ナタリー PowerPush - The Cigavettes
ロックレジェンドの魅力凝縮 カラフルな2ndアルバム完成
曲ができたら「こういうの作ったよ」って早く聴かせたい
──アルバムリリースに先駆けて、ライブでアルバム収録曲を全部聴かせるライブツアーを行ったり、オフィシャルサイトで1曲だけ無料配信したりしてましたよね。完成した作品を早くリスナーに届けたいという姿勢が感じられたんですが、そのへんはどうなんでしょう?
僕はいつもプリプロの時点で、できた曲をCD-Rに焼いて友達に聴かせたりとか、レコーディングスタジオに友達を呼んで聴かせたりとかしてて。曲ができたら「こういうの作ったよ」って早く聴いてほしいんですよ。完成してからリリースまで、なんでこんなに時間がかかるんだろうっていつも思いますもん。いい作品ができたんだから、全曲先行披露ライブや無料配信をガンガンやって、早く「いいじゃん!」って言ってほしいんです。
──なるほど。曲もパッとできるし制作も比較的スムーズに進むようですが、長期間制作に時間を充てることは考えたことはないですか?
そうですね、2~3カ月かけてじっくり作ってみたいって気持ちもありますよ。でも、本当の意味で納得のいくアルバムを作りたかったらお金がかかるし、今回のアルバムが売れてくれたらそれができるんで(笑)、多くの人に買ってほしいですね。
──ちなみに、もし3カ月かけてじっくりアルバムを作ってもいいよと言われたら、どういう作品になるんでしょうか。
ね? ……わかんないです。
──あははは!(笑)
いや、やりたいことはあるんですよ。山下達郎とか大瀧詠一みたいなシティポップもやりたいと思いつつ、THE UNDERTONESみたいなパンクっぽい曲もやりたいし。細かいところに本当にこだわって作ってみたいですね。
アルバムの前半にいい曲がいっぱい並んでるほうが好き
──アルバムには1曲だけカバー曲が入っていますが。
最後の「Keep The Customer Satisfied」ですね。原曲はSIMON & GARFUNKELの曲です。歌い回しは原曲からThe Cigavettes風に結構変えていて。
──1曲目の「Presley Song」とビート感が近いっていうのもあるのかもしれないですけど、アルバム最後の「Keep The Customer Satisfied」を聴き終えて、そのまま1曲目に戻るとループしてる感じがするんですよ。曲順はそのあたりも意識して決めたんですか?
曲順は適当に決めて。僕はアルバムの前半にいい曲がいっぱい並んでるほうが好きなんですよ。
──じゃあ後半はどうするんですか(笑)。
僕、アルバムの後半ってあんまり聴かないんで。レコードを買ったらA面しか聴かないか、せいぜいB面の頭の曲くらいまでかな。
──幹宗さんの中の名盤って、A面の出来が素晴らしい作品ってことなんでしょうか。
1曲目がいい曲のアルバムですね。「WITH THE BEATLES」や「BEATLES FOR SALE」なんて1曲目から3曲目までが神がかってるし。僕、音楽を集中して聴こうとすると、3曲くらいしか聴けなくて。今回の「We Rolled Again」はいい曲が14曲も入っていて、ちょっともったいなかったかな。いい曲は頭3曲にして、あと全部適当に書けば良かった(笑)。
タイトルを決めてから曲を作った「Flux Fiddlers On The Roof」
──8曲目の「Flux Fiddlers On The Roof」はフィドルをフィーチャーしたインストナンバーですが、こういう形でインスト曲を入れようと思ったのは?
いや、特に理由はなくて。アイリッシュっぽいフィドルだったりカントリー調のフィドルだったり、ちょっと民族音楽っぽいフィドルだったり、同じコード進行に違うリズムと違う奏法、違う旋律を乗せるというアイデアがあったんです。この曲は、タイトルを先に思いついてから作ったんですよ。
──歌詞が先とかメロディが先とかではなく、タイトルがまずあったと。
ジョン・レノンがニューヨークで活動してたとき、弦楽器の人たちのグループ名がFLUX FIDDLERSで。そこに弦楽器つながりでミュージカルの「屋根の上のバイオリン弾き」ってワードが出てきて、それで「On The Roof」をくっつけたという、ただのジョークなんです。
CD収録曲
- Presley Song
- We Rolled Again
- She's So Fine (She's Not Fair)
- (All I've Got To Do Is) Begging You
- I Wonder
- My Old Car
- My Girl
- Flux Fiddlers On The Roof
- Can't Find Memories
- I Wonder That You're Alone
- Sweet Memories Into Nightmare
- Maybe It Goes On
- Far Away
- Keep The Customer Satisfied
The Cigavettes(しがべっつ)
2005年4月、福岡にて山本幹宗(G, Cho / 弟)と山本政幸(Vo / 兄)の兄弟を中心に結成されたロックバンド。現在は山本兄弟のほか、小田淳之介(G, Cho)、篠崎光徳(B, Cho)、戸高亮太(Dr, Cho)の5人編成。地元を中心に活動を展開し、2008年には「CLUB SNOOZER」福岡公演にレギュラー出演し、着実に知名度を高めていく。2009年9月にはUKロックの祭典「BRITISH ANTHEMS」に出演。さらに山本幹宗はくるりの全国ツアー「くるりワンマンツアー2009 ~敦煌(ドンファン)~」にサポートギタリストとして参加し、話題を集める。2011年には上京を果たし、同年4月に1stアルバム「The Cigavettes」を発表。オリコンインディーズチャートでウィークリー5位を記録したほか、リード曲「Ready To Leave」が全国8局のFM局でパワープレイを獲得した。2012年4月、2ndアルバム「We Rolled Again」をリリース。