ザ・クロマニヨンズのMVを1日で6本撮影 PERIMETRON所属のMargtが制作の裏側を語る

クロマニヨンズはめっちゃ優しかった

──クロマニヨンズの6本のMVは、1日でいっぺんに撮影を行ったそうですね

Arata はい。1日で6曲なんてもちろんやったことないし、「どう撮るか?」から始まって。

Isamu

Isamu プランを2つ出させてもらったんですよ。1つは全曲ストイックに演奏だけを撮るプランで、もう1つは曲によってバラエティを出すプラン。そしたら「いろいろやったほうがいいんじゃない?」ということになって。

Arata 難しかったですね。クロマニヨンズは演奏しているだけで完成しているし、何もいらないじゃないですか。そのまま撮るだけでカッコよくなるので、何を加えればいいんだろう?って。

Isamu どちらにしても「小細工はしないほうがいい」とは思ってましたけどね。存在自体がカッコいいから。まずこっちでアイデアを出して、「どの曲でアニメを使って、どの曲でコラージュを入れて」みたいなことを説明させてもらいました。アニメのトーンなんかも、打ち合わせのときに話したんですよ。

Arata そこで甲本さんも好きなMVを見せてくれて、「こういう感じがいいんだよ」ってアイデアをくれたり。

Isamu 僕らが提示したことも「いいね」って言ってくれて。「楽しみにしてる」って言ってもらえたのもうれしかったです。「怒られたらどうしよう?」って思ってたから(笑)。

Arata めっちゃ優しかった。ただ、撮影してるときもやっぱり「これだけでいいんだけどな」と思っちゃって。「アニメーションやCGと組み合わせてうまくいくのかな?」って不安だったんだけど、やってみるとめちゃくちゃ合ったんですよ(笑)。

Isamu そうなんだよね。

Arata

──提示したアイデアがよかったのでは?

Arata だといいですね。「いいね」って言われるということは、納得してもらえたのかなと。撮影は大変でしたけどね。1つのスタジオに2つセットを作って、また別のスタジオにグリーンバックのセッティングをして。

Isamu 同時進行ですね。

Arata 修行のようでした。1日6本はギネス記録も狙えるんじゃないかな(笑)。

Isamu (笑)。いい経験になりました。

ひねりすぎず、ストレートに応えたかった

──では、1曲ずつ聞かせてください。まずは「ドライブ GO!」。メンバーの皆さんが円形になって向かい合って演奏して、その周りを高速でカメラが移動する構成ですね。

Arata けっこうなスピードだったんですよ。カメラマンを乗せた台車をスタッフが2人で押して。

Isamu 押してる人はずっと走ってる状態だったんですよ。あのスピード感をキープするのが大変で、1回撮ったら体力が回復するまで待って「じゃあ、もう1テイクいこう」って。

Arata 面白かったけど、めちゃくちゃ大変でしたね。

Isamu 収録的には「ドライブ GO!」が最後だったんで、力を振り絞って(笑)。メンバーの皆さんもきつかったと思います。そのおかげでカッコいい映像ができたかなと。完成したMVを観てもらった瞬間、すぐ「うん、めちゃくちゃいいですね!」って(笑)。

Arata 「判断早っ!」って(笑)。

──第2弾の「光の魔人」のMVは、巨大なオブジェの前で4人が演奏しています。

Arata 「光の魔人」のジャケットが光の残像のようなデザインだったから、そこからインスピレーションを受けて、「でっかい銀色のオブジェを作ってほしい」と伝えてオブジェを作ってもらいました。

Isamu 「光の魔人」の映像は16ミリフィルムのような質感にしていて。光が十字に見えるフィルターをかけたり、90年代くらいのMVを意識した作りになってます。

Arata 曲の感じにも合ってるし、ハマりましたね。

Isamu あと「革ジャンを着て演奏してほしい」とオーダーさせてもらったんです。全部がうまくハマって、自分たちとしてもお気に入りのビデオになりました。

──続く「大空がある」は、メンバーの映像を素材として使い、いろいろなコラージュを施した作品で。サイケデリックでもありコミカルでもあり、これもめちゃくちゃ曲調に似合いますね。

Arata コラージュする原画を描いてくれたのが、金沢で一緒にクロマニヨンズのライブを観た友達なんですよ。原画を誰に頼むかめちゃくちゃ考えてて、自分でやるしかないかって思ったときに、パッとそいつの顔が浮かんで。学生のときから面白いコラージュを作ってたし、絶対いいだろうなって。「タバコ1箱で頼むわ」って言ったら、「え、そんなにくれんの?」って。

Isamu ハハハ(笑)。

Arata それは冗談ですけど(笑)、いい感じの絵を描いてくれて。その絵をもとにアニメを作って、メンバーの皆さんと合体させてもらいました。

Isamu 「大空がある」は曲調もユニークだから、すごく合ってると思います。

──第4弾の「もぐらとボンゴ」はアニメーション、第5弾の「縄文BABY」はCGを使ったMVで、どちらのキャラクターもホントにかわいいいですね(笑)。

Arata そうなんですよ。「もぐらとボンゴ」のMVにはもぐらのキャラクターが出てくるんですけど、「そんなストレートな返し、ある?」っていう(笑)。

Isamu 曲名に“もぐら”が入ってるから、もぐらを出すっていうね(笑)。

Arata めちゃくちゃバカっぽいんだけど、ちゃんと愛は込めてます。

Isamu うん。ひねりたくないという感じもあって。

Arata それは「もぐらとボンゴ」だけじゃなくて、全体的にそうなんですよ。クロマニヨンズの曲に対しては、ひねりすぎず、ストレートに応えたかったので。

Isamu それは意識してました。“もぐら”はカートゥーンアニメのテイストにしたくて。

Arata 甲本さんも「カートゥーンの感じのほうがバカっぽくていいんじゃない?」って言ってたんですよ。

Isamu 言ってた(笑)。「縄文BABY」にも、縄文土器を頭に付けた赤ちゃんのキャラクターが出てきて。ストレートというか、そのままなんですけど(笑)、その分、強さがあるのかなと。演奏シーンとCGの組み合わせもよかったし、独特な歌詞ともいい化学反応が生まれたと思います。

Isamu そう言えばArataが打ち合わせのとき、甲本さんに歌詞の意味を聞いたんですよ。「“もぐらとボンゴ”ってどういう意味ですか?」って。

Arata 「意味なんてないよ」って言われました(笑)。「ボンゴでもシャララでもなんでもいいんだ」って。それもカッコよかった。

──そして第6弾の「ごくつぶし」は、演奏シーンをダイレクトに映し出すMVです。

Arata 一番ストレートですね。何もないところで演奏してもらって、映像も白黒で。リズムを出すために写真を挟んでますけど、基本的には演奏しているところをそのまま見てもらいたくて。

Isamu 曲自体、ゴリッとしたロックナンバーですからね。色も使わず、直球で勝負したくて。16ミリフィルムの質感もいい感じです。

Arata カメラワークもすごくいいしね。

Isamu うん。撮影は川上智之さんにお願いして、「光の魔人」「ごくつぶし」はハンドヘルドカメラで撮ってもらってるんですけど、バッチリでした。曲とパフォーマンスとカメラワークがしっかり合ってるので、そこも観てほしいです。

──クロマニヨンズのMVを6曲撮るのは、Margtにとっても貴重な経験になったのでは?

Isamu そうですね。帰りの車の中で、みんなで「やっぱヤバいね」って話してて。

Arata 缶ビール片手にね(笑)。やれてよかったです。

Isamu 撮影してみて、レジェンドと言われる意味がわかりましたね。演奏が始まった瞬間、めちゃくちゃカッコよくて。ぜひ6本とも観てほしいです。

Margt

ツアー情報

ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL
  • 2022年1月24日(月) 東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2022年1月26日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2022年1月29日(土) 静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
  • 2022年2月5日(土)埼玉県 三郷市文化会館
  • 2022年2月6日(日) 栃木県 栃木県教育会館
  • 2022年2月11日(金・祝)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
  • 2022年2月12日(土) 福岡県 福岡市民会館
  • 2022年2月19日(土)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
  • 2022年2月20日(日)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
  • 2022年2月23日(水・祝)長野県 ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)中ホール
  • 2022年2月27日(日)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2022年3月2日(水)東京都 江戸川区総合文化センター
  • 2022年3月5日(土)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2022年3月6日(日)福島県 けんしん郡山文化センター 中ホール
  • 2022年3月12日(土)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2022年3月13日(日)岡山県 岡山市民会館
  • 2022年3月17日(木)神奈川県 ハーモニーホール座間 大ホール
  • 2022年3月19日(土)広島県 広島JMSアステールプラザ 大ホール
  • 2022年3月21日(月・祝)山口県 下関市生涯学習プラザ 海のホール(大ホール)
  • 2022年3月26日(土)新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
  • 2022年3月30日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
  • 2022年4月2日(土)石川県 金沢市文化ホール
  • 2022年4月7日(木)大阪府 フェスティバルホール
  • 2022年4月9日(土)香川県 ハイスタッフホール 大ホール
  • 2022年4月12日(火)千葉県 千葉市民会館 大ホール
  • 2022年4月15日(金)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
ザ・クロマニヨンズ
ザ・クロマニヨンズ
1980年代からTHE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSで活動をともにしてきた甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)に、小林勝(B)と桐田勝治(Dr)を加えた4人組ロックバンド。2006年7月の出現以来、毎年アルバムをリリースし、精力的に活動を続けている。2020年12月に14枚目のアルバム「MUD SHAKES」を発売し、初の配信ライブ「ザ・クロマニヨンズ MUD SHAKES 全曲配信ライブ」を開催。2021年2月に東京・東京ガーデンシアターで有観客ワンマンライブ「ザ・クロマニヨンズ MUD SHAKES 2021」を行い、その映像を収めたライブDVD「ザ・クロマニヨンズ ライブ!MUD SHAKES 2021」を6月に発売した。「SIX KICKS ROCK&ROLL」と題して、2021年8月から6カ月連続でシングルをリリースし、第6弾シングル発売日にCDアルバム「SIX KICKS ROCK&ROLL」を同時発売。2022年1月から4月にかけて2年ぶりの全国ツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL」を開催する。