ナタリー PowerPush - the telephones
世界を変える覚悟完了!! 2カ月連続ミニアルバムリリース
the telephonesが2カ月連続でミニアルバムを発表する。3月10日リリースの「A.B.C.D.e.p.」では、iLLこと中村弘二がプロデュースを手がけ、ニューロマンティックな新境地を開拓。そして4月14日リリースの「Oh My Telephones!!! e.p.」では初のセルフプロデュースで、the telephones流のオルタナティブオーガニックロックに挑戦している。
今回ナタリーでは、この2枚の新作を完成させたばかりのメンバー4人にインタビューを敢行。取材場所に現れた彼らはアルバムに込めた思い、そして音楽シーンにおけるthe telephonesの大きな目標について語ってくれた。
取材・文/大山卓也 インタビュー撮影/平沼久奈
去年は「そんなに期待しないでくれ」って思ってた
──昨年のメジャーデビューから8カ月が経ちますが、the telephonesを取り巻く状況はますます盛り上がっているように感じます。ライブの動員も確実に増えてきているし、例えば1年前と今では周りの状況、オーディエンスの期待値みたいなものも全然違う気がするんですが。
石毛輝(Vox,G,Syn) そうですね。去年までは期待されるとキツかったりして、「もっとマイペースでやらせて」って思ってたんですけど、今年はなるべくタフに「やるべきことはやっていこう」と。今回この2枚を作ることによってちょっと自信がついたっていうか。
──期待されるとプレッシャーを感じます?
石毛 いやー、去年までは「ああ、このまま一発屋で終わるのかな」みたいな気持ちがあったんですよね。一発屋っていうほど全然当たってないんだけど(笑)、ちゃんとできる自信がなくて「そんなに期待しないでくれ」って思ってた。
──そんな弱気な(笑)。
石毛 でも、今回ナカコー(中村弘二)さんにも出会えたしセルフプロデュースのほうもちゃんと作れたし、この音源が作れたならまあしばらくは大丈夫かなって感じはしてます。とりあえず今年は、心の糧になるアルバムが作れたからいいかなって。
ナカコーさんに頼んだのは大正解
──今回の、この2枚連続リリースっていう形はどういう狙いで?
石毛 いわゆる普通の形でCDを出したくなかった、っていうのが大きいですね。
──それはどうして?
石毛 つまんないでしょ。なんか普通にアルバムを出してもつまんないって思ってて。それで2カ月連続でそれぞれタイプの違うのを2枚出すのが面白いんじゃない? って話になったんです。
──なるほど。まず3月リリースの「A.B.C.D.e.p.」は非常にポップな内容ですが。
石毛 前作の「DANCE FLOOR MONSTERS」がああいうストレートなロックアルバムだった分、その反動ですごくポップなアルバムを作りたくなったっていうか。
──ナカコーさんがプロデュースを手がけることになったのはどういう経緯で?
石毛 今回いわゆる“プロデューサー”っていう人じゃなく、そんなに歳の離れてない先輩で、自分のことを理解してくれるアーティストと一緒に作りたいなって気持ちがあったんです。それでナカコーさんに頼みたい! って思いついて。僕らはSUPERCARの大ファンでもあったし、ナカコーさんのちょっとひねくれててアウトサイダーなところもすごく好きだったので。
──結果正解でしたね。
石毛 うん、大正解です。
「A.B.C.D.e.p.」のサウンドは冷凍じゃなくて、本物の生マグロ(笑)
──ナカコーさんとのレコーディングの現場はどんな感じだったんですか?
石毛 初対面のときに僕らが8曲ぐらいスタジオで演奏して、まず音を聴いてもらったんですよ。で、ナカコーさんは全部聴き終わって「この曲とこの曲とこの曲は俺がやる意味があるね」みたいなことを言ってくれて、それが僕らがナカコーさんにやってほしいと思ってた3曲と完全一致してたんですよね。
──すごい。最初から向いてる方向は同じだったと。
石毛 うん、そこからはほぼ何も言わないまま進んでいって。ある程度録り終わった後にシンセの音色の相談をしたくらい。僕ら的には曲構成とかアレンジ、なんなら歌います? みたいな感じまでやってもらっても、ナカコーさんならいいなあと思ってたんですよ。でもナカコーさんは「このままシンプルに録ったほうが絶対カッコいい」「足りない帯域は俺がシンセで埋めるから」って言ってくれて。あとはどんどん録っていっただけっていう。
──じゃあかなり自由にやれたんですね。
石毛 ナカコーさんは曲そのものをいじったり、楽器のフレーズがどうとかじゃなくて、サウンド全体のプロデュースをしてくれたんですよね。曲が一番よく聴こえる録り方を教えてくれた。だから、完成した音源のクオリティで言えば、僕は「A.B.C.D.e.p.」の音が過去最高に好きですね。
──そのあたり石毛さん以外のメンバーも同意見?
岡本伸明(Syn) うん、僕も大好きです。自分たちの作品でこんなに好きになったのは「A.B.C.D.e.p.」が初めてで。今までどこかでちょっと感じてた違和感みたいなものが今回一切なくて、シンセの音色ひとつとっても聴いててめちゃくちゃ気持ちいい。
石毛 やっぱりせっかく録るんだし、聴いてて気持ちいい、本物の音でやりたくて。それって遡れば遡るほどやっぱビンテージの機材なんですよね。今はそれに似た音を作ることは簡単なんですけど、やっぱり深みが違うんですよ。だから冷凍マグロと生マグロみたいなもんで、やっぱり本物のマグロは美味いじゃないっすか。ナカコーさんはそれを持ってきてくれたっていう感じです。
CD収録曲
- Re:Life
- Girls, Boys, Romantics
- A.B.C.DISCO PV試聴
- Monkey Discooooooo (Best Hit Monkey Disco Mix by iLL)
- Hopping Shower (Acid Telephone Mix by iLL )
CD収録曲
- kiss me, love me, kiss me
- Go!!!
- oh my DISCO!!!
- Live Track From "Super Disco Hits2@Differ ARIAKE (2009/12/04)"
- Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
- Monkey Discooooooo
- Dance With You
- Hopping Shower
- Jabberwocky
- Baby, Baby, Baby
- D.A.N.C.E to the telephones!!!
- Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
- Hallelujah, Hallelujah, Hallelujah (House Party ver.)
the telephones(てれふぉんず)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は石毛輝(Vox,G,Syn)、岡本伸明(Syn)、長島涼平(B,Cho)、松本誠治(Dr)の4人で活動を展開中。ポストパンク/ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドが多くのファンを釘付けにしている。2007年に初の公式音源となるミニアルバム「we are the handclaps E.P.」をリリース。2008年1月に1stフルアルバム「JAPAN」を発表し、同年「ARABAKI ROCK FEST.08」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008」「SUMMER SONIC 08」など各地のフェスを席巻。ハイテンションなパフォーマンスでオーディエンスを熱狂させる。2009年4月、EMIミュージック・ジャパンからのメジャーデビューを発表。同年8月にリリースしたフルアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」では彼らにしか作り出せない破壊力抜群のサウンドを響かせ、新旧のファンに歓迎された。