ナタリー PowerPush - the telephones
痛快ロックアルバム完成! たまアリ伝説ワンマンへ意欲
the telephonesが待望の新作「Rock Kingdom」を10月12日にリリースする。彼らにとってメジャー通算3枚目のフルアルバムとなるこの作品は、AT THE DRIVE-IN、THE MARS VOLTAなどの仕事で知られるエンジニア、アレックス・ニューポートとともに、米ニューヨークでレコーディングを敢行。シンプルかつ強度の高いロックチューンをギュギュッと詰め込んだ快作に仕上がった。
今回ナタリーでは、自信作を手にしたメンバー4人にインタビューを実施。アルバムの話題のみならず、12月23日に控えたさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブについてもじっくりと話を訊いた。
取材・文 / 大山卓也 インタビュー撮影 / 中西求
濃くて短いシンプルなアルバムを作ろうと思った
──ニューアルバム「Rock Kingdom」聴かせてもらいました。前作までの流れから、もっとメロディアスでセンチメンタルな作品を予想してたんですが、見事に裏切られて。バキバキのロックアルバムになりましたね。
石毛輝(Vo, G, Syn) そうですね(笑)。
──どうして今回こういうアルバムに?
石毛 基本的に毎回「前作とは違うものを作ろう」って思ってるんです。前作は確かにセンチメンタルなノリの曲が多かったし幅も広かったんで、今回はシンプルな感じで、10曲くらいの濃くて短いものを作ろうっていうのがテーマでした。
──石毛さんが自分の情緒的な部分をソロワークで吐き出したから、というのもあります?
石毛 それもあるかも。ソロを作ったから、今回こんだけ潔くシンプルにできたのかもしれないですね。
──石毛さんのその意識の変化はメンバー全員、スムーズに共有できました?
長島涼平(B, Cho) 石毛さんが新曲を持ってきたときに「今回のコンセプトはこういう感じなんだな」っていうのはみんなわかるし、そこで考えこんだりはしないです。作り方はいつもと特に変わらないんで。
石毛 僕、説明しないんですよ。
──アルバム作る前にミーティングをして「今回はハードな感じでいこうよ!」みたいな……。
石毛 しないしない(笑)。
岡本伸明(Syn, Cho) だから今回は自然とこういう方向に行ったっていうか。多分本能が呼んでたんですね。この感じを。
松本誠治(Dr) 毎回「面白い曲あがってきた!」って言って、メンバーみんなで「やってみよう! やってみよう!」みたいな。
──理想的な状態ですね。
石毛 そうですね。しかもみんなちゃんと楽しんでやってますからね。
アレックスが「一緒に仕事がしたい」と言ってくれた
──で、このアルバムは「シンプルなものを狙った」と言いつつも、全体的にすごくポップで、どの曲にもthe telephonesらしいフックが効いてますよね。
石毛 そこは天性のひねくれものなんでしょうね。ストレートに、そのままの曲を書いたことは今までないです。
──やっぱりリスナーを驚かせてやろうという意識がある?
石毛 ありますね。あとそんなに情緒的になっていくバンドでもないと思うし。とりあえず問答無用でカッコいいアルバムが作りたかっただけです。the telephonesを知ってようが知ってまいが、1回聴いただけでズドーンってくる、本能が騒ぐようなアルバムにしたかった。だからこういう曲ができてきたんだと思います。
──ところでこの作品はニューヨークでレコーディングをしたそうですね。ニューヨークを選んだのはアレックス(・ニューポート)がいるからですか?
石毛 そうです。元々アレックスが一緒にやりたいって言ってくれてたんですよね。2008年にインディーズで「JAPAN」ってアルバムを出したときに、アレックスがそれを聴いて「すごくいいバンドだ」って言ってくれて「いつか一緒に仕事がしたい」ってメールをくれたんです。僕らはそのとき事務所も入っていなかったし、英語もよくわからなかったのでメールをスルーしてたんですけどね。
──あはは(笑)。
石毛 でも、POLYSICSは一緒にやってるじゃないですか。で、POLYSICSとアレックスがメシ食う機会が去年あって、そのときに僕らもお邪魔させてもらって。そこで初めて挨拶しました。
──初対面での印象はどうでした?
石毛 すげえイケメンだった。予想してたのはもっとゴツくて……。
岡本 わかる! わりとマッチョでみたいな。
石毛 ヒゲも生えてて。
岡本 いつもホットドッグ持って……。
石毛 ホットドッグはちょっとわかんないけど(笑)。でもまあそこで仲良くなって、彼がニューヨークに住んでるから「せっかくだからニューヨークで録ろう」って、そういう流れです。
──アレックスはthe telephonesのどこがそんなに気に入ったんですかね。
石毛 レコーディングするときに「なんで一緒に仕事したいと思ったの?」って訊いたら「僕が今までやってきたAT THE DRIVE-INとか、そういうバンドと共通するエネルギーがすごくある。そういうバンドはなかなかいないから面白い」って言ってくれました。
──ものすごい高評価ですね。
石毛 ものすごいですよね。
岡本 光栄な話です。
CD収録曲
- White Elephant
- DISCO AGE MONSTERS
- Yeah Yeah Yeah
- Punk Is Not Heavy Metal
- Just One Victory
- A A U U O O O
- I Am Me
- Crash The TV
- New York City
- Can't Stop Loving You
初回盤ボーナストラック
- Make Some Noise (demo track)
初回盤CD-EXTRA収録内容
NY Documentary July2011
- 『Can't Stop Loving You~scene of NY REC~』Music Clip
- 『New York City~scene of NY LIFE~directed by Akira Ishige』Music Clip
SUPER DISCO Hits ファイナル
-そして伝説へ-
2011年12月23日(金・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
OPEN 16:00 / START 17:00
チケット料金:3731円
the telephones(てれふぉんず)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn)、岡本伸明(Syn, Cho)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク / ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻し、2009年にEMIミュージック・ジャパンと契約。同年7月にアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビュー。2010年8月にはメジャー2ndアルバム「We Love Telephones!!!」、2011年10月には3rdアルバム「Rock Kingdom」を発表している。さらに同年12月23日にはバンド史上最大規模となるさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「SUPER DISCO Hits FINAL !!! ~そして伝説へ~」も実施。ハイテンションなライブパフォーマンスは、ロックファンの熱狂的な支持を集めている。