ナタリー PowerPush - The Beatmoss
ILMARI&KOSENが語る“新人バンド”今日までの歩み
The Beatmossは、ILMARI(Vo / RIP SLYME、TERIYAKI BOYZ)、KOSEN(G)、YAS(B)、SOHNOSUKE(Dr / quasimode)の4人からなるロックバンド。2011年夏にILMARIを中心に活動を開始し、ライブ活動やスタジオでの曲作りで力を付けた彼らは、昨年11月にデビュー盤となるミニアルバム「The Beatmoss Vol.1」をリリースした。そこから早2カ月で2作目となるミニアルバム「The Beatmoss Vol.2」を発表する。
今回は曲作りを担うILMARIとKOSENにインタビューを敢行。バンド発足の経緯や、「Vol.1」と「Vol.2」の仕上がりの違い、このバンドの魅力や未来についてたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 鳴田麻未 インタビュー撮影 / 上山陽介
The Beatmoss=ビートを灯す
──「The Beatmoss Vol.1」をリリースして「The Beatmoss Vol.2」の発売を待つ今、バンドの活動状況はどうですか?
ILMARI(Vo) この間タワレコで久々にライブして、今「COUNTDOWN JAPAN」に向けたリハでライブの感覚を戻してます(※取材は12月下旬に実施)。5月からずーっとライブをやってたんですけど、レコーディングに入って「1」をリリースして、またレコーディングみたいな感じだったので。
──じゃあ4人で集まる機会はかなり多いんですね。
ILMARI そうですね。
──「Vol.1」について周りから反応はありましたか?
KOSEN(G) はい。俺がすごくうれしかったのは、同じようにバンドやってる人たちが結構聴いてくれて、気に入ってもらえたことですね。
ILMARI 俺も知り合いがPV観てくれたり、ラジオで聴いてくれたりして「いいじゃん」って言ってくれました。リップのメンバーからは何もないです(笑)。
──(笑)。そう言えば先日ILMARIさんのTwitterでの発言で知ったんですが、The Beatmossというバンド名は「ビートを灯す」という意味なんですね。
ILMARI そう。元々日本語にしたくて、最初は「ヒネモス」ってバンド名にしたかったんですけど、もうすでにいたからダメで。ほかにもいっぱい候補出したんですけど、英語のやつはちょっとカッコつけすぎに思えたりして、なんかしっくりこなくて、結局「ヒネモス良かったな」っていうことで「モス」から考えたんですね。で、KOSENくんが「“ライトを灯す”でLightmossどうですか?」みたいなメールを僕にくれて、「Lightmossだとよえーなあ」と思って「じゃあBeatmossはどう?」「それで行きましょう」みたいな。「モス」も残ったし「灯す」は日本語だし、まあいいんじゃないかなと。
──100%語感重視なんですか? 「ビートを灯す」にバンドとしての決意が込められてるのかと思っていました。
ILMARI 語感の部分も大きいですけど、まだ結成して間もなかったから「この4人で鳴らしていこう」っていう気持ちが「灯す」って言葉に合ってるとは思いました。ちゃんと形にしていきたいっていう。
バンドをやりたいというよりちょっとした好奇心
──バンドの発起人であるILMARIさんと、最初にメンバーとしてタッグを組んだKOSENさん。おふたりはどのように出会い、曲作りをするようになったんですか?
ILMARI KOSENくんが共通の知人を通じてずっとリップのライブを観に来てくれてて、以前から打ち上げとかでも話してたし、知ってはいたんです。それで2011年の夏くらいに飲みに行って、どんな音楽が好きなのか話したり、KOSENくんのCDをもらったりしてるうちに、「ちょっと2人で何か作ってみようか」という話になりました。
──ILMARIさんはその時期バンドを始めたかったんですか?
ILMARI バンドをやりたいというより、KOSENくんがメロ作って俺の声で歌ったらどういうふうになるんだろう、っていうちょっとした好奇心ですよね。それがボツになったり世に出なくてもいいからちょっとやってみようかなと思って、やったらわりかし良かったんですよ。俺的には。で、車の中とかで聴いて「結構いいなあ」と思って(笑)、もうちょっと違うタイプの曲も作り出して、貯まったからスタッフに試しに聴かせてみようかと。そしたらワーナーの人も「いいじゃん。せっかくだからこれ出そうよ」って言ってくれて。
──ILMARIさんの場合、新たな音楽活動を何かしようと考えたとき、ソロ音源を作るという挑戦もアリだし、ラッパー仲間とともにリップとは違うベクトルのヒップホップユニットを組むのもアリだし、さまざまな選択肢があったかと思うんですね。その中から、生楽器を鳴らして歌を歌うことを取った理由というのは?
ILMARI 単純に、リハ入って楽器弾きながら歌ってるのがすごい楽しかったんですよね。なんかめちゃくちゃ新鮮だったんですよ。で、ライブもやりたくなって、それじゃあバンドだなと思って。そもそもソロをやったりラップの曲を出したりするより、全然想像のつかないことをやりたいなっていう気持ちはありました。リップのリスナーが「こう来るだろうな」ってだいたいわかるようなことじゃなく、「そう来たか」みたいな感じにしたかった。
ILMARIの声はエフェクティブ
──KOSENさんがThe Beatmossメンバーとなるまでの経緯も教えてください。
KOSEN 最初から説明しますと、僕は元々Peaky SALTってバンドでデビューして、それが活動休止して、以降Brian the Sunというバンドのアレンジをやったりしつつ1人で曲作ったりもして、そんな中ILMARIさんと知り合って、という感じですね。
──今はギター担当ですが、Peaky SALTのときはベーシストだったんですね。
KOSEN はい。
ILMARI なんでギターじゃなかったの? ギターの人と争ってテクニックで落ちたの?
KOSEN あははは(笑)。Peaky SALTを組んだのが中学生のときなんですけど、そのときベースのカタログを見て、なんか見た目がカッコいいなと思ったんですよね。みんなには「じゃんけんで負けたんでしょ」って言われますけど(笑)。
──このバンドをやることになって、こういう音を鳴らしたい、こんなことをしたい、と思い描くものはありましたか?
KOSEN 個人的には、最初に2人で始めたときから自分の中でILMARIさんが歌う理想みたいなものがあったんですけど。
──理想?
KOSEN ILMARIさんの声ってすごい楽器的だと思うんですよ。エフェクティブな感じというか。それを音として生かせたらとは思ってました。結果的には、YASと今泉さん(SOHNOSUKE)が入って4人のメンバーになって、自分の中にない音楽を教えてもらったり取り込んだりしたので、最初のILMARIさんの声を生かそうっていうイメージよりも広がったかなと。
ILMARI なるほど。
KOSEN あははは(笑)。なんで感心してるんですか(笑)。
- 2ndミニアルバム「The Beatmoss Vol.2」 / 2013/01/23発売 / 2100円 unBORDE WPCL-11287
- 2ndミニアルバム「The Beatmoss Vol.2」
収録曲
- Freedom(twilight)
- Break Down
- SUPERSTAR
- フリースロー
- So Fish
- Great Journey
- Freedom(at Dawn)
- 1stミニアルバム「The Beatmoss Vol.1」 / 2012/11/21発売 / 2100円 unBORDE WPCL-11238
- 1stミニアルバム「The Beatmoss Vol.1」
収録曲
- All around the world
- Yellow Sun
- Flippin'Out
- Laughter
- Summer
- Stranger
- Flow
ライブ情報
The Beatmoss Flippin'Out TOUR
- 2013年2月6日(水)
大阪府 梅田Shangri-La - 2013年2月7日(木)
愛知県 名古屋ell.FITS ALL - 2013年2月13日(水)
東京都 新宿LOFT
The Beatmoss(ざ・びーともす)
ILMARI(Vo / RIP SLYME、TERIYAKI BOYZ)、KOSEN(G)、YAS(B)、SOHNOSUKE(Dr / quasimode)による4人組バンド。2011年夏にILMARIとKOSENが出会い、意気投合して楽曲制作を開始。同年末にライブを見据えてYAS、SOHNOSUKEが加入する。その後都内を中心にライブを重ね、2012年11月にミニアルバム「The Beatmoss Vol.1」でCDデビューを果たす。続いて2013年1月に2作目のミニアルバム「The Beatmoss Vol.2」をリリース。それぞれヒップホップ、ロック、ジャズシーンで培った持ち味をミックスしながらオリジナリティあふれるサウンドと世界観を表現している。