ザ・コインロッカーズ|前代未聞のガールズバンドプロジェクト

ザ・コインロッカーズがデビューシングル「憂鬱な空が好きなんだ」をリリースした。

秋元康とワーナーミュージック・ジャパンがタッグを組み“国民的ガールズバンド”を生み出すプロジェクトとして始動したザ・コインロッカーズ。音楽ナタリーではこのプロジェクトが持つ特徴や魅力を紹介しつつ、「憂鬱な空が好きなんだ」選抜メンバー9人のプロフィールおよび手書きメッセージを掲載する。

文・構成 / 近藤隼人

ザ・コインロッカーズとは

2018年9月に“国民的ガールズバンド”オーディションの開催が発表されたのが、ザ・コインロッカーズの始まり。秋元は応募者に対して「個性溢れる女の子が集まって欲しい。楽器が弾けなくたって構わない。これから練習すればいいのだ。何か、熱くなることを求めている人を待っている」とメッセージを送り、東京・原宿駅の竹下口には「夢は弾いてかなえろ!」というキャッチコピーなどが書かれたオーディションの告知ビジュアルが大々的に貼り出された。

楽器やバンドの経験を問わないメンバーオーディションには、総勢約1万人が応募。SHOWROOMでの生配信を含む幾度もの審査を経て、ワーナーミュージック・ジャパン本社で行われた最終選考では、すでにハイレベルな技術を身に付けている楽器経験者や、たどたどしい姿の初心者など、多種多様な参加者がそれぞれ演奏や歌声で自身をアピールした。そして2018年12月23日に無観客状態の東京・Zepp Tokyoにて結成記者発表会が開かれ、オーディションの合格者がお披露目されると共に、バンド名がザ・コインロッカーズに決定したこと、1年後の2019年12月23日に同会場でワンマンライブが行われることが明らかに(参照:秋元康によるガールズバンド“ザ・コインロッカーズ”お披露目、1年後にZepp Tokyoワンマン)。秋元はこの記者会見で、「夢を見る原石を集めてお互いに磨き合えたらいいんじゃないかと思ってスタートしました」と改めてプロジェクトを始動させた意図を説明した。現在、ザ・コインロッカーズはZepp Tokyoを満員にすることを目標に、全39人のメンバーで活動を展開している。

楽曲ごとの選抜システム

ザ・コインロッカーズの最大の特徴は、メンバーの選抜システムだ。バンド内に39人もメンバーがいるため、1つの楽曲に全員が参加することはできない。そこでザ・コインロッカーズでは各パートを担当するメンバーが複数人在籍し、楽曲ごとに選抜メンバーが決定するというシステムが用いられている。アイドルグループの選抜システムと異なる点は、メンバーが1つの楽曲の選抜を競い合うのではなく、用意された楽曲に合わせてメンバーが選ばれるところだろう。

6月19日発売のデビューシングルの表題曲で、日本テレビ系ドラマ「俺のスカート、どこ行った?」の主題歌である「憂鬱な空が好きなんだ」では松本璃奈(Vo)、森ふた葉(Dr)、鏡味のぞみ(B)、手塚愛乃(G, Cho)、HANNA(G)、絹本夏海(G)、Emily(G)、有働優菜(Key)、田村愛美鈴(Key)が選抜された。ギターを弾くメンバーのうち、手塚、HANNA、絹本はエレクトリックギター、Emilyはアコースティックギターを担当している。この曲のミュージックビデオはイギリス・ロンドンで撮影され、9人はロンドン市内の路地や、国立芸術大学ファッション科の旧学舎、イギリスの有名ミュージシャンが集まるパーティハウスなどでロケを行った。

39人それぞれのバンドストーリー

楽器やバンドの経験を問わないオーディションを経てザ・コインロッカーズのメンバーになった平均年齢17歳の39人は、年齢も出身地も好きな音楽もバラバラ。長い楽器歴を持つメンバーもいれば、これまでまったく楽器に触れてこなかった未経験者もいる。「憂鬱な空が好きなんだ」の選抜メンバーである田村も、ザ・コインロッカーズ加入後にキーボードを始めた初心者だ。当然メンバー間にレベルの差が生まれるが、39人それぞれの上達や成長の過程を見ることができるのも普通のバンドにはない、ザ・コインロッカーズの面白い特徴だろう。メンバーは希望するパートに対する適正チェックを受けて楽器の練習に励んでおり、途中でパートを変更したり、複数の楽器に挑戦したりすることも可能。そのフレキシブルなシステムも、大人数のバンドプロジェクトだからこそ実現できる。

TOKYO MXでは毎週月曜日に、MCの小籔千豊と藤本敏史(FUJIWARA)がMCを務めるザ・コインロッカーズのレギュラー番組「ロッカーに何、入れる?」を放送中。番組では表題曲の選抜以外のメンバーにもフォーカスを当て、練習や合宿、ライブなどの日々の活動の中で生まれるリアルなバンドストーリーを紹介している。番組は放送後、YouTubeのザ・コインロッカーズの公式アカウントに随時アップロードされるので、結成からの活動の軌跡をいつでも追うことができる。なお、ザ・コインロッカーズはZepp Tokyoでのワンマンライブに向け、5月より怒涛の150本ライブ「SHOWCASE LIVE」を全国のライブハウスで無料開催中(参照:ザ・コインロッカーズ、150公演におよぶツアー下北沢で幕開け)。今後の活動からも目が離せない。