くるり meets Technics特集|「演奏者の息吹を感じる」岸田繁と佐藤征史も納得の高音質ワイヤレスイヤホン (3/3)

岸田繁×佐藤征史の意見が一致「あいつわかってるやん」

──プレイリストの作成を通して、「AZ80」にはこのジャンルが合うなどの発見はありました?

岸田 押し並べていろんな曲を聴いたんですよ。それこそバロック音楽からレゲエ、Gacha Popと呼ばれる最近の日本のポップスまでいろいろ聴いてみたけど、特に合わないジャンルはなかったですね。個人的に1950~60年代のイギリスのロックやポップスが好きなんですけど、例えばLed Zeppelinの1stアルバムは、曲が始まる前のアナログテープが回ったヒスノイズや、スタジオでミュージシャンが演奏する前にごちょごちょ言うてたりするのも入ってるじゃないですか。「AZ80」だとそういうのがすごく解像度高く聞こえるんですよ。ほかにもクラシックの音源だったら指揮者の呼吸音も変に誇張されることなく入ってくるから、現場の雰囲気がなんとなく見える感じがする。

佐藤 僕は楽曲自体のクオリティが低くて選曲から弾いたものもあるけど、それはジャンルがどうこうというわけではないし、今回のプレイリストに入れたものは全部いいなと思いました。あ、そう言えばどテクノは聴いてないか。でも、これでUnderworldとか聴いたら絶対いいやろな。全然関係ない話になってしまうかもしれないですけど、僕は初めてイヤモニを使ったときに、クラシック音楽を聴いてみたらすごくよかったんですよ。音の位相が分かれて聞こえるからやと思うんですけど、パンクとかはしょぼく聞こえたんですよね。それでパンクってすっきり聴く音楽じゃないよなと気付いたし、イヤモニはモニタリングするための道具だしなとも思った。で、さっきも言いましたけど「AZ80」はイヤホンの感覚がしないんですよ。

佐藤征史(B)

佐藤征史(B)

岸田 ちょうどええよな。

佐藤 そうそう。これでもっと高級感を追求したり価格の桁が1つ上がったりすると、もっと好みが分かれると思うんです。違うところにこだわりが出てきたりね。

岸田 あー、はいはい。

佐藤 僕と岸田さんってもちろん合うところは合うんですけど、合わないところはとことん合わないんですよ。でもね、このイヤホンに関しては意見が合って(笑)。

岸田 ひさしぶりに一致したよな。本当にちょうどええんやろな。たぶん、「どこのラーメンがうまいか?」というのはお互い絶対ちゃうんですよ。でも、これは合った。

佐藤 だからこそ信頼できるというかね(笑)。「AZ80」をいただいた日の帰りの電車から「いいやん」と思って使ってたから、マネージャーさんとかにも「すごいよかった」と伝えてたんですよ。

岸田 そうそう。それで「あいつがええ言うてたから、ええはずがない」と心の中で思ってたんですけど試してみたら本当によかった。「あいつわかってるやん」と(笑)。

佐藤 (笑)。それが一番の揺るがない証拠かもしれない。

くるり

くるり

──くるりお二人のお墨付きってことですね。

岸田 それじゃ説得力ないか(笑)。

──いえいえ、ありますよ(笑)。ちなみに「AZ80」でくるりの楽曲は聴かれてないとのことでしたが、読者にこのイヤホンで聴いてもらいたい楽曲はありますか?

佐藤 やっぱり新曲「In Your Life」かな(笑)。自分たちが今、一番気持ちいいと思って作った楽曲ですからね。それを自分たちが今一番いいと思っているこのワイヤレスイヤホンで聴いてもらえたら最高です(※取材は6月下旬に実施)。

岸田 うんうん。あとは数年前に出した「天才の愛」というアルバム。かなりいい音で作ってたんですけど、製品になるとこだわってた部分が圧縮されて消えちゃうというか、よくわからなくなるんですよ。だからこのイヤホンで聴いてもらえたら、そのよさがわかるんちゃうかなとほのかな期待を持っていて。まあ、僕は怖くて聴けてないんですけど(笑)。

森信行とのアルバム制作、バンドの今

──では最後に、くるりの年内の活動についても聞かせてください。10月4日にニューアルバム「感覚は道標」の発売、そして10月13日に本作の制作過程を追ったドキュメンタリー映画「くるりのえいが」が公開されるとのことですが、そもそもアルバムと映画が連動する話はどういった経緯で始まったんですか?

岸田 まず映画を作ろうという話が先にあったんですよ。ただ内容はインタビュー中心のドキュメンタリーではなくて。僕らは曲を作るときはバンドのメンバーで集まって、かなり適当にアイデアを出し合って固めていく過程があるんで、それを映像にすると面白いんじゃないかなということになったんです。結果的に思いのほかたくさん曲ができたからアルバムにしようかと。

岸田繁(Vo, G)

岸田繁(Vo, G)

──なるほど。ちなみに今回のアルバムは、2002年にバンドを脱退したオリジナルメンバー・森信行(Dr)さんを迎えた3人で曲作りをしているそうですね。音楽ナタリーでニュースを掲載した際にも大きな反響がありましたけど(参照:くるりがオリジナルメンバーで新アルバム発表、制作過程を追ったドキュメンタリー映画公開)、どうして3人で作ろうと思ったんですか?

岸田 先ほどのイヤホンの話で“原音”という言葉が出ましたけど、くるりで言うと森を含めた3人が原点なわけですよ。なんというか、音楽を作る型のようなものがあるので、それをひさしぶりにやりたいなと思って集まった感じですかね。

佐藤 森さんとはたまに一緒にライブをやる機会はあったんですけど、映画の話が出る前から「ひさしぶりに一緒に曲を作りたいね」と話していたんです。くるりというバンドは時代によっていろんなベクトルに進んだり、作品によって毛色が変わったりしてるけど、やってることの根本は変わってないと思っていて。岸田さんがパソコンで打ち込みで作る、緻密な曲も最近のくるりの一部ではあるけど、バンドが始まった頃から続けているそれぞれがアイデアを持ち寄る作り方もある。これまでいろんなドラマーさんともたくさんやってきたけど、オリジナルメンバーである森さんとやれるということは特別なことだと思うし。

──ひさしぶりの3人での制作はいかがですか?

佐藤 とりあえず集まってやってみて、本当にいい曲ができひんかったら「東京」やって終わったらええやん、と冗談で言ってたんですよ(笑)。それが1枚のアルバムにつながって本当によかったなと思います。

──いちファンとして完成を楽しみにしています。まだ制作期間中とのことですが、どんなアルバムになりそうですか?

佐藤 この3人やったからこそ「あんなことやってみよう」というアイデアで生まれた曲もありますし、ドラマーが森さんだからこそ方向性が決まった曲もあります。森さんがバンドを離れて長いし、お互いに年齢も重ねていて、「昔はこんなんやったな」みたいな気持ちになる瞬間もありました。ただ懐かしさだけではないし、若い頃と同じことをやろうとは思わないけど、少しくらいはキラキラしたものを出せたんじゃないかな(笑)。

くるり

くるり


Technics「EAH-AZ80」

Technics「EAH-AZ80」

Technics「EAH-AZ80」

TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤホン。10mmドライバー×アルミニウム振動板が搭載されており、低域から高域まで再現性の高いクリアな音を楽しむことができる。ノイズキャンセリングの性能は業界最高クラス。長時間の使用でも疲れにくい“コンチャフィット形状”を採用しているほか、業界初の3台マルチポイント接続にも対応している。

イベント情報

京都音楽博覧会2023 in 梅小路公園

  • 2023年10月8日(日)京都府 梅小路公園 芝生広場
    OPEN 10:00 / START 12:00
    <出演者>
    マカロニえんぴつ / 中村佳穂 / 羊文学 / ハナレグミ / 槇原敬之 / くるり
  • 2023年10月9日(月・祝)京都府 梅小路公園 芝生広場
    OPEN 10:00 / START 12:00
    <出演者>
    Saucy Dog / 坂本真綾 / sumika / 角野隼斗 / Tigran Hamasyan“StandArt” / 秦基博 / くるり

プロフィール

くるり

1996年に立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」内で岸田繁(Vo, G)、佐藤征史(B)、森信行(Dr)により結成。1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たす。「ジョゼと虎と魚たち」「奇跡」といった映画作品の音楽を担当したり、2007年より主催イベント「京都音楽博覧会」をスタートさせたりとその活動は多岐にわたる。2017年には、岸田による交響曲「交響曲第一番」の初演の模様を収めたCD「岸田繁『交響曲第一番』初演」がリリースされた。幾度かのメンバーチェンジを経て、2011年から岸田、佐藤、ファンファン(Tp)の3人編成で活動していたが、2021年3月にファンファンが脱退。岸田と佐藤の2人体制で活動していくことが発表された。2021年4月に岸田、佐藤、ファンファンの3人体制で制作した最後のアルバム「天才の愛」をリリース。2022年1月に大阪・フェスティバルホール、2月に東京・東京ガーデンシアターで結成25周年ライブ結成25周年記念ライブ「くるりの25回転」を開催した。2023年10月にはオリジナルメンバーである森を迎えて制作したニューアルバム「感覚は道標」の発売、その制作過程を追ったドキュメンタリー映画「くるりのえいが」の公開を控えている。