クロマニヨンズを撮るときに気を付けていること
──クロマニヨンズも初期からずっと撮られてますよね。
はい。クロマニヨンズの最初のライブはFM802のイベント(2006年7月に行われた「FM802 MEET THE WORLD BEAT」)だったんですけど、そこにも行かせてもらって。最初のアーティスト写真はデザイナーの菅谷晋一さんが撮られたんですが、その後は全部、私が撮らせてもらってます。
──ライブはどれくらいの頻度で撮っているんですか?
以前は発注をいただいたときだけ撮っていたんですけど、2013年の「YETI vs CROMAGNON」のライブ盤に写真集を付けることになって、「機材の入りからお客さんが退出するまで、全部撮ってほしい」というお話をいただいて。それ以降は、行けるところは行ける限り行かせていただいています。
──リハーサルも?
はい。リハーサルはなるべく観たいと思っていて、どこの現場でも「邪魔じゃなければいさせてください」とお願いしています。次の曲が始まるときの“きっかけ”とかもわかるし、特に初めて撮るバンドのときは必ず観させてもらってます。怖がりなので(笑)。
──クロマニヨンズのライブを撮るときに気を付けていることは?
できるかぎり、“見たまま”撮るようにしてます。できるだけ人の目、視野に近いところで撮りたいんですよね。ライブに行くと、メンバーの顔だけ見ることもあるし、全体を見ることもあるじゃないですか。印象として視界より広いイメージや記憶もあると思うので、もちろん意図して広い画角を使うことはありますし、実際の人の目では捉えきれないようなところまで捉えることもありますが、ライブを観ているときの記憶と視覚に近い写真が好きなんですよね、私は。
──ライブに行った人が柴田さんの写真を見ると、「確かにこんなライブだった」と思うでしょうね。
そうだったらいいなと思ってます。シンプルでストレートな写真がクロマニヨンズには似合っているし、私もそういう写真が好みなので。メンバーだけじゃなくて、ステージの端で光ってるコウモリだったり、ナインくん(2015年10月発表の9thアルバム「JUNGLE 9」ジャケットに描かれているキャラクター)が飛んでくるところとかも撮りますよ。しっかりタイミングを合わせて撮れると「やった!」って(笑)。
アー写の撮り方
──被写体としてのマーシー&ヒロトの魅力は? 当然、撮りがいのある人たちだとは思いますが……。
もちろん! カッコいいですよね。“素材がよければ、シンプルなサラダが一番おいしい”というのかな。自然のままがいいということではなくて、お二人ともご自身のスタイルがあって、自分の好きな姿が決まってるから、シンプルに撮るだけでカッコいいんだと思います。
──なるほど。お二人から写真に対するリクエストはないんですか?
「こんな感じで撮ってほしい」みたいなことですか? 特にないですね。あ、でも、さっき話した「YETI vs CROMAGNON」のときに、マーシーさんが「こんな感じがいいな」と何人か写真家を挙げてくれたんです。ペニー・スミス、「PUNK+」という写真集を撮ったシーラ・ロック、ブルース・スプリングスティーンの写真で有名なリン・ゴールドスミスとか。
──マーシーさんには「こういう写真がいい」というイメージがあるんですね。ヒロトさんは?
特に言われたことはないですね(笑)。「その革ジャン、いいね」って褒められたことはありますけど。それとリクエストではないですが、「PUNCH」のライブ盤の写真集の写真組みをチェックしていたヒロトさんが「この写真、足元まで写ってたよな? ここは切らない方がええな」とデザイナーの菅谷さんに言ったのを聞いて「写真ちゃんと覚えててくれてるんだ!」と感激したこともありました。
──アーティスト写真についてはどうですか?
以前はミュージックビデオ撮影のセット転換の時間やライブ前の空き時間に撮影することが多かったので“そこでできることをやる”という感じだったんですけど、ここ3年くらいはアーティスト写真のために撮影時間をいただいてるので、いろいろ考えて提案しています。基本的にはシンプルに撮っているんですけど、今回の「SIX KICKS ROCK&ROLL」はカラフルなほうがいいなと思って。6カ月連続でシングルを集めていくイメージもあったし。第1弾シングルの「ドライブ GO!」のジャケットも色味がにぎやかだったので、「初めて菅谷さんとシンクロした!」と思いました(笑)。
──アーティスト写真には、柴田さん自身のアイデアもかなり反映されているんですね。
いくつか案を出して、その中から選んでいただいてます。すごく自由にやらせてもらっているし、「こうじゃなきゃダメ」ではなくて、考える余白みたいなものをいただけるのはありがたいなと思っています。
特に印象的な写真とライブ
──これまで撮ってきたクロマニヨンズの写真の中で、柴田さんにとって一番思い入れのある1枚は?
難しいですけど、「ラッキー&ヘブン」(2017年発売の11thアルバム)のツアー中盤で制作されたフライヤーの写真かな。急ぎの納品ではないときはアナログフィルムを使わせてもらっているんですけど、「ラッキー&ヘブン」のフライヤーは、この時期のアーティスト写真をモノクロフィルムでやらせていただけたのもあって、ツアー後半用フライヤーに使うものもアナログを選んでもらえたら!と思って撮影していたものです。自分でも気に入っていたし、あの写真を使ってもらったときは「やった! 完璧!」って思ったし、最高にうれしかったです。皆さんにもアナログの写真を見てもらいたかったので。
──では、一番印象的だったライブは?
一番最近のライブですね、やっぱり。ツアーで言えば「PUNCH」(2019年発売の13thアルバム)のツアー。毎回ハイライトがあるし、「今日もよかった! 最高!」という感じなので。
──今年唯一のワンマンライブ(2月開催の「ザ・クロマニヨンズ MUD SHAKES 2021」)も最高でしたね。コロナ禍の中で、いつも通りのクロマニヨンズのライブを観られたことにグッときました。
そう、いつもの状況じゃないからこそ、いつも通りにできるのはすごいなって。当日はそれを撮りこぼさないようするだけで精一杯でした。ライブ中は必死だったから、何も覚えてないんですよ。いつもそうなんですけど、クロマニヨンズのライブはアイドリングがなくて、いきなりドーン!と始まるじゃないですか。しかもあのときは、アルバム「MUD SHAKES」の曲が中心だったので、ライブで初めて聴く曲ばかりだったし、会場も初めてで、いつもとは勝手が違っていて。いい写真が撮れていたので、ホッとしましたね。
──2022年1月からは全国ツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL」がスタートします。柴田さん、「来年のスケジュール帳に最初に書き込むのがクロマニヨンズのスケジュールであるしあわせ」とツイートしてましたね。
ツアー日程発表された!
— しばたえり (@shiva_eri) November 24, 2021
来年のスケジュール帳に最初に書き込むのがクロマニヨンズのスケジュールであるしあわせ。 pic.twitter.com/Y2swY5qTr6
はい(笑)。2020年はライブが中止になるたびに“×”を付けるのが悲しかったので。来年のツアー、本当に楽しみです。
──柴田さんの写真、これからも楽しみにしてます! クロマニヨンズを撮ることは、柴田さんのライフワークですね。
もちろん! これからも追える限り追わせていただく所存です。皆さんがつないでくださった縁だし、すごく恵まれてるなって。本当にありがたいですね。
ツアー情報
- ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL
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- 2022年1月24日(月) 東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
- 2022年1月26日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2022年1月29日(土) 静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
- 2022年2月5日(土)埼玉県 三郷市文化会館
- 2022年2月6日(日) 栃木県 栃木県教育会館
- 2022年2月11日(金・祝)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2022年2月12日(土) 福岡県 福岡市民会館
- 2022年2月19日(土)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
- 2022年2月20日(日)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
- 2022年2月23日(水・祝)長野県 ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)中ホール
- 2022年2月27日(日)京都府 ロームシアター京都 メインホール
- 2022年3月2日(水)東京都 江戸川区総合文化センター
- 2022年3月5日(土)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
- 2022年3月6日(日)福島県 けんしん郡山文化センター 中ホール
- 2022年3月12日(土)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2022年3月13日(日)岡山県 岡山市民会館
- 2022年3月17日(木)神奈川県 ハーモニーホール座間 大ホール
- 2022年3月19日(土)広島県 広島JMSアステールプラザ 大ホール
- 2022年3月21日(月・祝)山口県 下関市生涯学習プラザ 海のホール(大ホール)
- 2022年3月26日(土)新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
- 2022年3月30日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
- 2022年4月2日(土)石川県 金沢市文化ホール
- 2022年4月7日(木)大阪府 フェスティバルホール
- 2022年4月9日(土)香川県 ハイスタッフホール 大ホール
- 2022年4月12日(火)千葉県 千葉市民会館 大ホール
- 2022年4月15日(金)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
- ザ・クロマニヨンズ
- 1980年代からTHE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSで活動をともにしてきた甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)に、小林勝(B)と桐田勝治(Dr)を加えた4人組ロックバンド。2006年7月の出現以来、毎年アルバムをリリースし、精力的に活動を続けている。2020年12月に14枚目のアルバム「MUD SHAKES」を発売し、初の配信ライブ「ザ・クロマニヨンズ MUD SHAKES 全曲配信ライブ」を開催。2021年2月に東京・東京ガーデンシアターで有観客ワンマンライブ「ザ・クロマニヨンズ MUD SHAKES 2021」を行い、その映像を収めたライブDVD「ザ・クロマニヨンズ ライブ!MUD SHAKES 2021」を6月に発売した。「SIX KICKS ROCK&ROLL」と題して、2021年8月から6カ月連続でシングルをリリースし、第6弾シングル発売日にCDアルバム「SIX KICKS ROCK&ROLL」を同時発売。2022年1月から4月にかけて2年ぶりの全国ツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー SIX KICKS ROCK&ROLL」を開催する。