何もないのが普通なんです

──ザ・クロマニヨンズが活動を開始してから丸10年が経ちました。この10年を振り返ってみてどうですか？

甲本ヒロト（Vo）　特に何もないです。普通ですね。

──山あり谷ありとかではなく？

ヒロト　うん、何もないのが普通なんです。みんな普通だとつまんないような気がして不安になったりするけど、普通でいいしそのまんまでいいんです。

──じゃあ10年で変わったことは特にない？

ヒロト　まあ10年経てばいろいろガタは来ますけどね。

──お二人を見てるとそうは感じませんが。

ヒロト　いやいや、不死身じゃないですから。

──じゃあライブをしていて体力の衰えを感じる瞬間もあったりしますか？

真島昌利（G）　しばらくやってなくてひさしぶりにライブをやると、やっぱり疲れます。でもツアーが始まって何本もやっていくと、だんだん身体が慣れてくるから。でもそれは今に限った話じゃないかな。

ヒロト　20代の頃からそうだったよね。

──健康管理や体力作りは？

ヒロト　ないですね。その日が楽しければいい。

──ライブに来るファンには若い世代も多いですが、ジェネレーションギャップを感じることはないですか？

ヒロト　ああ、最近の仮面ライダーがわかんないとか？ そういうギャップはあるんじゃないかな。

──音楽的には？

ヒロト　それはないです。もともと自分が中学生の頃に聴き始めたロックが、もうすでにその時代の音楽じゃなかったから。当時から10年以上前のものを聴いて喜んでたわけだし、そこからさかのぼって例えば1930年代のブルースとか1920年代のジャグバンドとか聴くわけでしょ？ だからジェネレーションギャップってのはないです。だいたい演奏中にお客さんのこと見ないし、目が合ったら恥ずかしい（笑）。自分らのことで精一杯。だから自分たちのツアーでは客席は暗くしてくれって言ってる。

マーシー　もちろん人が動けば熱気を発するし、そういうのは感じますけどね。でも細かいことはわかんない。

──じゃあお客さんのノリが気になったりすることは？

ヒロト　一切ないですね。

マーシー　自分が盛り上がればいいんです。

過去の記憶も未来のビジョンもない

──10年前の結成当時と比べて、今のバンドの状況はどうですか？

マーシー　楽しいですよ。

ヒロト　そもそも10年前と比べたりしないしね。ほら、比べるためには記憶が必要なんです。でも僕らは記憶がないから。

──過去は振り返らない？

ヒロト　そんなカッコいいもんじゃないです。ただなんとなく成り行きでダラダラやってるだけ。過去の記憶どころか未来のビジョンもない。目指すものもないんです。

──THE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSはどちらも約10年で活動を終えていますが、クロマニヨンズはこのまま続いていくと思っていいんでしょうか？

ヒロト　そういうことも何も考えてないんです。THE BLUE HEARTSのときもTHE HIGH-LOWSのときも特に何も考えず、成り行きでああなっただけなんで。この先も成り行きだからなんとも言えない。

──でも今のところ限界を感じたりはしていない？

マーシー　うん。

ヒロト　そうですね。普通にやってるだけなんです。