バンドって会社経営みたいなもの

──_ _ _ _*はこれまでライブハウスを拠点に地道なライブ活動を続け、結成7年目で初めて全国流通作品をリリースしました。でも音楽シーンを見渡すと、最初から音源の制作、宣伝、販売をすべて自分たちだけでやって、知名度を高めているバンドもいます。そういうバンドって皆さんから見てどう映りますか？

ちんぱん　結局バンドって会社経営みたいなものだと思うんです。突出してるバンドって、例えば企画立案、実演販売、宣伝っていろんな柱があって、ライブはその中の5分の1くらいだと思ってるんですよ。そういう経営者的な資質を持ってるメンバーがいるバンドは広まるのも早いんですよね。で、お客さんに対する自分たちの見せ方もちゃんとできちゃう。

──なるほど。

ちんぱん　PowerPointを使って企業のプレゼンばりの資料を作って宣伝してるし、そこで結果を出してるバンドもいる。逆に、余計なところにお金を使ったり労力割いたりしていく中で、いろんなトラブルに巻き込まれたバンドも見てきてるんです。そういうこともあって、僕らはギラギラした世界からずっと逃げてたんでしょうね。

candy　雑誌やフリーペーパーに知り合いのバンドが載ってるのを見ると、「やっぱり宣伝ってすごいな」とは毎回思いますね。宣伝する、しないでこれだけ差が出るわけで、受け手側も雑誌で紹介されてると興味を持つことも多いし。もちろんライブハウスに足を運んで自分で探す人もいるけど、やっぱりCDショップの試聴機に入ってるとか、音楽雑誌に載ってるとか、そういう部分で見方が変わる人もいるんですよね。たまに、すっごいデカい会場でライブをしてたり雑誌にいろいろ載ってたりするバンドと対バンするときって、すごく期待するんですよ。でも、観ると正直「うーん……」って思うことも多くて。そういうことに直面すると、また別の意味で宣伝ってすごいなって思います。

──じゃあそこでジレンマを感じることはないと？

ちんぱん　感じてないし、逆に変な余裕さえありますよ。

candy　知り合いのバンドでそこまで宣伝に力を入れてるバンドがいないから。すごくカッコいいバンドって、口コミで広まっていきますからね。でも、宣伝自体が良い悪いとは特に思わなくて。してもらえるならしたいし、でも別にしないならしなくていいっていうか。

ちんぱん　ひとつ思うのは、宣伝してもらったときにバンドに体力がないと意味ないって。いろいろ備え続けていくことに、意識的にならないといけないと思うんです。

ライブハウスっていうビジネス自体がもう破たんしてる

──四谷OUTBREAKを拠点に活動を続ける_ _ _ _*ですが、現在のライブハウスシーンについてどう思いますか？

candy　多分「特定のライブハウスへ行く」っていうお客さんが少ないと思う。バンド目当てで行くんだったら、ライブハウスはどこも一緒っていう。

ちんぱん　ライブハウスっていうビジネス自体がもう破たんしてると思ってるんですよ。ライブハウスはどんどん増えていて、バンドを誘ってブッキングしていく。だけど集客には責任持たないわけです。それでもバンドは集まってきて、ただお金を払ってライブやるだけ。で、そういうライブハウスが増えてるのにバンドの数は変わらないから、どんどん出演バンドの奪い合いになって、最終的にイベントの質が落ちていくんですよ。

──それをお客さんが、お金を払って観ると。

ちんぱん　ライブハウスによっては、例えば5バンド出演の同じ条件のイベントなのに出演バンドのネームバリューや都合によってチケット代を自由に上げ下げできたり、物販CDは会場の外で販売してるのに再入場禁止で外に出れなかったり。もっとひどいと、バンドの出演時間自体を言っちゃダメっていうところもある。そりゃお客さんはライブハウスに行かなくなっちゃいますよね。

──ライブハウスによって、本当にさまざまなんですね。

ちんぱん　ライブハウスは80年代に隆盛を誇ったけど、今は別にライブに行かなくても家にいればパソコンでライブ映像が観れるわけじゃないですか。そんな中、僕らが今やるべきなのは、やっぱり現場に行かないと観れないものをステージから発信し続けることなんです。だから、今回CDをリリースさせてもらうことで1人でも多くライブに来てくれたとしたら、来てくれた人たちに対してすごいライブをお見せする。そのぐらい真剣にライブをやるしかないと思ってます。