11月16日(土)にスカチャン1で「中村正人×ハマ・オカモト特別対談番組『THE BASS』」がオンエアされる。
この番組は中村正人(DREAMS COME TRUE)とハマ・オカモト(OKAMOTO'S)がベースを始めたきっかけやベーシストでよかったと思うことなど、“ベースと音楽”をテーマにトークを交わすという趣旨のもの。音楽ナタリーではこの番組の魅力を伝えるべく、番組収録直後の中村とハマにインタビューを実施。初対面は約5年前の音楽ナタリーの取材だという2人に収録の感想や近況を聞いた。
取材・文 / 酒匂里奈 撮影 / 西村満
5年ぶりの対談取材
──お二人で音楽ナタリーの取材を受けるのは、「ATTACK25」の特集以来、約5年ぶりです(参照:DREAMS COME TRUE「ATTACK25」特集)。まずは今日の収録の感想を聞かせてください。
ハマ・オカモト(OKAMOTO'S) この5年の間にいろいろあって、お話したいことも積もっていたのでうれしかったです。収録では用意していただいた台本の流れをなぞりつつも、だいぶ自分の言葉でマサさんにいろいろズカズカ聞いてしまいました。楽しかったですね。
中村正人(DREAMS COME TRUE) 上から目線になるわけではないんだけど、ハマくんは5年の間に成長しているなと感じました。才能があるのはもちろん、努力もしている人はこういうふうになるんだなと思いましたね。ハマくんがバンド以外のところで道場荒らしみたいなことをしてきた成果が、バンドにも出てきているというか。バンドってメンバー1人ひとりがスターであるべきなので、そういう意味ではハマくんのスター性が上がっていることはOKAMOTO'Sにとってもプラスだよね。最近はラジオでもテレビでもネットでも、ハマくんが確固たる存在感を発揮している。それが僕はうれしくて。やっぱりバンドにはこういうスポークスマンがいないと、自分たちの音楽が届かないんですよ。エンタテインメント業界の中で、“ミュージシャンとは”“音楽とは”“バンドとは”としっかり語ってくれる人が登場したのは、音楽業界全体にとっても素晴らしい出来事だと思います。僕は過去に作品をリリースしたときに、何百回とインタビューをしていただいて、結果としてそれで自分たちの音楽を伝えることができたから。
ハマ ありがとうございます! 僕は逆に5年経ってもマサさんの印象はいい意味で変わっていなくて。初めてお会いしたときにもいろいろなお話をしてくださいましたし、包み隠さず思ったことを伝えてくれる方だと感じたんです。5年の間にそんなに何度も会っているわけではないのですが、個人的にお食事に行く機会もありました。そのときも取材のときと変わらず、いろいろな話をしてくれるし、僕が話すこともすごい真剣に聞いてくださるんですよ。「あ、認めてくれてるのかもしれない」という喜びがありました。
中村 認めてますよ。
ハマ ありがとうございます。うれしいです!
「俺最高!!」が最高
──ハマさんは「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2019」に行かれたそうですね。
ハマ はい。僕は「WONDERLAND」初体験だったので、楽曲の構成などはもちろん、ショーとして、エンタテインメントとしてというか、演奏以外の時間もすごく刺激的でした。あとマサさんがライブの途中で走り回りながら「俺最高!!」と言っていたのが最高でした。ライブが終わってからすぐにマサさんにここが印象的だったと伝えました。
中村 あはは(笑)。
ハマ マサさんがその発言をする前から、僕は「マサさん最高だな」と思っていたんです。そうしたらご自身が吠えたので、「その通り!」と思いました。本当にすべてが刺激的でしたし、先の展開が想像できなかったですね。すごいすごいとは聞いてましたけど、「そうくるか!」の連続でした。素晴らしい音楽ショーに、度肝を抜かれましたね。
中村 ありがとう。今回は吉田(美和)が言っていたこともあって「30周年だからこそ、ドリカムがやりたい曲をやる」という趣旨でやったんです。お客さんはヒットした曲をやってほしいと思っているのはわかっていたんですけどね。だから最初はどんな反応されるのかビクビクしていました。でも始まったら始まったで、本性が出ました。お客さんに「これはどう? いい?」と聞くのではなくて、「気に入ろうが気に入らまいがこれが俺たちの音楽だこの野郎!」という感じ(笑)。その気持ちが「寄生獣」みたいに僕の体を食い尽くしていました。
初心者にもオススメなハマのシグネイチャーモデル
──収録内ではお二人が番組観覧の方や音楽専門学生から事前に募っていた質問に答える場面もありました。これからベースを始める方にオススメのモデルなどはありますか?
ハマ 僕は自分でFENDERからシグネイチャーモデルを出してるので、それですかね。
中村 もちろんそうですよね。どんなモデルでしたっけ?
ハマ ものすごく軽くて、値段も10万円以内に収めました。でもちゃんと音もいい。この前映画「HELLO WORLD」の主題歌と劇伴をバンドでやらせていただいたときは、全部自分のモデルでレコーディングしたんです。本当にオススメですね。
中村 女子高生だとタダであげたりするんでしょ?
ハマ 1000円ですね(笑)。
中村 でも本当に、ポップス、ロックをやりたいならハマくんのベースが一番いいと思います。自分の弾いたサウンドがそのまま出る、オーソドックスなベースなので。このモデルでいい音が出れば、うまくなったということだと思います。
ハマ ありがとうございます。
中村 僕はWARWICKの初期モデルを常に探しているんですよ。ほかとは全然違うので。
ハマ すでに持ってはいるんですか?
中村 3本持っています。でも見つけたらまた買うね。自分が弾きたいというのもあるけど、コンディションのいい状態で残しておかないと、未来のクラフトマンの資料にならない。技術者の技術が低下してしまうのはよくないよね。
音楽に誠実な人
──先ほどの収録では“2019年”という話題が上がっていました。2019年の重大ニュースはありますか?
ハマ 2019年はバンドがデビュー10周年を迎えていろいろ動いていて。僕らは5大都市と呼ばれるところは別ですが、それ以外の都市はまだまだ200~300キャパのライブハウスを回っている状況なんです。そんな中で日本武道館公演をやるというのはなかなか大きな決断でしたし、このライブが成功したのが一番大きなことでしたね。意識してなかったですけど、終わった途端に肩の荷が下りた感じがして、バンドの風通しもよくなった気がしました。
──最後に2020年にやりたいことや達成したい目標があれば教えてください。
中村 来年か。ハマくんは来年に向けて何か考えてる?
ハマ ずっと言っていることではあるんですけど、バンドのキャパを上げたいです。リアルな話ですが、最低でもZeppツアーとかができるようにならないと今後キツイなと思っていて。あとは、僕らはアルバムを頻繁にリリースしてきたバンドで、ここ数年はライブで披露するのは最新アルバムの曲ばかり、というスタイルになっているんです。なので来年は学生時代の曲などを披露するライブもやりたいという話はしてますね。
中村 「OKAMOTO'S WONDERLAND」をやるのはどう?
ハマ もろパクリですね(笑)。マサさんが許してくれるならやりたいです。
中村 いいと思うよ(笑)。
ハマ でも本当に、最近はホールワンマンをやるようになったりもして。もちろん音楽には付随しつつですけど、演奏以外の部分でもバンドの面白いところを出せるようなライブはやりたいですね。
中村 俺はもう生きていればいい(笑)。あとはそうだな、来年の我々というか、エンタテインメント業界の未来の話になってしまうけど。自然災害への対策は、我々業界の人間がスキルを上げて、野外のライブイベントができるだけ可能になるような体制を整えていくべきだと思う。うちはお客さんのリスクを考えて、野外ライブをやめてしまった。でもフェスとかがなくなるのはすごく寂しいし、来年と言わず早々に業界全体で取り組んでいかないとやばいと思います。あと今回の「WONDERLAND」で痛感したのは、音楽に誠実に仕事をしてくれる人をつかんでおかないといけないというか、我々がそういう人がついてもらえるような存在にならないとダメだということ。設営のアルバイトさん1人に至るまで、我々ミュージシャンが“あなたがどれだけ今日のステージに必要な人なのか”をそれぞれが話しかけていかないといけないと思う。なんか最後に難しい話をしちゃった?
ハマ いやいや、その通りだと思います。