自分たちの武器を意識して作った

──これぞ最新のThe Mirrazというアルバムになりましたね。

そうっすね。The Mirrazってどんなバンドなのかわかってもらえる作品を作りたいという思いが最初にあって。じゃあThe Mirrazってなんなのかを考えたときに、俺らの代名詞はダークなギターリフであり、ダンスっぽいビート感であり、歌詞の独特な言葉選びや言葉数の多さであり。そういう自分たちの武器と言えるところをこれまで以上に意識して作ったアルバムですね。あとは音のクオリティを上げたい、歌詞の世界観を今までとはちょっと違うものにしたいという目標も達成することができたなと。俺らって、言いたいことを言うバンドっていうイメージがあると思うんですけど、それが子供っぽくならないようにしたかったんですね。音の面でも、言葉の面でも精度を上げることができたし、すごく満足しています。ただ、もうすでに新しい曲を作ろうとしているので。そうなるとちょっと反省点も見えてきた部分もあって。

──それってどういう部分ですか？

もっとエンタテインメント性を出したいなとか。まあ、それは向上心なんで、ネガティブなアレではぜんぜんないんですけど。

積み重ねてきたものがすべて

──メジャー移籍後、自分たちの戦い方をどのように見据えながらこのアルバムの制作に向かっていきましたか？

まず、チャートを見ても上位にロックバンドがいない状況があって。

──いよいよロックがホントにマイノリティなジャンルになりましたよね。

そうですね。今、ロックバンドがチャートに上がるといっても、ほとんどJ-POPと差別化できないようなものばかりで。そんな中で俺たちはありきたりな音楽をやるつもりはなくて、洋楽の流れを汲んだロックをちゃんと提示したいんですよね。メジャーに来てその思いはより強くなった。ほかと並ばないロックをちゃんと広めて、多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちがすごくあります。戦いづらさはもちろんありますけどね。

──現状がシビアすぎて？

うん。逆に自由だっていう部分もあるんだろうけど、単純にCDの売り上げがどんどん下がっているから。収入源が減ったらそれだけ自由にできなくなるのは明らかなわけで。自分たちの目標はデカいところにあるので、そのあたりはヘビーだなって思うんですけど。でも、The Mirrazってすごい不思議なんですけど、一歩ずつ進んできている感じなんですよね。売れるバンドって、インディーズからメジャーに行って、メジャーでいきなりポーンと行くパターンがわりと多いと思うんですけど。俺らはすごく地味に登ってきていて。

──実はね。

実は。こういう売れ方をしているバンドってほかにあんまりないんですよね。インディーズ時代が長かったからというのもあると思うんだけど。でもインディーズ時代も、プロモーションとかそんなにしないでよくここまで来れたなという思いもあるし。そこは不思議でもあり、誇りでもあって。

──なんでそういう登り方ができたんでしょうね？

それがわからないんですよね。もちろんバンドの信念を曲げずに、作品ごとに音楽性を大事にしてきたからというのもあるんだけど、運もデカいと思うんですよ。

──でも、バンドが自分たちでしっかりストーリーを描いてきたというのは間違いなくデカいと思う。誰が描いた絵でもなくね。個人的にロックバンドの生命線ってそこなんじゃないかと思っていて。

そうっすね。俺もそこが一番大事だなと思っていて。運もあるけど、積み重ねてきたものがすべてだと思うから。