TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. 中川翔子によるテレビ東京系アニメ「魔法陣グルグル」の第2期エンディングテーマ「Magical Circle」が、11月15日にシングルリリースされる。
2017年で連載開始25周年を迎える衛藤ヒロユキのマンガ「魔法陣グルグル」。そのアニバーサリーイヤーに本作が3度目のアニメ化を果たすことが発表されると、「グルグル」ファンの間で大きな話題となった。今回エンディングテーマを歌う中川も、7月のアニメ放送開始を楽しみにしていた「グルグル」ファンの1人だ。音楽ナタリーではそんな中川とアニメの劇伴も務めるTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDにインタビューを実施。中川のほとばしる“グルグル愛”を詰め込んだという「Magical Circle」について語ってもらった。
取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 上山陽介
私の妄想の行き着く果てがついにこうなったか
──7月からオンエア中のテレビアニメ「魔法陣グルグル」の2クール目のエンディングテーマを担当している皆さんに集まっていただきました。今回、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの皆さんがボーカリストとしてお招きしたのは、中川翔子さん。中川さんは1994年の最初のアニメ放送時、リアルタイムで作品をご覧になっていたそうですね。
中川翔子 もうドンピシャです! なので今回エンディングテーマを歌えるなんて夢を見てるんじゃないかと思って、オンエアを観るまで信じられなかったです。「子供の頃の思い出を言ってごらん」と言われたら、まず「魔法陣グルグル」のコミックスを隣のクラスの木村さんに借りて、そこから毎日のようにノートや雨上がりの公園の地面に魔法陣を描いたり、1年で一番楽しみなお祭りと「グルグル」の最終回が同じ日で、「グルグル」をとって走って帰ったり……最終回に間に合ったときの感激と終わっちゃう寂しさを今でも思い出しますね。あと大好きだったおじいちゃんが「グルグル」のファンブックを買ってくれたり、友達みんなを映画に連れて行ってくれたり……幸せしかない思い出がギュッと詰まってます! スーパーファミコン用ソフトの「グルグル」も魔法陣を描くゲームなんですけど面白くて、今も現役で遊んでます。
──言葉の端々から“グルグル愛”が伝わってきます。
中川 だから今回も3度目のアニメ化をすごく楽しみにしていて。初回はいちファンとしてTwitterで「キターッ、ククリちゃんやっぱかわいい!」って実況してたんですけど、まさかこんなことになるとは思ってなくて。このお話をランティスさんからいただいたとき、レコード会社の垣根を越えることがどれだけ大変か想像を絶してしまって。本当に感謝しかないです(中川はソニーミュージック所属)。私が出演しているNHK-FMの「アニソンアカデミー」というラジオ番組に1作目のアニメ「グルグル」のテーマ曲を担当された奥井亜紀さんがいらしてくださって、「Wind Climbing ~風にあそばれて~」と「晴れてハレルヤ」を生で聴けて大号泣した数日後にこのお話が来たので、壮大なドッキリじゃないかと思って(笑)。私の妄想の行き着く果てがついにこうなったかと思うくらい本当にびっくりしました!
一同 あはははは!(笑)
中川 打ち合わせでランティスさんに行ったとき「ククリちゃんのキャラソンにしたいです」とか「ライブのとき、みんなでサイリウムで魔法陣描きたいです!」とか、「グルグル」ファンとしてのシンプルな気持ちを並べていったら、「オッケー、そうしましょう」って話がすごく早く進んだんです。アニメ初期のシュールな感じとか、髪型が変わったり、魔法を覚えていったり、ニケへの恋心がはっきりしたりとククリちゃんのどんどん成長していく姿を表現した……そういう「グルグル」の集大成となるかわいい楽曲、みたいな方向性がパーンと決まって。とにかく時間がないスケジュールだったのに、その数日後にはデモができあがっているという神がかりな展開でした。そしてできあがった楽曲の「Magical Circle」というタイトルの集大成感! 歌詞を読むと、魔法陣を描く「くるり……」って部分とか、「勇者様」というワードも入っていて。
ライブでみんなで魔法陣描きたい!
──TECHNOBOYSの皆さんは、中川さんからのリクエストを完璧にフィードバックされたんですね。
フジムラトヲル(Compose, Programming, B, Vo) 打ち合わせでもすごく愛を持って語られていたので、こちらとしても非常にありがたかったです。
石川智久(Compose, Key, Programming, Vo) 楽曲は打ち合わせさせていただいたその夜に考えて。朝方に1回寝て、昼ぐらいに起きて、1時間ぐらいでザッと書きました。そこから大きな流れを2時間ぐらいかけてアレンジして。
フジムラ 石川のほうでメロディとコードとリズムがある程度できてから、僕とプロデューサーで「どうしましょう」という話になっていくわけです。
松井洋平(Compose, Programming, Sampler, Vo) それを僕が受け取って2、3時間かけて歌詞を起こす作業をします。合計6、7時間あれば曲が完成!
──早い! さすがプロフェッショナル。
石川 ただ、僕らの場合はそこからのアレンジが大変なんです。アナログシンセサイザーで音色を大量に作らないといけないので。
フジムラ 今の楽器だったら簡単にできることですが、アナログシンセはメモリー機能がないから時間が経つと同じ音がなかなかできないんですよね。レコーディングでキーが変わるときなんかは作り直さないといけないんですけど、いつも「どうやったっけな?」って思ってしまうぐらい(笑)。昔は1つひとつ数値を紙に書いてたんですけど、今はiPhoneという便利なものがあるので。
石川 つまみの位置とかパラメータを全部写真で撮ってます(笑)。
中川 私、物理的なことがわかんないから「ライブでみんなで魔法陣描きたい!」「ククリちゃんがかわいいだけじゃなく、初期の毒が入ってる感じもいいし、『勇者様が好き』ってピュアな感じもいいし、やっぱ『グルグル』最高! バンザーイ! じゃあ、さよならっ!」って打ち合わせから帰って来たんですけど、それをこのスピードで仕上げる皆さんのカッコよさですよね。歌詞ができあがったときも「あーっ、『グルグル』だ! ククリちゃんが見える! すごい!」と思って。だからレコーディングもとても楽しく、終わった瞬間みんなで「バンザーイ!」ってククリちゃんたちみたいに一緒にチョコレートを食べて。すごく平和でした。
フジムラ 現場は平和が一番!
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“ククリのキャラソンにする”がディレクションのキーワード
- TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子「Magical Circle」
- 2017年11月15日発売 / Lantis
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[CD]
1512円 / LACM-14679
- 収録曲
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- Magical Circle / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
[作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - Wind Climbing ~風にあそばれて~ / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.奥井亜紀
[作詞・作曲:奥井亜紀 / 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.上坂すみれ
[作詞・作曲:中原めいこ / 編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND] - Magical Circle (Instrumental)
- Wind Climbing ~風にあそばれて~(Instrumental)
- ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット(Instrumental)
- Magical Circle / TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.中川翔子
- TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(テクノボーイズ パルクラフト グリーンファンド)
- 1994年、TECHNOBOYSとして結成。各自のソロ活動やさまざまなメディアへの楽曲提供経験を経て、2005年にフランスの映像会社Le PivotのPV曲のリミックスを務めた際にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND改名した。2006年に1stアルバム「music laundering」をリリース。2007年公開のアニメ映画「EX MACHINA -エクスマキナ-」では音楽監修を務めた細野晴臣の指名により、楽曲「LOST SECOND」を提供した。2014年に2ndアルバム「good night citizen」をリリース。同年から「ウィッチクラフトワークス」「トリニティセブン」など多数のテレビアニメ作品の劇伴やテーマ曲を手がける。2015年にはテレビアニメ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の劇伴とエンディングテーマ「打ち寄せられた忘却の残響に」の制作を担当。このED曲はTECHNOBOYSにとって初となるメジャーレーベル・Lantisよりシングルリリースされた。2017年にはテレビアニメ「魔法陣グルグル」の音楽を担当した。
- 中川翔子(ナカガワショウコ)
- 1985年生まれ。2002年に芸能界デビューして以降、数々のテレビドラマやバラエティ番組に出演し「しょこたん」の愛称で幅広い層から人気を集める。2006年にシングル「Brilliant Dream」で歌手デビューし、CDリリースやコンサートツアーを精力的に実施。2009年には東京・日本武道館公演を開催した。2017年には「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けた「マスコット審査会」のメンバーに選出されたほか、「文化審議会第15期文化政策部会メディア芸術ワーキング・グループ」に参加している。