THE BACK HORN|メンバー解説で掘り下げる濃厚新作「情景泥棒」

「情景泥棒」解説

──表題曲の「情景泥棒」は、菅波さん作曲で松田さんが作詞を担当しています。なぜこういうSF仕立ての歌詞になったんですか?

松田 もともとのデモ自体にそういう世界観があったんですね。ちょっとグランジふうでダンサブルで……ギターのフレーズとかがちょっと現実離れした感じ。そういうのってひさしく書いてなかったなと思ったとき、ふと「情景泥棒」って言葉を思い出して。情景を奪いにくる奴がいたら面白いな、それを奪いにくる奴が未来から来た売人だっていう。

──曲を渡した段階で、こういう歌詞になるっていうのは予想してました?

菅波栄純(G)

菅波 曲はワンコーラス分しか渡してなかったんですけど、今の歌詞が返ってきて、SF的な設定もすげえ面白いと思って。これが膨らんだらもっと面白くなりそうだなって。マツも「ひさしくこういう妄想っぽい歌詞を書いてなかった」と言ってましたけど、ホントそうだなと。

──松田さんは本来は妄想しがちな人ってことですか?

菅波 そうです!(笑) ホントそう。

松田 もともと音楽って、自分の妄想力を刺激してくれるものだと思うんです。聴きながら、「俺だったらこうだな」「なるほど」みたいな感じで楽しんでもらえるものであってほしいという思いもあって。スペイシーだけどちょっと江戸っぽかったり、ちょっと歌舞伎っぽかったり。近未来と妖怪の世界とか、いろんなものがぐちゃぐちゃになっている。

──菅波さんは、ご自分で詞を書くときと人に渡すときってどんな区別があるんですか?

菅波 なんだろうな……少なくとも最近の作り方だと、歌詞がかなり早い段階であるんですよ。メロディができたらすぐに歌詞を乗せたくなっちゃって。「Running Away」とかそうだし。でもメロディだけ残る曲もあって、そこでどういう判別があるかはわからない。最初の段階で付いてないと、自分で書く場合もあるし、ほかのメンバーが書くこともある。振り分けていると言うより、結果としてそうなるんですけどね。

松田 5パターンぐらいデモがきたんですけど、ほとんどメロディがなだらかで平坦な感じだったんです。丁寧にメロディを作り込んでいったら歌詞も湧いてくるだろうし、栄純自身が歌詞を付けたくなる雰囲気だったんです。だからその前の段階でこっちに来た感じはありました。

──あえて完成途上の段階で渡して、人の手が入って違う広がり方をするようになる。

山田将司(Vo)

菅波 確かにそうだった。メロディも譜割もどんどん変えちゃっていいからって話をして。

──自分がとことんまで作り込みたいと思った曲は歌詞も自分で付ける。

菅波 て、ことになるんですね、きっと。そういう曲は歌詞を伝えたくて、音がそこに追従してる。例えば「悪人」(2015年9月リリースのシングル)とか。そういう場合は自分で歌詞も書く感じになります。

「情景泥棒~時空オデッセイ~」解説

──で、その「情景泥棒」の続編を菅波さんが書いたわけですね。

菅波 まず「情景泥棒」ってタイトルがめちゃくちゃ面白い。これはタイトルになったほうがいいな、と。しかも曲も2部構成とかにしたら、ミニアルバムの重しとしていいし、膨らみも出る。誰かの書いた歌詞の続編を書くってやったことなかったし、試したら面白そうだなって。それでマツと相談すると言うよりは、マツの歌詞から想像した続きを自分で勝手に書いて、展開も考えてみんなに投げた感じです。

──どうでしたか、彼のアイデアは。

松田 すごくいいなと思いましたね。俺がそのまま続きを書いたら、凝り固まる可能性があった。設定に縛られすぎる可能性があったと思うんですよ。そこから栄純が妄想を広げて。展開もサウンドや歌詞と一体化して、この合体はかなりいい感じだなと。

菅波 マツが書いた「情景泥棒」の前半は、現代人側の視点だと思ったから、逆に後半では奪いにくる奴の人生ってなんだろうって思って膨らませたんです。

松田晋二(Dr)

松田 最後の「此処は何処だ?」ってフレーズがいいなって。主人公が最後に悩むのが愛おしいって言うか。迷うのが、いい終わり方だなと思って。

──そこがTHE BACK HORNの曲らしくもある。

松田 うんうん。

──映画とかマンガとか小説とか、いろいろ膨らませることができそうですね。

松田 そうですね。でもそれが曲の中だけで展開するのがいいと思ってて。サウンドと歌詞だけだと映画やマンガに比べて情報量は少ないけど、その分よりイマジネーションを刺激できると思うし。

──情報量が少ないからこそ、映像が浮かんでくるような刺激と広がりがある。

松田 それはTHE BACK HORNにしかできない部分でもあるかと思います。

「光の螺旋」解説

──最後の「光の螺旋」は岡峰さんが作詞作曲を手がけた曲です。

岡峰光舟(B)

岡峰 作ったのが1年ぐらい前で。自分の中のバンド像とか考えてた時期ですね。結成20周年というのが意識にあったし。バンドってなんだろう、THE BACK HORNってなんだろうっていろいろ考えてた時期。俺は途中で入ったけど、バンド自体は20年も続いてる。俺らは普通に思ってるけど、客観的に見たらすげえなと思ったり。かと言ってそこで何を成し遂げたとか手に入れたとか、そういうもんでもねえのかなとか、いろいろ考えたりして。何がバンドのゴールかもわかんねえし。

──20年バンドやってる人が歌詞の中で「まだ何も始まってねえんだよ」と言うのが、実にカッコいいと思いました。

岡峰 うん。そういう気持ちが続いてるから、バンドも続いてるのかなと思ったりしました。

──THE BACK HORNらしいかなりハードなサウンドですが、歌詞には岡峰さんらしいロマンチックでキレイな言葉が並んでいます。

岡峰 THE BACK HORNの哀愁みたいなところと、俺はハードロックとかヘヴィメタルも大好きだったから、そういうところも自然とリンクしたって言うか。そこがうまく融合すればと思ってましたね。俺が作れば結局ヘヴィメタルの曲にはならないし。その感じもやってて面白かったです。

──この曲がミニアルバムの最後に来るのもよかったです。

菅波 いいすよね。最後しかないだろうっていう。

──ということで全7曲、菅波さんはTwitterとかでいつになく熱く語ってますよね。

菅波 熱くなってます、マジで(笑)。いいのができたから。ホント、聴いてほしいですもん。ライブも楽しみにしてください!

THE BACK HORN
THE BACK HORN「情景泥棒」
2018年3月7日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
THE BACK HORN「BEST THE BACK HORN II」TYPE-A

初回限定盤 [CD+DVD]
3456円 / VIZL-1338

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THE BACK HORN「BEST THE BACK HORN II」TYPE-B

通常盤 [CD]
2160円 / VICL-64966

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CD収録曲
  1. Running Away
  2. 儚き獣たち
  3. 閃光
  4. がんじがらめ
  5. 情景泥棒
  6. 情景泥棒~時空オデッセイ~
  7. 光の螺旋
初回限定盤DVD収録内容

「KYO-MEIワンマンライブ~第三回夕焼け目撃者~」Live at 日比谷野外大音楽堂

  1. シリウス
  2. ひょうひょうと
  3. 晩秋
  4. コワレモノ
  5. アカイヤミ
  6. 覚醒
  7. 孤独を繋いで
  8. シンフォニア
  9. 何処へ行く
  10. グローリア

ライブ情報

THE BACK HORN 20th Anniversary「KYO-MEIワンマンライブ 東京編・大阪編」~情景泥棒~
  • 2018年3月20日(火)東京都 Zepp Tokyo
  • 2018年3月24日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
THE BACK HORN 20th Anniversary「KYO-MEI対バンツアー」~情景泥棒~
  • 2018年4月1日(日)愛知県 Zepp Nagoya
    出演者THE BACK HORN / UNISON SQUARE GARDEN
  • 2018年4月6日(金)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
    出演者THE BACK HORN / 9mm Parabellum Bullet
  • 2018年4月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
    出演者THE BACK HORN / 9mm Parabellum Bullet
  • 2018年4月15日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
    出演者THE BACK HORN / アルカラ
  • 2018年4月20日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
    出演者THE BACK HORN / クリープハイプ
  • 2018年5月13日(日)福岡県 DRUM LOGOS
    出演者THE BACK HORN / and more
THE BACK HORN(バックホーン)
THE BACK HORN
1998年に結成された4人組バンド。2001年にメジャー1stシングル「サニー」をリリース。国内外でライブを精力的に行い、日本以外でも10数カ国で作品を発表している。またオリジナリティあふれる楽曲の世界観が評価され、映画「アカルイミライ」の主題歌「未来」をはじめ、映画「CASSHERN」の挿入歌「レクイエム」、MBS・TBS 系「機動戦士ガンダム 00」の主題歌「罠」、映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」の主題歌「閉ざされた世界」を手がけるなど映像作品とのコラボレーションも多数展開している。2014年には熊切和嘉監督とタッグを組み制作した映画「光の音色 -THE BACK HORN Film-」が公開された。2017年2月にかねてより親交のあった宇多田ヒカルとの共同プロデュース曲「あなたが待ってる」をシングルとして、10月に2枚目のベスト盤となる「BEST THE BACK HORN II」を発表した。結成20周年を迎える2018年3月に新作ミニアルバム「情景泥棒」をリリース。