ボーカロイドにまつわるさまざまな企画が繰り広げられるイベント「The VOCALOID Collection ~2021 Spring~」が、4月24日から25日にかけてオンラインで開催される。
「The VOCALOID Collection」の開催を記念して、音楽ナタリーではイベントに賛同するクリエイターにスポットを当てた特集を複数回にわたって展開する。第1弾となる本企画では、2015年以降にデビューした新しい世代のボカロPたち11人に“影響を受けたボカロ曲”を聞くアンケートを実施。各クリエイターの創作意欲を刺激した楽曲を3つ挙げてもらい、その理由を聞いた。
※記事初出時、内容の一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
aqu3ra
代表曲「ロンリーユニバース」など
はるまきごはん「メルティランドナイトメア」
ある日たまたまネットで音楽を聴いていたら、たまたま発見しました。
初めて聴いたとき、濃い世界観と、心地よく調整されたミクにいろいろMIXされたサウンドが衝撃的で、なんだこれ!? ボカロとは!? 何もかもが謎でしたがとにかくいい。凄い!
と思って何度も再生したのを覚えています。自分がボカロ曲を作るきっかけになった曲です。
Neru & z'5「い〜やい〜やい〜や」
ボカロを漁り始めて関連動画からわりとすぐに見つけた曲だったのですが、
Neruさんの曲はどれも音がよくてサウンドの発想やMVも面白くて夢中になって動画を見ました。
J-POPや洋楽とも違う不思議な曲が多くて、そのときの自分にとって特に異彩を放った有名ボカロPという印象でした。
Neruさんの中でも特に好きなこの曲を選びました。
Orangestar「アスノヨゾラ哨戒班」
ボカロを聴き始めた2018年頃当時、活動休止中でアメリカにいる伝説のボカロPで、しかも復帰するという情報もあってとてもわくわくする存在でした。
「アスノヨゾラ哨戒班」に限らないですが、Orangestarさんの爽快感やサビで開けていく感じが好きです。
音の組み立て方に自分と似た音楽のバックグランドも感じて、それを斬新なMVや音で世に出していて、自由な表現に勇気をもらえた思い出があります。
稲葉曇
代表曲「ロストアンブレラ」など
wowaka「アンハッピーリフレイン」
この曲を初めて再生したときの衝撃を今でも鮮明に覚えています。なんでこんなにかっこいい曲を誰も作ろうとしないんだろう、誰も作れないんだろう、自分も作れるようになりたい、という感情にさせてくれました。高速のBPM、耳に残るリフとリズム、無感情のミクの言葉が鳴っていて、すべてがかっこいいです。音楽が刺さるという体験を初めて味わった大好きで大切な曲です。
KulfiQ「カロン」
「カロン」のような、感情のない寂しい雰囲気を持ちつつアップテンポな曲が大好きです。
KulfiQさんの作品は好きな雰囲気を持っている曲が多く、ボカロにハマったばかりの頃からずっと聴いてます。「ヘイムダルの角笛」「キミナシビジョン」などもおすすめです。
セカイ系P(ぬえ)「無表情少女と夢見る薬」
「歌愛ユキ」×「クールで無機質でかっこいい曲」という組み合わせを、おそらく最初に提示していた方の曲です。セカイ系Pの楽曲を聴いたぐらいから、いつか歌愛ユキにオリジナル曲を歌ってもらいたいな~と考えるようになりました。この曲に出会えてなかったら今の僕はいないと思います。
栗山夕璃
代表曲「ジターバグ」など
ハチ「WORLD'S END UMBRELLA」
初めて聞いたボカロ曲。
音楽と動画の相乗効果に衝撃を受けました。
食い入るように何度も再生しました。
いつか自分もこんな衝撃を誰かに伝えられたらと思っています。
じん「日本橋高架下R計画」
完成形に到達したと感じたボカロ曲。
音楽と動画が最高の形で共存していると思います。
無駄のない表現が、美しさが大好きです。
大好きです。
wowaka「アンノウン・マザーグース」
存在を感じたボカロ曲。
「マジカルミライ2020」にご招待頂き、現地で拝聴しました。
そこには音楽が確かに存在していました。
薄れることなく紡がれる音楽の存在感を強く感じました。
全てを上手く言葉にできなく、誰の思考も代弁などできないですが
私には会場にwowakaさんの作り出した世界が存在したと感じました。
その当時の制作の思考が確かに存在してると思いました。
john / TOOBOE
代表曲「春嵐」など
ナユタン星人「彗星ハネムーン」
初めてボーカロイドという文化に触れたのがこの曲でした。
昭和ポップス的なメロラインと宇宙人を模したボーカルが
異次元的にマッチしていて、とても感銘を受けました。
ボーカロイドを始めるきっかけになった曲です。
wowaka「ワールズエンド・ダンスホール」
いわゆる自分の中の“ボカロっぽい”という概念は
この曲に詰まっているかのように思います。
自分の創作には大きな影響があり、wowaka氏への追悼を込め
“ゾンビハレーション”という曲を制作しました。
kz(livetune)「ファインダー(imoutoid's "Finder Is Not Desktop Experience Remix")」
初音ミクの良さを凝縮したビットサウンドとビートがとても好きです。
聴くとかつてより盛り上がりを見せていたボーカロイドという文化を
体験していない自分も肌で感じられる様な気がします。未だ色あせない名曲です。
2021年4月22日更新
R Sound Design
代表曲「帝国少女」など
ryo(supercell)「メルト」
初めて聴いたボカロ曲兼同人楽曲です。この曲をはじめとしたボカロ音楽文化を通してニコニコ動画を知りました。
楽曲自体のクオリティの高さはもちろん、ボーカロイドが文字通り「歌」として捉えられることに感銘を受けたことを覚えています。同時にこれまで触れてこなかった同人音楽に対するイメージが大きく変わりました。
また「ポップ」「かわいい」「ピュア」など自分の中で初音ミクに対する根源的なイメージを形成した曲でもあります。そのイメージは今も変わらず自分の中に生きています。
この曲を通して多様な二次創作の文化にも初めて触れました。二次創作物ごとに同じ曲でもたくさんの顔があることを知るきっかけにもなりました。
以上のように僕にいろいろなきっかけをくれた曲です。㍍⊃
iroha(sasaki)×kuma「炉心融解」
個人的に初めて人間の歌唱よりボカロの歌唱のほうがマッチしている、音楽性としてボカロ>人間の歌唱が成立している曲であると感じた曲です。
曲としても音の使い方、曲調、展開、メジャー曲にはあまり見かけない歌詞の世界観がとてもかっこいいです。そして何よりクリアで無機質に調声された鏡音リンの声がとにかく映えて、曲の世界観と非常にマッチしています。でもよっぺいさんのカバーも大好きです。
samfree 「Bye-Bye Lover」
初めて共感したボカロ曲です。また、これまで持っていたボカロ曲のイメージを変えた曲でもあります。
これまで聴いていたボカロ曲は基本的に独特な歌詞で独特な世界観を表現するものが多く、共感性という面では特に感じたことはありませんでした。しかしこの曲は普遍性の高い表現を使い、失恋を歌った歌詞が非常に共感しやすく表現されていると感じます。
また、ボカロ曲は人間の歌唱が難しい速いBPMが象徴的だと感じていましたが、この曲のミディアムバラードなテンポ、R&Bな曲調も当時抱いていたボカロ曲へのイメージに対してとても新鮮でした。実はこっそり歌ってみた動画を上げたことがあります。