THE BEAT GARDEN|Beemerの思いを受け止め、4人で放つ最後の光

THE BEAT GARDENとはこういうものだ

──メジャー3rdアルバム「余光」がリリースされますが、今回っているツアータイトル「Afterglow」を和訳すると“余光”なんですよね。このタイトルを付けた理由は?

U 「余光」って、日が沈んでもまだ消えない光のことなんです。まず、SATORUと作れる最後のアルバムというのが大前提にあって。僕ら自身、SATORUがまさか辞めるとは思ってなかったんです。だから、SATORUが卒業して3人になってパッと切り替えることができるかと言ったら、そうじゃない。これからも4人で作ってきたTHE BEAT GARDENとしての悔しい気持ちとか、拭えないものはちゃんと持ったまま歩んでいきたいという4人からのメッセージが、まずはあります。

──なるほど。

U あとは、このコロナ禍で感じた、応援してくれている人たちと自分たちのリアルな距離、会えなくなったときの生々しい感覚……そういうものの意味合いも大きいです。このアルバムまで一緒に歩んできてくれた思いは消えないし、自分たちが作っている曲は間違いなく、今まで出会ってくれた人がいたからできたんだと思う。そういう意味での“消えない光”、2つの意味を込めて、「余光」と付けました。

──ジャケットに4本の線が描かれているのは、やはりすごく意味深ですよね。

「余光」初回限定盤ジャケット

SATORU 1人飛び出てますもんね。

U 飛び立ってるなあ(笑)。

──収録曲は、メジャー2ndアルバム「メッセージ」(2019年3月発売)以降にリリースされたシングル曲がメインとなってきていますが、改めて、このアルバムに並んだ楽曲を振り返ると、どんなことを感じますか?

REI まず、昨年から今年にかけてはデジタルシングルをリリースしていたので、ようやく盤を出して、Beemerの手元に届けることができるのがうれしいですよね。

U そうだね。あと僕的には、前作の「メッセージ」は、それまでのエレクトロでロックな感じの曲だけを歌っていても伝わらなかった思いを、ちゃんと言葉にして伝えるためのアルバムだったと思っていて。ただ、インディーズの頃から自分たちが作ってきた激しいエレクトロな曲たちも、やっぱり俺たちなんだという気持ちもあるんです。そういう意味で、今回のアルバムの曲たちはJ-POPのメロディをちゃんとエレクトロなサウンドの中にも落とし込めた自信がありますね。

──確かに、今作の収録曲はサウンドと歌詞が見事に融合しているというか、“踊れるし歌える”アルバムですよね。

U あと、例えば「マリッジソング」や「遠距離恋愛」でサウンドプロデュースしてくださった田中隼人さんはインディーズ時代の先輩(ファンキー加藤)のツアーからサポートメンバーとしてご一緒していたんですけど、そういう人が参加してくれていることも含めて、「THE BEAT GARDENとはこういうものだ」というのを明確に、チーム全体として表現できるようになった印象があります。

MASATO

MASATO 僕としては、「メッセージ」で初めて自分で作った曲を収録させてもらったんですけど、今作は前よりも自分の成分が多いアルバムになったなと思うんです。そこに対する手応えもありますね。

──11曲中9曲の作曲クレジットにMASATOさんの名前があります。

MASATO あとはこの間、1作目から全部聴き返してみたんですけど、やっぱり歴史というか……歴史でもあり、進化でもあり、そういうものを自分たちの作品にすごく感じて。今までのTHE BEAT GARDENのどれを否定するわけでもなく、どのタイミングでTHE BEAT GARDENを見つけてくれても、違う一面を好きになってもらえるような作品を出すことができていたんだなと思ったんです。例えば今回も、6曲目の「好きな人がいる人を好きになった」のようなちょっとジャジーなサウンドは今まで作っていなかったものだし、また違った一面を好きになってもらえたらなと思いますね。

──SATORUさんはどうですか?

SATORU リリースイベントをできた曲もあれば、デジタル配信だけの曲もあって、シングルは曲ごとに届け方が違ったと思うんです。個人的には、思い入れのある11曲が並んでいるので、すべて感慨深いものはありますね。

「Everglow」がコロナ禍での支えになってほしい

──アルバムに収録される新曲について具体的に伺いたいのですが、まず9曲目「Everglow」は、「Afterglow」とはある意味対になるタイトルの曲ですね。コロナ禍のことがダイレクトに反映されていますけど、この曲はどのようにして生まれたんですか?

REI

U 「Everglow」は最初、REIがメロディを出してくれたんだよね。

REI そうですね。SATORUさんの最後のアルバムだし、初心に戻って、僕たちの原点のようなアップテンポのものを作りたいなと思って、1回デモをみんなに投げたところから「Everglow」は始まりました。そのとき、みんなにも「いい意味で新しくもあり懐かしさもある、思い出も振り返ってもらえるような曲にしたい」と伝えて。

──歌詞はUさんですね。

U なんというか……すごくイライラしていたんです。例えば、YouTubeでの配信をこの期間に始めてみたんですけど、やっぱり難しくて。今までやっていなかったことを始めると、ファンの人はより距離を感じてしまったりする。それでも、この期間をプラスに変えないといけない思いもあったし。やっぱり、ライブでちゃんと歌えているということが、自分たちの大きなモチベーションになっていたと思うんです。でも、週末のライブもなくなり、毎日なんとなく過ごせてしまう。それでも、なんとか曲は書かなきゃっていう状態でこの曲の歌詞は書いていて。あと、この歌詞を書いているときにSATORUの卒業も決まっていたんですけど、それを言えない苦しさもあって。

──なるほど。

U 思うように歩んでいけないもどかしさがあったんですよね。でも、それでも離れないでいてくれるBeemerたちがいることも感じていたし、また会えたときに笑い合えるように、前向きになれるような歌詞を書こうと思って。半信半疑ではあったんですけど、でもこの先に絶対にもう1回手をつなげる未来があること、それを会えたときに喜び合えたらいいなと思って、「Everglow」の歌詞を書きました。

──「Everglow」の歌詞は、3人はどんなふうに受け止めました?

MASATO これは本当に、本音と希望の歌だと思うんです。今もうライブで歌い始めていて、アップテンポで楽しい感じの曲調ですけど、この曲は歌詞もすごく届いている気がするんですよね。今、アクリル板を隔てて“お話会”というのをやっているんですけど、そこで「Everglow」の感想を届けてくれるBeemerの子たちがすごく多いんです。やっぱり、みんな同じ苦しみの中で同じ思いを抱えてきたんだと思いますし、逆に、この本音を、あまりシリアスになりすぎず希望の中で歌えたことがすごくよかったなと僕は思います。

──確かに、本音を語るにもシリアスになりすぎないことは大事なことだったのかもしれないですね。

THE BEAT GARDEN

REI 僕はラップパートでUさんにいくつか歌詞の案を投げたんですけど、やっぱり会いたくても会えない期間があって、「何かしないと」と思っていても何もできず、ただ焦りだけで過ぎていく期間があった。そんな状況でも「ちゃんと歌い続けないと」と思えたのは間違いなくBeemerの存在のおかげなんです。だからこそ「もう一度会いたい」という気持ちもあったし、コロナ禍でこの曲が支えになればいいなと思って歌っています。

SATORU 「Everglow」は本当に、前向きになれる曲だなと思います。僕、この曲の歌詞の最後3行がすごく好きなんです。「叫び合おうか 鳴り止まなかった 愛を 想いを」っていう。THE BEAT GARDENもファンのみんなに思いを伝えて、みんなもライブ会場で声を出して歌ってくれる……今まで当たり前だったことがもう1度できるその日を本当に待ち望んでいますし、だからこそ、この3行はすごい胸にグッときました。