ナタリー PowerPush - ザ・ビートモーターズ

正統派R&Rから等身大のサウンドへ 待望フルアルバムを秋葉正志が語る

公務員の勉強してたのにオーディションに受かっちゃって

──ザ・ビートモーターズも、そういうサウンドがやりたいって理想があって結成されたんですか?

ザ・ビートモーターズは大学に入ってから知り合ったメンバーで結成して。僕ははっぴいえんどみたいな感じのものがやりたいなって思ってたんですよ。ちょっとこう、ひんやりとした感じの音楽。

──はっぴいえんどは日本のフォークの中でも洗練されてましたよね。

知的な感じもしましたよね。やっぱり自分にないものに憧れて(笑)。

──メンバーの趣向も秋葉さんに近い感じですか?

基本的には60~70年代の音楽は好きだと思います。

──では、どういう経緯で今に至るかを。

インタビュー風景

大学のころはライブをたくさんやりつつも、自分たちだけで趣味みたいな感じで好きに活動していたんです。で、大学を卒業してから僕はバイト生活だったんですけど、メンバーが就職したんでバンド活動はままならなくなって、僕も将来どうするか考えたりもして。まぁ、なんとかなるかとは思ってたんですけど(笑)。バンド活動が停滞しても曲はずっと作ってたんですけどね。で、バンドも活動できないし、CDを作ってどこかに送って、それでダメならバンドは辞めようと。僕も1回就職して、バンドのことはその後に改めて考えようって。それでCDを作った後、僕、実家に帰って公務員の勉強を始めたんですよ。そしたらCDがレーベルのオーディションに受かっちゃって(笑)。それでバンド続けようって。

──その時は「やったー!」って感じで気持ちは盛り上がりました?

うーん、就職しないで音楽を続けるってことで、彼女には振られて(笑)。でもオーディションに受かったことはうれしかったんです。メンバーと一緒にがんばろうって気持ちにもなったし。でもちょっとおっかなびっくりというか、気が小さいもんで(笑)。わりと、臆病になっちゃって、つい最近まで。

──つい最近まで(笑)。

今、そういうところを打破していこうとしてるんですけど。

まだプロとしてのペースをつかみ切れてない

──じゃ、最初からプロになりたいって思ってオーディション受けたわけじゃないんですね。となると、実際オーディションに受かって環境が変わったことで、自らの意識も変えていかなきゃいけないわけで。

そうですよね。昔から、音楽で食べていけたらいいなとは思ってたんですけど、でもそのために何を実行したかというと、特に何もしてないし。すごい曖昧にやってたんですよね。曖昧でマイペースで。それがそのままこうなっちゃって(笑)。

──今、秋葉さんの意識は変化していってるんでしょうか?

インタビュー風景

変わらないものも必要なんだろうけど、ここまでくるとそんな場合じゃないなって(笑)。今、意識を変えてる時期というか。実際、まだペースをつかみ切れてない感じはあるんです。例えば昔はいつでも新しい曲を作れたけど、今はその時間がライブの練習のための時間になったり。ライブの数も増えましたしね。ま、ライブの練習をするのは当たり前のことですけど(笑)。

──そういう中で曲は変化してます?

環境が変わったって理由では曲は変わっていないと思います。今まで変化した時期はあったんですけど、それはもっと前のことで。大学時代はメンバーみんなで曲を作ってたんですけど、大学卒業したばかりのころ、メンバーは就職してバンド活動がままならなくなって、僕は暇だったんで、僕が1人で曲を作ることが多くなって。そのときに変化して、その後はあまり変わらずに。今も僕が曲を作ることが多いです。

──じゃ、これまで「気楽にやろうぜ」「素晴らしいね」2枚のミニアルバムをリリースしてますが、その2作と今作で曲の作り方は特に変わらずに。

そうですね。変わりませんね。僕が1人で作ったものをみんなで演奏する、そういうスタイルで。

1stフルアルバム「The First Cut is The Sweetest」 / 2011年3月2日発売 [CD] 2400円(税込) / SMALLER RECORDINGS / XQIY-1104

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CD収録曲
  1. メリーゴーランド
  2. ちくちくちく
  3. ボーイフレンド
  4. あのこにキッス
  5. 車なのさ
  6. あのこのでんわ
  7. ガールフレンド
  8. 恋をしている
  9. スマイルをおくれよ
  10. ドライブ天国
  11. 自由マン
  12. 恋がしたい
ザ・ビートモーターズ

明治大学の音楽サークルのメンバーだった秋葉正志(Vo, G)、木村哲朗(G)、ジョニー柳川(B)が結成したロックバンド。2004年に鹿野隆広(Dr)が加入し、現在の編成となる。東京都内でのライブを中心とした活動を繰り広げ、オーディションを経て2009年4月にSMALLER RECORDINGと契約。同年7月に初の音源となるミニアルバム「気楽にやろうぜ」をライブ会場限定で発売。11月からは全国流通もスタートし、大きな話題を集める。その後「SUMMER SONIC」「COUNTDOWN JAPAN」「RADIO CRAZY」といった大型フェスやイベントにも続々と出演。2010年4月には2ndミニアルバム「素晴らしいね」をリリースし、6月に初のワンマンライブを下北沢SHELTERで開催。チケットはソールドアウトし、彼らに対する注目の高さをうかがわせた。2011年3月に初のオリジナルフルアルバム「The First Cut is The Sweetest」を発売する。