ナタリー PowerPush - THE 野党

軽快なフットワークが生み出した刺激的新作「9:10 pm」

THE 野党はフットワークが軽い

──1stアルバム同様、今回も本当にバラエティ豊かなナンバーが揃っていますが、「今回はこういう曲を入れよう」みたいなアイデアは最初から決めていたんですか?

篤志 それは作り始めてから決めていった感じですね。ひとつ例を挙げると「クラブっぽい音楽」ってキーワードが制作の後半に出てきて、それ以降に最初に作ってたものを再構築した曲も多いです。

──その「クラブっぽい」とはどんなところから出てきたアイデアですか?

SHOCK EYE 僕らの活動自体で言うと、例えば去年の1stツアー(「遊説2011 ~First~」)みたいなライブを毎回しっかりやっていきたいという気持ちが軸としてあるんですが、それ以外にも3人がフレキシブルに動いて出るステージみたいなものもあっていいと思ってて。パッとどこか小さい会場を借りてやるとか、誰かのステージにゲスト出演するとかいろんな形があると思うけど、とにかくそのフレキシブルな感じっていうのもTHE 野党は持ち合わせていたいんですよね。そもそも本体の活動がある分、たっぷり時間の使えるプロジェクトってわけではないので。

──メジャーでありつつ、いい意味で“動き”はインディーズのような? 前回のインタビューでも話していただいた「サークル活動みたいなノリ」ってことですよね。

SHOCK EYE そう。例えば突然「じゃあ行こうぜ」ってなって、晴一くんはギター背負って、篤志くんはちょっとした機材だけ持って、俺は手ぶらでハチ公のところで待ち合わせして……みたいな(笑)。そんな感じで動けたら、それはそれで楽しいじゃないですか。

──そうですね。

SHOCK EYE そうすると今度は3人だけで完結する音作りもしなきゃいけないし、クラブみたいな小さなハコでやる状況があるなら、そこで鳴ったときに遜色のない音作りも必要になってくる。そのすべての状況に対応できるようにするっていうのが、僕らの活動としてすごく真実味があったというか、それが俺らの一番動ける活動の仕方かなと。

──なるほど。そこからクラブっぽい音楽も入れてみようと。「Golden Hen」なんてまさにそうですよね。

SHOCK EYE はい。そういうコンセプトもあって、4月13日には「THE 野党の野会」っていうクラブでのイベントも初めてやることになって。……あ、ちなみにそれ、晴一くんが直接クラブに電話してますからね。

──えっ!?

新藤 そうそう。ノート持ってブッキングしに行って。そしたら少し安くしてくれた(笑)。

──フットワーク、本当に軽いですね……(笑)。

SHOCK EYE 野党はフットワーク軽く動ける人たちの集まりですから。

最後に作った曲は全部を出し切りたかった

──具体的な楽曲で言うと、今作も1曲目は強烈なインパクトのナンバーでした。

新藤 弦から始まるっていう、ニクいオープニングでしょ?

SHOCK EYE スリリングだよね。

篤志 これは緊張と緩和をテーマに。僕がそういう感じが好きなんですよね。映画の予告編みたいな緊張感っていうか。

──晴一さんの後半のギターもすごくカッコよかったです。

新藤 あれはもう篤志くんのカッコいいトラックがあったんで、そこにちょっと乗っかってみたって感じですよ。ウチのトラックメーカーが本当に伸び盛りなもんで。

篤志 ちょっと偏差値上がりましたかね?(笑)

SHOCK EYE 上がった、上がった! あとこの曲に関しては、篤志くんと2人で晴一くんを脅かしてやろうっていうのがあって(笑)。オープニング曲ってアルバムの顔だし、僕も歌い回しやコード感にかなり変化をつけたかったんです。今度はこういうふうに来るのか!みたいな驚きを、リスナーにも感じてもらいたかったですし。

──それは大いに感じました。あと「Better Days with TEE」もすごい衝撃でした。こんなに盛りだくさんな楽曲は人生で初めてです(笑)。

SHOCK EYE 確かにこれは詰め込みましたね。どうしてそうなったかというと、THE 野党で歌うときって俺は無敵に思えるんです。ユニットのコンセプトとして、なんでもできちゃうっていうのがあるから。この曲も自分がTEEを誘って、いろいろみんなでディスカッションする中で欲張ったものが全部カタチになったというか。アルバムの最後に作った曲でもあったので、とりあえずやれることは全部やっちゃおう!って。

──それにしても1曲の展開が複雑ですよね。なのに、すごくナチュラルにまとまってるって感じがたまらないです!

SHOCK EYE ハハハハ、そうでしょ?(笑)最初はイントロのレゲエな感じで最後までいくって考え方もあったんですけど、それだとストレートすぎるなって思って。ね? 篤志くん?

篤志 そうですね。さっきもアルバムの最後の曲っていう話がありましたけど、僕もなんか、全部を出し切りたかったんですよ。で、レゲエからラウドなギターが入って、またきれいに戻って……みたいな。その行ったり来たりする感じも含めて、すごいTHE 野党らしい曲になったかなと。個人的にも大好きな1曲ですね。

ニューアルバム「9:10 pm」/ 2012年4月25日発売 3059円(税込) / SME Records / SECL-1042 / Amazon.co.jpへ

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CD収録曲
  1. Second H.S.A
  2. Golden Hen
  3. Better Days with TEE
  4. UNCHAIN
  5. 帚星
  6. My Steady Home
  7. ゲラップ!!!
  8. Brave Heart
  9. Break JAM with Diggy-MO'(SOUL'd OUT)
  10. ヘイ!タクシー
  11. Cradle Song
  12. 一滴 with 吉井レイン
LIVE INFORMATION

THE 野党の野会 ~vol.0~
2012年4月13日(金)東京都 渋谷Glad
OPEN 18:30 / START 19:00
※SOLD OUT

Ray-Van
2012年4月20日(金)東京都 渋谷club asia
OPEN&START 23:00

THE 野党(ざやとう)

新藤晴一(ポルノグラフィティ)、SHOCK EYE(湘南乃風)、篤志の3人からなるユニット。音楽番組出演やアルバム制作を通じて知り合った3人が2010年に結成し、約1年にわたって音源を制作。2011年2月に1stアルバム「8:10 pm」をリリースし、その直後より全国6公演の初ツアー「遊説2011 ~First~」を開催した。その後も楽曲制作を継続し、2012年4月25日に約1年2カ月ぶりのニューアルバム「9:10 pm」をリリースする。