ナタリー PowerPush - The Mirraz
武器を磨いて真面目に作った メジャー1stアルバムの裏側
「僕らは」がアルバムのキーになった
──前回のインタビューで「メジャー移籍が決まってから100曲くらい作った」って言っていましたけど、それらの曲はこのアルバムにも入ってるんですか?
いや、一切入ってない。やっぱりモードが違ってくるので。次のアルバムもその中からというわけにはいかなかった。それってリスナーには関係ないことかもしれないけど、作ってる側としてはやっぱり違和感が出てきちゃうんですよ。自分の中の美学を貫かないとおかしなことになっちゃう。そういう価値観もThe Mirrazの核だから。
──アルバム制作に向かう上でキーポイントになった曲はなんですか?
「僕らは」はデカかったですね。あの曲ができたときに、いい曲だなと思ったし、アルバムのモードを決める曲にもなる気はしていたんだけど、自分にとって特別な曲になるとはそんなに思ってなくて。
──そう? 意外だな。
バンドとして世の中に立つために大事な曲ではあるんだけど、個人的に大事な曲になるとは思っていなくて。でも、ライブでお客さんがこの曲を聴いてる姿を見たときに、これはすごく特別な曲になったなと思えたんですよね。自分があの曲を作って、ライブであの曲をやって、お客さんがあの曲を認めてくれている事実が、ほかには代え難い喜びというか。ここまで特別な存在だと思える曲って、人生経験としてそんなにないなと思った。
──そこまで思えるのは素晴らしいね。
あと、アルバム曲では「S.T.A.Y」は自分でもすごくいい曲だなって思う。
──この曲、サビの突き抜け方がすごい。
そう。この広がりはハンパないですよね。「僕らは」もそうなんですけど、サビの突き抜け方と、特別な広がりがある。特に「S.T.A.Y」は、もう1回同じような曲を作ってみろと言われてもできないタイプの曲ですね。The Mirrazらしい曲かって言われたらそんなこともないし。Aメロとかは今までより言葉数を減らしてみようみたいなチャレンジもあって。言葉をいっぱい詰め込んでしまうと、曲の世界観が台なしになってしまうと思ったので。そうやって作って、サビでバーン!と広がったときに「この曲すげえな!」って思えたんです。明るいし、ある種の希望に満ちた曲なんですけど、すげえ切なくもあるっていう。そのバランスがいいなって。
──歌詞もそうだしね。
そう。曲も、歌詞も、今後の可能性をすごく秘めている曲だと思います。
──「S.T.A.Y」「きっと、きっとね」「Fuck you very much」っていうアルバムのラストを飾る3曲はどれも新しいし、振り幅もあって重要だなと思った。
そうっすね。最初は「きっと、きっとね」で終わろうという話をしていたんですけど、この曲で終わっちゃうのはちょっと感傷的すぎるかなと思って。やっぱり面白いエンディングテーマみたいな曲が欲しいなと思って、「Fuck you very much」を作ったんです。この曲みたいに途中でテンポがドラスティックに変わるアプローチは前からやってみたいと思っていて、新しいチャレンジができたなと。あとはサウンドと歌詞のギャップも面白いバランスになったし。
──「きっと、きっとね」や「クッキー」のようにメロディアスな曲は、畠山くんのソングライター、メロディメーカーとして裸の状態が浮き彫りになっているなと。
うん。この2曲は弾き語りみたいな感じでできたので。The Mirrazらしくないなあって最初は思ったんですけど、アルバムにこういう曲が入っていてもいいかなと。あと、この2曲はシンプルな歌だけど、ギターのアレンジを中心にサウンドにもすごくこだわることができたから。それもよかったなって。だからこそ歌としての説得力も増していると思うし。
リスナーが夢を一緒に見られるバンドでいたい
──このアルバムをリリースしたあとのビジョンは描いていますか?
このアルバムに関しては丁寧に届けていきたいという気持ちがすごくあります。4月からのツアーも楽しみですし、ライブは、お客さんにもっと音楽やロックの楽しさをしっかり伝えていきたいですね。ロックがつまらない、音楽がつまらないって思っている人がどんどん増えていると思うので。ロックや音楽の楽しさをちゃんと伝えられるバンドでありたいし、そういうライブをしなきゃいけないと思っています。やっぱりThe Mirrazってほかのバンドとは違う、ちょっと特殊な戦い方をしていると思うので。「いつか100万枚売りたい」とか、みんな思っていても言わないと思うんですよ。でも、俺らを応援してくれる人たちも堂々と大言を吐く俺らと一緒に夢を見てくれていると思うんですよね。
──こいつらが売れたら痛快だなって。
そうそう。リスナーが夢を一緒に見られるバンドでいたいですよね。例えば人生退屈だなって思ってるやつらが、俺らをきっかけに自分の夢を描いてくれるようになったらすげえうれしいし。そういう1つの道しるべになりたいし、そのためには絶対に成功しなきゃいけないですよね。
- ニューアルバム「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」 / 2013年2月13日発売 / EMI Music Japan
- 「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」
- 「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / TOCT-29108
- 「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」通常盤[CD] 2800円 / TOCT-29109
- 「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」初回限定盤スペシャルBOX [CD+DVD+グッズ] 5555円 / TOCT-29107
CD収録曲
- 気持ち悪りぃ
- スーパーフレア
- encode
- 僕らは
- HELL'S DRIVE
- うるせー
- クッキー
- De La Warr
- ウ□ボ□ス
- 傷名
- S.T.A.Y.
- きっと、きっとね
- Fuck you very much
初回限定盤DVD収録内容
MUSIC VIDEO
- 僕らは
- 気持ち悪りぃ
- 傷名
- うるせー
- スーパーフレア
- S.T.A.Y.
LIVE at 代官山UNIT 20120716(niconico)
- CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
- シスター
- 僕はスーパーマン
- check it out! check it out! check it out! check it out!
- Make Some Noizeeeeeeeeeeee!!!!
- ハッピーアイスクリーム
- ラストナンバー ・KINOI TV 特別編~ミイラズどうなんでしょう~(Tour Document)
初回限定スペシャルボックスセット グッズ内容
- キノイ君人形
- ミイラのキノイ君・絵本シリーズ#02「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」
- 畠山監督MVバッジ3個セット
- 「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」イメージ原画ステッカー
The Mirraz(みいらず)
畠山承平(Vo, G)、佐藤真彦(G)、中島ケイゾー(B)、関口塁(Dr)からなるロックバンド。2006年9月に畠山が中心となって結成。2008年12月に1stアルバム「OUI! OUI! OUI!」、2009年10月に2ndアルバム「NECESSARYEVIL」とリリースを重ね、UKロックの影響を感じさせるサウンドや攻撃的なパフォーマンスで注目を集める。2011年、自主レーベル「KINOI RECORDS」の立ち上げと同時に、中島と佐藤が正式加入し現在の4人編成に。2012年7月にEMI Music Japanへの移籍を発表し、10月にメジャー第1弾シングル「僕らは / 気持ち悪りぃ」をリリース。2013年2月にメジャー1stアルバム「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」を発表した。