」と実感できましたね。

吉井　THE YELLOW MONKEYのファンって「100%大好き」という人だけじゃないんですよ。どこかライバル視しているような子もいるし、「吉井がまたああいうこと言ってるわ」という見方とかも踏まえてのTHE YELLOW MONKEYで。そもそも僕個人としては、活動休止を発表した2001年の最初の東京ドームのリベンジをずっと果たしたくて再集結後に何回もドームでライブをやったんだけど、なんか腑に落ちなかったんです。でも今年の4月27日は2001年の東京ドームとぴったりくっついた感じがした。「疲れたからもうこのバンドはやりたくないです」って東京ドームで言った男が「ほら見ろ、バンドを粗末にするから病気になりやがって。結局メンバーに助けられてこうやって復活してるんじゃないか」と言われているようなストーリーも、僕個人としてはつながってるなと（笑）。

ヒーセ　僕が東京ドームで強く感じたことは、活動休止や解散しているときでもバンドが現象のように存在し続けたんだなと。僕らが動いていない間でもTHE YELLOW MONKEYっていうものはずっと存在していて、例えば映像作品を観たりとか、作品が聴き継がれて愛されてきた証というか。最近は若い世代の人たちが客席にすごく目立つんですよね。「親の影響で昔のTHE YELLOW MONKEYを聴いていました」みたいな人たち、それこそみのさんと同世代の方々も観に来てくださっているし、もっといくと親子三代になるんじゃないかなって。

常に第一線、いつまでも現役で

──解散と再集結を経て、バンドへの思いをさらに強くした皆さんの関係性についても改めてお伺いしたいです。というのも「復活の日」の歌詞の中で特にグッとくるのが「ヘイブラザー」のところなんですよ。ここがアツい！というか。あと「Exhaust」も「崖っぷちを流してる4シートのカプリオレ」とか、メンバーのことを表しているような歌詞が随所に出てきていると思うんですが、皆さんめちゃくちゃ仲いいですよね？

吉井　いや、嫌いなところもありますよ？（笑） 肉親でも、自分のおふくろの嫌いなところってあるじゃないですか（笑）。

アニー　わりと最初の頃からこういう感じですけど、再集結してからもっと絆が強まったかな。

吉井　でもそうだ、人間ができている！ 僕以外（笑）。

ヒーセ　まあ、距離感を取るのが全員うまいですよね。グイグイ入ってこないし、誰も人の領域を侵食しないし。

吉井　兄弟ですらそうだもんね。

ヒーセ　そう。むしろエマとアニーが一番距離を測るかもしれない（笑）。

アニー　メンバーで一番話しないかも（笑）。LINEするのも俺より2人のほうが多いと思う。

吉井　俺のほうが多いよな。もう俺の兄貴だよ（笑）。

アニー　今度もし機会があったらいろいろ掘り下げてください。すごく面白い男なんで（笑）。兄弟でもよくわからない。

──最後になりますが、ドーム公演を終えて10作目のアルバムをリリースして、ここからのTHE YELLOW MONKEYの展望、どういう活動を思い描いているのかをお伺いできると。

吉井　やり残したことは海外進出か。

アニー　でもそれ、すごくしたい？

吉井　あわよくば。苦労せずバズって、とかね（笑）。

アニー　そこに心血を注ぎたくはないですよね。生で聴くことが素晴らしいと思って音楽を続けているので、それをずっと続けていきたいです。バズって何億回再生ってなるよりも、この間のドームみたいにライブで5万人が「ワーッ！」と言ってくれたほうがうれしいし。

吉井　あとはアルバムを作り続けて、そのアルバムを引っさげてのツアーを続けるのがやりたいことかな。「ちゃんと力を入れて作っている」と伝わるようなものを作って、年相応に続けたいね。

──変わらずに、という感じですかね。それが一番ファンの皆さんが求めているものなんじゃないですかね。

ヒーセ　歳を取っていっても、熟練のすごいレジェンドとしてときどき表に出る……という感じじゃなく、僕らのペースを保ちつつ常に第一線で、若いバンドと同じステージに上がる存在でありたいですね。もちろんレジェンドって言われるのも嫌な気持ちはしないんですけど、いつまでも現役でいたいです。

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