Cornelius「Audio Check Track」インタビュー|小山田圭吾がアナログレコードを聴く理由

やっぱり海外はアナログが求められてるんだと

Cornelius「Audio Check Track」

──今回のオーディオチェックレコードのジャケットもかなり凝ってますね。

うん、これはすごいよね。透明な部分を回していくとモアレができる。ずーっとやりたかったんですけど、すっごいお金かかるんで。

──なるほど(笑)。

今までなかなかやらせてもらえなかったんだけど、今回Technicsの人が「面白いからぜひやりましょう!」って言ってくれたから(笑)。夢が叶いました。地味に見えるかもしれないけど、モアレの動きがハンパないんですよ。バリエーションがすごいんです。

──CDサイズで同じことをやるよりアナログサイズのほうが……。

全然いい。

──ジャケットデザインはCorneliusの作品を手がけてる北山雅和(help!)さんですね。

ジャケはすごい気に入ってます。

──ところで「Mellow Waves」のアナログ盤が海外でもうすぐ発売されるんですよね。

そうです。1月かな。

──アナログにする際に気を付けたことは?

カッティングは海外のエンジニアに任せたんだけど、ジャケットはけっこういろいろ特殊な仕掛けを考えました。デラックス盤はマーブルの140gにポップアップのデザインと、通常盤は黒で分厚い180g。

──盤だけで180g?

盤だけで(笑)。でも僕がやりたいって言ったんじゃなくて、海外の人が「こんなのどう?」ってプレゼンしてきて。向こうの人はけっこう気合いが入ってるんだよね。やっぱり向こうはアナログが求められてるんだと改めて思いました。「CDなんてほとんど作らなくてもいい」ぐらいの言い方で。

息子が修学旅行でアナログ盤を買ってきてうらやましい

──最近は洋楽でも海外でCDが出ないものが多いです。でも日本はまだCDが売れるから、日本盤CDで「世界初CD化」なんて銘打たれてるものもけっこうありますよね。

そうだね。

──デザインの面からも、アナログのほうがやりがいがあるんでしょうね。

それはそうでしょうね。アメリカではそういう特殊形態のアナログ盤みたいなのをいろいろやってますね。そういう付加価値を付けないとアナログ盤の意味がないって言うか、フィジカルを手にする意味もないって言うか。完全にアートピースだからね。

──ジャケットも込みでのアナログ盤の魅力?

移動式試聴ルーム・Technics Sound Trailerの外観。

そうそう。聴くだけならストリーミングだっていいわけだし。でもアナログにはそれ以外の楽しみがあるわけでね。なのでみんないろんなことやってますよね。

──「FANTASMA」のリマスター盤もアナログでしか出てないし。

うん、そう。アメリカではね。

──最近のオススメの音楽ってありますか。

Beach Fossilsの「Somersault」っていうアルバムがすごく好きだね。

──ブルックリンのバンドですね。

そう。ブルックリンのユルい若者のバンド(笑)。

──それもアナログで手に入れて?

僕はアナログ盤が買えなくて、こないだ息子が修学旅行で大阪に行って買ってきた。うらやましい(笑)。あとMen I Trustっていうカナダの3人組がいるんだけど、それも好きですね。

──今でも地方の中古盤屋とかに行くんですか?

たまに行きますね。東京でも月に1、2度ぐらい。海外に行ったときのほうが行くかな。新譜屋で息子が働いてるから、新譜に詳しくなったよ(笑)。息子が買ってくるからいろいろ教わってる。それが自分の作る音楽に反映されることもあるしね。

Cornelius「Audio Check」
Cornelius「Audio Check」

※ダイレクトドライブターンテーブル「SL-1200GR」を予約購入した人にプレゼントされたオーディオチェック用のアナログ盤。

収録曲

A1. Audio Check -Japanese

B1. Audio Check -English

B2. Like a Rolling Stone

Cornelius(コーネリアス)
Cornelius
小山田圭吾によるソロユニット。1991年のフリッパーズ・ギター解散後、1993年からCornelius名義で音楽活動を開始する。アルバム「THE FIRST QUESTION AWARD」「69/96」は大ヒットを記録し、当時の渋谷系ムーブメントをリードする存在に。1997年の3rdアルバム「FANTASMA」、続く4thアルバム「POINT」は世界21カ国でリリースされ、バンドThe Cornelius Groupを率いてワールドツアーを行うなどグローバルな活動を展開。2006年のアルバム「Sensuous」発売に伴う映像作品集「Sensurround + B-sides」は米国「第51回グラミー賞」最優秀サラウンド・サウンド・アルバム賞にノミネートされた。現在、自身の活動以外にも国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広いフィールドで活動を続けている。2016年1月には、高橋幸宏、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と共に結成したバンド・METAFIVEが初のアルバム「META」をリリース。2017年6月には、Corneliusとしての10年半ぶりのオリジナルアルバム「Mellow Waves」を発表した。