バンドを続ける理由
──TAKUMAさんは出会った2012年からこれまでで、何かTHE SKIPPERSやJAGGERさんの変化を感じます?
TAKUMA やってることとか人間性はあんまり変わってないけれど、より厚みや深みみたいなものは増してるのかなと感じます。「ワンコードでずっとシャウトしといたらええねん」みたいな音楽性に見えて、実はやっぱりロックと音楽が好きで、言いたいことが伝わる音とリズムを作ることに一生懸命って言うか。ベストを聴いていて、バンドマンっぽい作品やけど、勢いだけでやってないからこそ、逆により勢いを感じられるなって思いました。
JAGGER ベスト録りながらも思いましたけど、やりたいことは最初から変わらないんやなあって思いますね。変われなかったのかもしれないですけど、変わる気がなかったんかな。僕、バンドを始めた理由が、「音楽が好きやから」じゃなくて「ロックスターになりたい」やったんです。子供のとき、いじめられっ子で自己主張することがまったくできない子で。それで「ロックスターになったら誰も何も言わへんやん。ロックスターになってみんな見返したろ」って。僕の中ではTAKUMAさんがロックスターなんですけど、そのTAKUMAさんが15年経ってもまだ全然前にいるから、自然とがんばれる。普段、目標とか考えないですけど「この人になりたいんやったらまだまだやな」って思いますね。いい歌を歌うとか、売れる曲を作るとかそんなんじゃないんやなって。
──THE SKIPPERSは15周年で、10-FEETも今年で結成20周年を迎えました。それぞれの、続ける原動力は何なんでしょうか?
TAKUMA お客さんと対バン仲間に尽きるんじゃないですかね。音楽が好きっていうのはもっと大前提なことで。バンドが好きやけど、やらなかったりできなかったりする仲間はたくさんいるんで、音楽ができる環境……競演してくれるバンドと来てくれるお客さんがいないと成立しないかなとは思います。もちろんビジネスやエンタテインメント的にも成立しないといけないと思いますけど、例え1人とか2人であっても、待ってる人がいるっていうのは曲作ってるときにも原動力になる。あとは友達や先輩後輩がカッコよかったら負けてられへんなっていう。手放しにモチベーションとかイメージがあるとき以外は、そういうものに助けられてきたのかなって気はしますね。さっきJAGGERが言ってた「いじめられてた」とか「自己主張できなかった」っていうのもそういう1つだと思うし、いろいろ満たされてたらバンドやる理由なかったかもしれんなって思うことはあるかな。
JAGGER すごいわかります。
TAKUMA バンドを始めたのは「音楽が好き」っていう気持ちが理由やけど、続ける理由は音楽以外のことも多かった気はするなあ。自分より強いヤツとかカッコいいヤツがいて、それに勝つためだとか、そういうシンプルなもの。例えば自分がめちゃめちゃ強かったり、スポーツが得意やったり、頭がよかったりしたら、音楽って遠のいたと思うし。バンド、音楽って必ずしも技術がないといけないということでもなく、その人のいいところ、面白いところが引き出しになる。その面白さをひねり出すにあたって、プラスな要素だけじゃなくて、ネガティブな過去とかマイナスなものも燃料とかエンジンに変えられることが幸いですよね。
自分の歌に助けられる
JAGGER 僕、最初は歌いたいことなんてなかったんですよ。それこそTAKUMAさんにテープ渡した頃は「韓国語でテキトーに歌う」とかやってたし、歌詞にこだわってなかったんです。「メロディがよかったらいい」って思ってた。でもツアー回ってたり、人生でいろんなことを経験していくうちに、込み上げる感情が勝手に言葉になって歌詞になっていくようになりました。「こういうことを歌いたい」という何か1つのことがあるわけじゃないんですけど、そのときそのときで歌いたいことを詰め込めるのが自分の歌やなって思ってます。10-FEETも素直に出てる曲が多いですよね?
TAKUMA そういうのもあるし、なんにも浮かんで来うへんときに「普段の俺やったらこう言うかな」とか「こう言う人になりたい」っていうものを書いて、あとから歌詞に自分が追いついていったりっていうこともある。
JAGGER ああ、それは僕もあるかもしれないですね。僕ね、歌詞だとけっこう強気になれるんですよ。で、ステージに上がっても強気なんです。でも私生活ではめっちゃ弱いんです。だから自分の歌に助けられることが多いですね。ライブで歌って、自分の書いた歌詞に気付かされるんです、「俺、こんなんじゃアカンわ」って。「JAGGERに言われてる」みたいな気分になります。
TAKUMA 「この歌詞書いたときはもうちょっと心がきれいやったな」ってハッとしてしまうときはありますね。自分のためにも、いいときの10-FEETのTAKUMAでいるためにも、必要以上に悪い人になったらあかんし、必要以上にいい人になってもアカンっていうのは思ってて、強いときも弱いときも、トゥーマッチなときに自分の歌詞にハッとすることはあります。
──では最後に、今後の野望をお聞かせください。
JAGGER 「売れたい」って言ったらカッコ悪いと思うんですけど、大勢の人に認められたい。「デッカいステージでライブやりたい」ってずっと思ってて、それってどういうことか考えたときに「全員が俺の味方で、その全員に俺を認めてもらいたい」っていう気持ちが強いんだってことに気付いて。「京都大作戦」に出たときも「こんな大勢の人の前でやらせてもらえるんや!」って感激しました。もちろんそれが敵ばっかりのときもあるんですけど。今後は味方を作っていきたいですね。
TAKUMA THE SKIPPERSには死ぬほど売れてほしいですね。WANIMAの7万倍くらい(笑)。
JAGGER ヤバイですね(笑)。うれしいです。同期のHEY-SMITHとか、後輩たちがびっくりするくらい売れていくんで。売れたくてやってるわけじゃないですけど、売れんとなと。売れていくことで憧れてるバンドと競演できたり、そういう夢のあることが起こるし。僕らは10-FEETと対バンすることを目標にがんばってるんです。あと「PUNK THIS TOWN」もいつか10-FEETを呼べるフェスにしようってメンバー全員で言ってるんで、いつか出てください!
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THE SKIPPERSへ15周年のお祝いコメント
- THE SKIPPERS「GREATEST SKIP」
- 2017年4月5日発売 / PINE'S APOLLO
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[CD]
2700円 / PACD-0001
- 収録曲
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- LOOKIN' BACK
- GOING SKIP
- APOLLO
- FIGHT FOR US
- SYMBOL
- IMAGINE
- HIKARI
- GET WAY
- WALKMAN
- PRICELESS
- BAT ALIEN
- MESSAGE
- PUNK THIS TOWN
- SKIP BY SKIP
- WAY OF LIFE
- THE SKIPPERS presents PUNK THIS TOWN 2017
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- 2017年8月6日(日)大阪府 猪名川運動公園 特設ステージ
- THE SKIPPERS(スキッパーズ)
- 2002年にJAGGER(G, Vo)を中心に大阪で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はJAGGER、GALAMMASARA(B)、AKIRA(Dr)の3人で活動をしている。2005年に初の単独CD「SKIP BY SKIP」をTHE NINTH APOLLOよりリリース。ライブとCDのリリースを重ね、全国での人気を集めていく。2010年から自主企画イベント「PUNK DRUG NIGHT」を大阪・BIGCATにて開催。結成15周年を迎えた2017年、THE NINTH APOLLOとPINEFIELDSによる新レーベル・PINE'S APOLLOに移籍し、初のベストアルバム「GREATEST SKIP」をリリースした。6月に初のヨーロッパツアー、8月には大阪・猪名川運動公園で野外イベント「PUNK THIS TOWN 2017」を実施する。
- 10-FEET(テンフィート)
- TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)の3名によるスリーピースバンド。メロディックパンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどのさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集めている。また精力的にライブ活動を続け、その迫力満載のライブパフォーマンスや人間味あふれる深いメッセージが込められた楽曲、笑顔を誘い出すキャラクターでもファンを魅力。さらに日本はもとよりアメリカや韓国、台湾でもライブを行うなど、活動の幅を世界に広げている。また自身で主催するフェス「京都大作戦」も例年大成功におさめている。2017年に結成20周年を迎えた。