ザ・クロマニヨンズ|1つの部屋に集まって何時間か過ごした「なんかカッコいい」の記録
ザ・クロマニヨンズがニューアルバム「ラッキー&ヘブン」を10月11日にリリースした。いつも通り、「なんかカッコいい」を正解とし、楽しく作り上げられたという全12曲。本作のレコーディングや収録曲について、甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)に話を聞いた。
また特集の後半ではTwitterで募集したファンからのお悩みに答えてもらっている(参考:ヒロト&マーシーに聞いてもらいたいお悩み募集、Twitterで相談を)。あわせて楽しんでほしい。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 上山陽介
狙いはないほうがいい
──ニューアルバム最高でした。お二人の手応えはいかがですか?
真島昌利(G) うん、最高です。
甲本ヒロト(Vo) 最高ですね。
──アルバム全体を通して、いつもよりミディアムテンポの楽曲が多い気がしたんですが。
ヒロト そうですね。「おんどりゃー! やったるでー! わーっ!」っていう曲の割合が少ないとは思います。今までのアルバムと比べて。
──それは意図してそのように?
ヒロト いや、いつもアルバム作るときはなんにも思わない。狙って目指すものがないんです。「楽しく作業して気が付いたらこんなんできてました」っていうだけだから。
──その結果、今回はゆっくりな曲の比率が増えたわけですね。
ヒロト 一応ね、曲を出してる途中で「あれ? 俺もマーシーもけっこうミディアム多いな」って気付いたんです。それで何曲か入れ替えたりしようかなって、そのときは少しだけ思った。
──でも結局そのまま?
ヒロト そのままです。一瞬の迷いののちに「まあいいか」って思って(笑)。その結果がこれ。やっぱりそこで修正するってなると、そこには狙いがあるわけじゃないですか。「ちょっと勢いのあるアルバムにしたいんだ」みたいな。そういう狙いはないほうがいい。自然に出てきたままのほうがいいんだよね。
最初は超スローテンポ
──お二人が普段から作りためた曲をそれぞれスタジオに持ち寄ってレコーディングするんですよね?
マーシー うん、アルバム用に作るわけじゃなくて日々作ってる曲の中から。
ヒロト お互いに6曲とか7曲ずつ持ってきて、スタジオでみんなに聴かせていく。
マーシー みんなに聴かせる前に歌詞をもう1回見直したり、ちょっと手直ししたりとかそういうことはするけど、アルバムのために新しく作るっていうことは特にないです。
──どの曲をレコーディングするかの判断基準みたいなものはあるんでしょうか?
マーシー それもね、なんとなくなんですよね。自分の持ってる歌の中で今回はこのへんを持っていこうかなっていうだけで。
──曲をメンバーに聴かせるときはスタジオで弾き語りですか?
ヒロト そうです。ただ僕は弾き語りのスキルが異常に低いので、どの曲も超スローテンポで歌うんです。速い曲もゆっくりの曲も、最初に聴かせるときはめちゃめちゃ遅い。
──スローテンポで歌って「これは実は速い曲なんだ」って説明する?
ヒロト 説明する。説明しないと「ああ、ゆっくりな曲なんだねえ」と思われて勝治(Dr)が「ワーン……トゥー……スリー……」「あっ、違うんだよ!」ってことになるから(笑)。だから「めちゃくちゃ速くやって」って頼むんです。
ハプニングも野望もない
──ザ・クロマニヨンズのアルバムはいつも短時間で録り終えると聞きますが、今回もそうでしたか?
マーシー うん。
ヒロト レコーディングの期間は2週間ぐらいあったけど、 でも実際の作業時間はもっと短いよね。不眠不休でやれば3日で終わるくらい。
──最初に曲を持ってきて、メンバーに聴かせるところから数えて2週間?
ヒロト そうです。
──今回のレコーディングで印象深いエピソードなどはありましたか?
ヒロト それがないんだよね。ずっとやってるとね、ハプニングも起きない。「ここはこうだよな」「うん、そう」って言って、スーッと進んでいく。
──意見がぶつかったり煮詰まったりとかそういうのも?
マーシー ないですね。「じゃあ次これやろう」ってどんどん進んでいくんだよ。
ヒロト 例えばどうしてもこの演奏ができないとか、難しくてダメだってことになると、煮詰まったりもするんだろうけど、僕たちはできることしかやらないから、煮詰まる要素がないんです。「高みを目指そう」とか「何か新しいことやってやろうぜ」「世の中アッと言わせるんだ」みたいなそういう野望はない。なんにもなくてただその日が楽しいっていうだけなんです。
「なんかカッコいいじゃん」が正解
──新曲をバンドで演奏してみて「この曲こういうイメージで作ったんだけど、なかなかその感じにならないな」みたいなことはないですか?
ヒロト それはね、作った人が勘違いしてるの。自分がもともと思ってたイメージが間違ってるんだよ。
──「バンドで鳴らした音が正解」ということ?
ヒロト そうそう。そうなんだよね。
マーシー うん、なんとなくのイメージがあったとしても、バンドで「せーの!」でやったときに「うわっ、なんかカッコいいじゃん」ってなってればそれでいいんです。
──作曲者の持ってるイメージに近付けることが目的ではないんですね。
ヒロト それだったら1人で宅録なりやってればいいし、そういう表現もあると思う。でも僕らはバンドだから。
──曲によって、例えばストリングスやホーンセクションを入れたいとか、そういうことも思わないですか?
マーシー まあラッパとかバイオリンとかは、鳴らそうと思えばいくらでも鳴らせるんですよ。具体的なフレーズまで浮かんだりする。でも僕らは4ピースのバンドでドーンってやるのが好きだし、そのほうが楽しいから。
ヒロト そう、僕らはバンドをやってるんだよ。このアルバムは、4人が1つの部屋に集まって何時間か過ごしたときの記録なんです。
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美味くなきゃ意味がない
- ザ・クロマニヨンズ「ラッキー&ヘブン」
- 2017年10月11日発売 / アリオラジャパン
-
[CD]
3146円 / BVCL-837 -
[アナログ]
3146円 / BVJL-28
- 収録曲
-
- デカしていこう
- 流れ弾
- どん底
- 足のはやい無口な女子
- ハッセンハッピャク
- 嗚呼! もう夏は!
- 盆踊り
- ユウマヅメ
- ルンダナベイビー
- ワンゴー
- ジャッカル
- 散歩
- ザ・クロマニヨンズ ツアー ラッキー&ヘブン 2017-2018
-
- 2017年10月26日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2017年10月27日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2017年10月29日(日)北海道 小樽GOLDSTONE
- 2017年11月3日(金・祝)大阪府 なんばHatch
- 2017年11月4日(土)大阪府 BIGCAT
- 2017年11月5日(日)大阪府 BIGCAT
- 2017年11月8日(水)山梨県 甲府Conviction
- 2017年11月11日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年11月12日(日)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年11月17日(金)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
- 2017年11月19日(日)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2017年11月23日(木・祝)秋田県 Club SWINDLE
- 2017年11月25日(土)青森県 青森Quarter
- 2017年11月26日(日)岩手県 Club Change WAVE
- 2017年11月28日(火)東京都 赤坂BLITZ
- 2017年11月29日(水)東京都 赤坂BLITZ
- 2017年12月2日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2017年12月3日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2017年12月6日(水)京都府 京都FANJ
- 2017年12月7日(木)京都府 京都FANJ
- 2017年12月9日(土)香川県 高松festhalle
- 2017年12月10日(日)高知県 X-pt.
- 2017年12月13日(水)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2017年12月16日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2017年12月17日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2017年12月20日(水)千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2017年12月23日(土・祝)福岡県 DRUM LOGOS
- 2017年12月24日(日)福岡県 DRUM LOGOS
- 2017年12月28日(木)神奈川県 CLUB CITTA'
- 2018年1月13日(土)沖縄県 ミュージックタウン音市場
- 2018年1月16日(火)宮崎県 MIYAZAKI WEATHERKING
- 2018年1月17日(水)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2018年1月19日(金)山口県 周南RISING HALL
- 2018年1月21日(日)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2018年1月27日(土)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2018年1月31日(水)東京都 新木場STUDIO COAST
- 2018年2月3日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
- 2018年2月7日(水)岐阜県 岐阜club-G
- 2018年2月9日(金)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年2月10日(土)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年2月12日(月・祝)和歌山県 SHELTER
- 2018年2月14日(水)兵庫県 Harbor Studio
- 2018年2月15日(木)兵庫県 Harbor Studio
- 2018年2月20日(火)長野県 Sound Hall a.C
- 2018年2月24日(土)岡山県 岡山市民会館
- 2018年2月25日(日)広島県 はつかいち文化ホールさくらぴあ 大ホール
- 2018年3月2日(金)北海道 新冠町レ・コード館
- 2018年3月4日(日)北海道 幕別町百年記念ホール
- 2018年3月10日(土)栃木県 栃木県教育会館
- 2018年3月11日(日)埼玉県 さいたま市民会館おおみや
- 2018年3月17日(土)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
- 2018年3月21日(水・祝)静岡県 三島市民文化会館ゆぅゆぅホール 大ホール
- 2018年3月24日(土)福岡県 サザンクス筑後
- 2018年3月27日(火)神奈川県 鎌倉芸術館 大ホール
- 2018年4月1日(日)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年4月7日(土)千葉県 市川市文化会館
- 2018年4月8日(日)東京都 オリンパスホール八王子
- 2018年4月14日(土)富山県 クロスランドおやべ メインホール
- ザ・クロマニヨンズ
- 1980年代からTHE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSで活動をともにしてきた甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)を中心に2006年夏より始動。甲本と真島に小林勝(B)と桐田勝治(Dr)を加えた4人で、2006年9月にデビューシングル「タリホー」を発表する。その後もリリースを重ねながら年間を通してコンスタントにツアーを開催。数々のフェスにも出演し、ロックファンを熱狂させ続けている。2017年8月に16枚目のシングル「どん底」を発売。10月にはアルバム「ラッキー&ヘブン」をリリースし、翌年4月まで続く全国ツアーを実施する。