The Floorが初のフルアルバム「ターミナル」で2月7日にメジャーデビューを果たす。
自分たちが得意とする、みずみずしく青春感のある世界観を打ち出した本作。オープニングを飾る「18」からエンディングの「ファンファーレ」まで通して聴いたあとには、青春映画を観たような余韻が残る。
音楽ナタリーでは、メジャーデビューに合わせてThe Floorにインタビューを実施した。順調にキャリアを重ねているように思える彼らだが、メジャーデビューへのプレッシャーも感じていたと語る。前作「ウェザー」から「ターミナル」誕生に至るまでの話を聞いた。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 吉場正和
変にメジャーを意識してた
──メジャーデビュー、おめでとうございます。
一同 ありがとうございます!
──まずは、今作に至るまでの経緯から教えていただけますか?
ササキハヤト(Vo, G) えーと、「ターミナル」の制作は前作「ウェザー」をリリースしたあとにすぐ始まったんです。初めてのワンマンライブがあった中で意気込みが強くなって自分たちの作りたいものを探していったんだけど、いざメジャーデビューとなると「どうすればいいんだろう?」と悩んでしまって。例えば1980年代のポップスとかいろんな音楽をみんなで聴いたりして、ずっと試行錯誤をしていました。たくさん曲を作ってたのに、初めの頃は「これで行こう!」と思えるのがなかなか出てこなくて、大いに迷ってました。
ミヤシタヨウジ(B, Cho) 去年の夏くらいかな。変にメジャーを意識していた時期があったんですよ。
永田涼司(G, Cho) 「ウェザー」はすごく素直に作れた1枚で、サウンドや歌詞に関して明るい面も暗い面も切ない面もギュッと詰まったものができて、やりたいことをやれた感触が強いんです。でも、次は何をしようかと思ったときに「ん……?」ってなっちゃった。
──なんかデジャブ感ありますね。前回のインタビューでも制作時に戸惑っていたという話は出てたので(参照:The Floor「ウェザー」インタビュー)。
永田 そうなんですよね(笑)。毎回なんやかんやで。そのとき旬なものや自分らの聴きたいものを詰め込みたい気持ちはいつもあって、そこにブレはないけど。いろんな音楽を聴きすぎたせいかな。
ササキ 無理やり自分たちの音楽性を見つけようとしてたかもね。
永田 「俺らの強みはなんだ?」みたいな話もしました。「汗と涙でフロアを水浸しにしたい」がバンド名の由来なので、泣けて踊れる音楽を追求しようとするんだけど、言葉が先に出ると頭でっかちになっちゃって。もっと、ジャムってる最中にアイデアがパッて浮かんでくるとかのほうがいいんですよね。曲で言うと、「寄り道」「ファンファーレ」なんかはそうやって原型ができたんで。それがリード曲「18」を作るモチベーションにつながっていったと思います。
ササキ 「18」がアルバムの基盤になったね。純粋に好きなことをやり始めてからがっちりハマッて、素直な曲がどんどんできていったっていう。
永田 結局、そのパターンな(笑)。
ミヤシタ 「ウェザー」は超えなきゃいけない、みたくなっちゃってたね。
コウタロウ(Dr, Cho) うん、4人共なんか真面目で、そうなりがち(笑)。でも、考えすぎてもしょうがないんで、みんなで演奏してて楽しい気持ちになるのがよくて。
ササキ やっぱり楽しいと曲ができるんだよね。
永田 ハヤトが歌詞を書いてたときに、俺とヨウジとコウちゃんでジャムったじゃん? 「頭でっかちになってるから、とりあえずデカい音出そうぜ」ってさ。それでスタジオでバーンとやったら、「ああ、コレかもしれないねー!」みたいになったときがあって。
ミヤシタ あったあった! その時期はメンバー各自でアイデアを溜めようとしてて、スタジオでほとんど音を合わせてもいなかったんです。でも、子供に戻る感じ、音を出す楽しみが、いろんな悩み全部を余裕で超えちゃった気がした(笑)。
音楽は楽しんでやるものだな
──結果的に「ウェザー」を超えることができた?
永田 超えられたと言うよりも、「ターミナル」は外に向かう作品になった感じがします。自然にポップな曲が多くなって。これからまだ見たことのないところへ行く……メジャーのフィールドですよね。そこに対する憧れ、期待、希望みたいなものが曲に出てると思う。
ササキ 「ターミナル」ってタイトルはヨウジが考えてくれて、今までに出会ってきた人たちと、メジャーデビューした先に出会っていく人たちがつながっていくイメージを込めてます。
コウタロウ 苦労が多かったアルバムだけど、それもよかったよね。
ササキ うん、俺ら4人が寄り添ってできたアルバムだし。これまでよりも悩んだことがちゃんと糧になってるのを感じるんです。音楽で対話する大切さとか。
ミヤシタ ああして悩んだ過程って、俺らにとってはものすごく意味がありました。
──その甲斐あって、いいアルバムが完成したわけですもんね。
ササキ 今回の制作を通して、「音楽は楽しんでやるものだな」ってすごく気付かされました。曲もそうだし、歌詞もつらいと感じながら書いてた時期があったんですよ。でも、そんなことより自分が楽しくスラスラ書けた瞬間が忘れられなくて。「こういうことだったよな、やっぱり!」とハッとする出来事が多かった。それをメジャー1stアルバムのタイミングで再認識できたのは財産になると思います。
永田 おかげさまで、アルバムのリリース前に気持ちも吹っ切れて。次からは迷わないです!
ササキ いや、たぶんまた迷うよ(笑)。迷うけど、根っこの部分はもう大丈夫。絶対に楽しみ切る! 制作もライブも。
──「ターミナル」には、終着駅という意味もあるじゃないですか。いわゆる青春の記録を残したい、その時代にケリを付けたいという思いがあったんですか?
永田 ありましたね。「自分たちが夢中になった十代、二十代のときの言葉にできない音楽の力みたいなものを音楽にして出す」ってことができたと思います。
ササキ そういうフレッシュなサウンドに引っぱられて歌詞を書いたので、青春感みたいなのはより強く出ました。「僕が今グッときて泣けるものってなんだ?」って考えたときにも、浮かんだのが青春だった。あとはメジャーデビューを前にした境遇を踏まえて、歌詞に「まだ見ぬ先へ進みたい」という自分の思いを自然に重ねられた感じもあります。
永田 ノスタルジーがあって、センチメンタルでもある時期の美しさと言うか。「Wake Up!」はまさにそんなイメージで曲を書きました。明るくて、切なくて、ゆるくて、楽しい。
──「ファンファーレ」でも「大渋滞感情」と歌ってるし、「ドラマ」の歌詞でも楽しいとか寂しいとかいろいろな思いが錯綜してるんですけど、そういったゴチャゴチャを肯定する姿勢が随所で見えますね。
ササキ だからこそ、今があると言うか。ゴチャゴチャしたことが正解だと思って書いた歌詞かな。僕は「ドラマ」に一番わかりやすく青春感を感じてたんですよ。
永田 そうそう。メロディを書いたときに、映像のイメージを全部伝えたでしょ?
ササキ 「川沿い」としか言ってなかったけどね(笑)。そこから学生時代を思い出して歌詞のイメージを膨らませました。
永田 頭のギターリフも学校のチャイムの音をひっくり返してるんですよ。
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どうにかしてスタジオに笑顔を取り戻したい
- The Floor「ターミナル」
- 2018年2月7日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [CD+DVD]
3500円 / VIZL-1307 -
通常盤 [CD]
2500円 / VICL-64925
- CD収録曲
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- 18
- ドラマ
- イージーエンターテイメント
- 煙
- POOL
- Wake Up!
- Flower
- レイニー
- 寄り道
- ファンファーレ
- 初回限定盤DVD収録内容
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1stワンマンライブ「天井知らずワンマンツアー」@下北沢SHELTER 2017.07.07
- 灯台
- Wannabe
- Toward Word World
- アザーサイド
- SING!!
- Cheers With You
- ウィークエンド
- DRIVE
- 君とマフラー
- さよなら、また明日ね
- ハイ&ロー
- はたらく兵隊さん
- パノラマ
- Teens
- ラブソング
- リップサービス
- ノンフィクション
- 内緒話
- 夢がさめたら
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「18」Music Video
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- The Floor Presents「In Train Tour」
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- 2018年3月9日(金)北海道 Sound Lab mole
- 2018年3月20日(火)大阪府 Music Club JANUS
- 2018年3月23日(金)東京都 WWW
- The Floor(フロア)
- 2012年10月に結成された北海道札幌市在住のギターロックバンド。メンバーはササキハヤト(Vo, G)、永田涼司(G, Cho)、ミヤシタヨウジ(B, Cho)、コウタロウ(Dr, Cho)の4人。札幌を中心にライブ活動を展開し、2016年5月に初の全国流通作品となるミニアルバム「ライトアップ」を発表する。同年8月に一般公募枠「RISING☆STAR」の1組に選出されロックフェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO」に初出演する。12月に4曲入りCD「Re Kids」を、2017年6月に2ndミニアルバム「ウェザー」を発表。2018年2月にビクターエンタテインメントよりメジャー1stアルバム「ターミナル」をリリースする。