音楽ファンのための帝国劇場ガイド
100年以上の歴史を持つミュージカルの聖地
1911年に日本初の近代的な劇場として創設された帝国劇場。皇居外苑前の日比谷通りに面するこの劇場は、文化的芸術的嗜好が大きく変化した明治後期の日本にマッチし、大正時代には「今日は帝劇、明日は三越」という宣伝文句が流行するなど、多くの庶民に親しまれてきた。30年からは映画館としての営業を始め、1940年より東宝傘下の劇場に。64年に解体された後、66年に建築家の谷口吉郎の設計によって現在の帝国劇場が完成した。以降、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「エリザベート」といった名作ミュージカルのみならず、近年ではKinKi Kidsの堂本光一による「Endless SHOCK」など、さまざまな作品を演劇ファンに届けている。
帝国劇場のスプーンをお土産に
劇場は1209席の1階と688席の2階の2フロアに分かれており、1階エントランスを抜けると阪急阪神東宝グループの創業者・小林一三の銅像が来場者をお出迎え。1階ロビーの売店では飲食物や上演作品のプログラムのほか、お土産用に劇場オリジナルのチョコレートなどが販売されており、観劇の必需品・オペラグラスのレンタルと販売も行われている。フロアをつなぐ階段上の吹き抜けにはステンレススチール製のすだれが飾られており、洋画家の猪熊弦一郎による日本の祭りと舞台を表現したステンドグラス「律動」と共に劇場内を華々しく彩っている。
開演前までの空き時間を過ごせる「帝劇2階喫茶室」ではコーヒーやケーキを提供。ホットコーヒーもしくは紅茶を注文すると、「帝国劇場」の文字があしらわれたスプーンが付いてきて、こちらは記念品として持ち帰ることができる。
スタッフに聞く帝国劇場のあれこれ
声優である水樹奈々と歌手の平原綾香がダブルキャストで主演を務める「ビューティフル」。水樹はミュージカル初挑戦、平原も2度目の舞台ということで、2人のファンの中にはこれがミュージカル初体験、帝国劇場初体験となる人も多いかもしれない。音楽のライブとミュージカルの違いは? 由緒ある帝国劇場ならではのルールやマナーは? そんな疑問について、劇場スタッフに観劇に関する質問に答えてもらった。
- Q. ミュージカルはどんな服装で観ればいいの?
- A. 特別なドレスコードはございません。普段お友達と会われるときや映画を観に行かれるときと同じようにお越しください。もちろん、華やかな舞台をより楽しむためにドレスアップしていただくのもご観劇の楽しみの1つです。
- Q. 観劇するときのマナーはありますか?
- A. ご観劇の際は周りのお客様のご迷惑にならないようにお気を付けいただければと思います。お席では後ろのお客様の視界の妨げになることが多いため、帽子や立体的な髪留めなどを外していただいております。また、お席で前のめりになってご覧いただかないようお願いしております。ご観劇中に盛り上がってお立ちになりたくなるかもしれませんが、お座りいただいてご覧くださいませ。ただ、カーテンコールのときはお席を立って拍手をされるお客様もいらっしゃり、場内が大変盛り上がります。「スタンディングオベーション」と呼ばれていますが、お客様とキャストが一体となる素晴らしい瞬間ですね。
- Q. 帝国劇場とほかの劇場の違いはどんなところですか?
- A. お客様の中には「帝劇の作品が好き」とおっしゃる方もいて、我々スタッフに作品の感想を伝えてくださることもあり、長い時間に培われた、お客様と劇場のつながりを感じています。帝劇を特別な場所と思ってくださるお客様がいらっしゃることは、大変ありがたいことです。
- Q. 帝国劇場を訪れた際に楽しめる、周辺のオススメのスポットはありますか?
- A. 帝国劇場のビルの地下街にはグリル&ダイニングの「丸の内ディンドン」や楽屋御用達のそば処「しなの路」など多くの飲食店がありますので、ご観劇の前後にぜひご利用ください。あとは、東宝日比谷ビルの日比谷シャンテ前にゴジラ像があるので、そこで記念撮影をするのもよいかもしれません。丸の内仲通りから東京駅方面まで歩いて行ってショッピングを楽しむのもいいですね。
- 帝国劇場 ミュージカル「ビューティフル」
- 2017年7月26日(水)~8月26日(土)
東京都 帝国劇場
- ストーリー
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ニューヨークに住む16歳のキャロル・キング(水樹奈々 / 平原綾香)は、教師になるように勧める母親のジーニー(剣幸)を振り切り、名プロデューサーのドニー・カーシュナー(武田真治)に曲を売り込み作曲家への一歩を踏み出す。やがてキャロルは同じ大学に通うジェリー・ゴフィン(伊礼彼方)と出会い、恋に落ちた2人はパートナーを組んで楽曲を制作。ほどなくしてキャロルは妊娠、結婚した2人は仕事と子育てに奮闘する。
同じ頃2人は、ドニーがプロデュースする新進作曲家と作詞家のコンビ、バリー・マン(中川晃教)とシンシア・ワイル(ソニン)とよき友人となり、互いにしのぎを削り、ヒットチャートの首位を争うようになる。
数々のヒットを放ち、すべてが順調に進んでいるかのように思われたが、ヒット曲を書き続けなければならないという焦燥感からジェリーは精神的に追い詰められるように。キャロルはやり直そうと試みるが、すでに手遅れだった。28歳でシングルマザーとなったキャロルは、くじけることなく人生を切り開いていく。ロサンゼルスへ移住した彼女を待ち受けていたのは、まったく新しい門出だった……。
- スタッフ
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脚本:ダグラス・マクグラス
音楽・詞:ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング / バリー・マン&シンシア・ワイル
演出:マーク・ブルーニ - キャスト
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水樹奈々 / 平原綾香(ダブルキャスト)
中川晃教 / 伊礼彼方 / ソニン / 武田真治 / 剣幸 ほか