THE CHARM PARK|5年の歳月を経て生まれ変わった最初の1枚

決意込めた「カワレル」、“午前中”に録った「Ante Meridiem」

──続いての「カワレル」は、どんなふうに作った曲ですか?

この曲と次の「Ante Meridiem」は、2014年より前に書いた曲です。当時バンド編成でアレンジしてあったものを、ソロ名義で出すにあたってガラッと変えたくて。ドラムンベースやEDMの要素を取り入れることによって、より進化した自分、変化した自分を見せたいという気持ちがありました。

──「この世界が変わらないなら、自分が変わっていくのだ」という意思表明にも感じます。

今いる世界に不満を感じるなら、まず自分が変わるべきだし、自分が変わることで世界は自ずと変わっていくことをテーマにした歌です。誰しも変化は怖いし、変わったからってよくなるとも限らない。でも変わってみてからじゃないと、わからないこともあるじゃないですか。だとしても僕は、今の状態が嫌なら自分から変わっていくべきだと思っていますね。

──“午前”という意味のタイトルがつけられた「Ante Meridiem」はいかがですか?

僕は“午前”というと夜中をイメージするんですよね。午前2時の静かなときに、自分が1人で感じるあれこれを描写しておきかったというか。Aメロが3回出てきて、それぞれ午前2時、午前5時、午前10時のことを歌っているんですけど、レコーディングもその時間に合わせて行いました。

──へえ、面白い!

5時まで待ってから2Aを録音し、また10時まで待って3Aを歌うという。自分の中にある体内時計を大事にしながら歌ってみたかったんですよね。まあ普通に聴いたらわからないとは思うんですけど。当時は時間が余るほどあったので、ちょっと試してみました(笑)。

──Charmさんは夜中に曲を作ることが多いのですか?

そうですね。“ナルシシストモード”というか、ちょっとナチュラルハイになっているほうが集中できるので。今も曲を作るのは夜中が多いです。翌朝に聴き直して「これはダメだわ」と思うこともあるんですけど(笑)。

──でも創作モードのときはリミッターを外したほうがクリエイティビティは上がるかも知れないですね。

そうなんです。で、インスピレーションが湧いたときは、その日のうちに完成形まで持っていくようにしています。体への負担は大きいのですが、そのほうがいい結果になることが多いです。

THE CHARM PARK

意外なギターヒーロー

──「thirty-6」は、ギターソロが素晴らしいですね。

「北斎漫画インスパイア展」というコンテンツがあって、そこに僕のミュージックビデオをたくさん撮ってくれている須藤カンジ監督が作品を出展することになり、その音楽を担当させていただいたときに書いた曲です。“36”というのは、葛飾北斎の「富嶽三十六景」からきています。

──それで、ギターソロに「さくら さくら」の一節が使われているのですね。「We are the same just different names We are the same we play the game」(私たちは、違った名前を持つ同一人物。私たちはゲームをする同一人物)というラインはどこからきたのですか?

葛飾北斎さんはけっこういろんな偽名を使って活動していたというエピソードをどこかで読んだことがあって。そこからインスパイアされた歌詞です。

──ちなみに、Charmさんのギターヒーローは誰なのですか?

おお、難しい質問ですね……日本でいうと、X JAPANのHIDEさんがすごくカッコいいと思います。

──それは意外です!

ギタリストがソロアルバムを出すのは、すごく難しいと思うのですが、HIDEさんのソロは本当に素晴らしくて。今聴いても色あせないカッコよさがあるんですよね。海外だと、Dream Theaterのジョン・ペトルーシのギターはコピーしまくりました。いまだにその影響はありますね。僕のギターソロには無意識に“ペトルーシ節”が出ていると思います(笑)。

THE CHARM PARK

晴れやかな気持ちで2020年代へ

──次の「Rebuild」もそうですが、このアルバムは全体的にEDMなど当時のダンスミュージックからの影響を随所に感じます。そういった音楽に可能性のようなものを感じていたのですか?

そうですね。最初にも言ったように、当時バンドを解散して、生ドラムもレコーディングできる状態ではなくなりました。だから1人でも作れる音楽という意味で、ダンスミュージックには大きな可能性を感じていたんです。あと当時はハイブリッドドラムが注目をされていた頃だったんですよ。ジェイムス・ブレイクがライブでSPD(ROLANDのサンプリングパッド)とドラムキットを混ぜていて。生なのはシンバルだけで、キックとスネアはSPDを叩いていたのがすごくカッコよかったんです。その影響も多少あると思いますね。ネオダブステップというか、そこへの憧れは大きかったです。当時このアルバムをリリースしたあと、インディーズで活動していた頃はアコースティックでオーガニックな方向に進んでいたので、このアルバムの曲をライブで披露するにはどうしたらいいかなと考えていたんですよね。それが今、A.S.A.Bという自由に音楽を発信できるレーベルに所属したことによって、いろんな自分を見せられるようになってきて。このタイミングで再びリリースして、演奏できるモードになったのは本当によかったと思います。

──そして最後の曲「Rebirth & Reverse」は、「そろそろお別れ 世界を失った様だ ありがとう さよなら また会おう 大人になったら」というラインがちょっと物悲しい雰囲気です。

確かに悲しい曲でもあるんですけど、一旦リセットしてまた始まる、生まれ変わるというところに、自分は少しの希望があるような気がしています。

──「さよなら」と別れを告げているのは、過去の自分へ向けたものでもあるのでしょうか?

過去の自分だったり当時の孤独感だったりしたのかも知れない。だからこそ決別と感謝、両方の言葉をかけているのではないかと。

──5年前のアルバムを“リビルド”してみて、どんな心境かを改めて聞かせてもらえますか?

応援してくださっている人たちにこのアルバムをもう一度聴いてもらえる機会を得たことと、今回初めて聴くという人たちに広く届けられることがとにかくうれしいです。これで悔いを残さずに進めるというか、心につっかえていたものが取れて晴れやかな気持ちでいます。ようやく宿題が終わって、「さあ、これから思う存分遊ぶぞ!」みたいな(笑)。ずっと隠し持っていた武器を使い果たしてしまって、来年からはもう拳で戦うしかない。それがすごく清々しくも感じています。2020年代に向けてこれから自分がどうなっていくのか、自分でも楽しみです。

──12月には、本作を携えてのライブがありますね。

なんと5年の月日を経て初めて人前で披露するという。そんな経験なかなかないですよね。当時作った曲を今の自分にやり切れる体力がまだあるのかどうか(笑)、そこも楽しみにしていてほしいです。

ライブ情報

THE CHARM PARK Reverse & Rebirth
  • 2019年12月6日(金)東京都 渋谷WOMB
  • 2019年12月13日(金)大阪府 CLUB JOULE
THE CHARM PARK TOUR 2020
  • 2020年1月17日(金)宮城県 enn 2nd
  • 2020年1月26日(日)北海道 SPiCE
  • 2020年1月31日(金)福岡県 BEAT STATION
  • 2020年2月2日(日)広島県 CAVE-BE
  • 2020年2月6日(木)大阪府 BananaHall
  • 2020年2月7日(金)愛知県 SPADE BOX
  • 2020年2月13日(木)東京都 LIQUIDROOM