自分の声をクリアに届けられる
──「AZ80」では、通話中に自分の声だけをクリアに届けることができる「JustMyVoice」の機能も向上しています。ヒャダインさんは通話やオンラインミーティングなどでワイヤレスイヤホンは使用されますか?
もちろん。特に最近はオンラインミーティングばっかりだから「AZ80」が大活躍していますよ。この間、生意気ながらも洋服の展示会場の一角をお借りしてオンラインミーティングをする機会があったんです。どうしてもほかの場所に移動する時間がとれなくて。お客さんが洋服を見ながら雑談したり、音楽がけっこうな音量で流れていたりする空間を間借りしていたから、ミーティング終わりに「僕の声ちゃんと聞こえてました?」とマネージャーに聞いたら「ヒャダインさんの声しか聞こえなかったですよ」と言っていて。で、当の自分も周りの音が気にならない状態で会議に集中することができた。音のアウトプットもインプットもすごくクリアにできているってことですよね。Technicsはオンラインミーティングも視野に入れてイヤホンを開発してくれている。コロナ禍以降の社会との付き合い方がすごく上手だなと思いました。
──なるほど。
あとオンラインミーティングで「どのマイクを使ってるんだろう?」と思うくらい音質が悪い人ってときどきいるじゃないですか。まあ許容範囲だなと思いつつも、心象がいいか悪いかで言うと難しいところではありますよね。
──確かに大事な会議で“ちゃんと声が通ってるか”というのは密かに重要なポイントですよね。自分のアウトプット環境に無頓着な人も多いと思いますけど、音質ひとつで発言の説得力が変わってくることもあるだろうし。
本当にそう思います。いい内容を話していても聞き取りにくいと「そういうところは無頓着なのかな?」と思ってしまう。ただの心象の問題ではあるんだけど、その“ただの心象”で決まる仕事があるとしたら、なるべくいい環境を作っておきたいですよね。その点、「AZ80」は環境音をほとんどカットしてくれるので、過酷な環境でリモート会議する人には本当にオススメです(笑)。あとマイクの性能で言うと、僕は最近英語をがんばろうと思ってシャドーイングというトレーニングをしているんです。英語の音声が流れた1秒後に自分も同じ発音をしていくというもので、録音して添削してもらうんですね。そのときに「AZ80」を使っていて、録音した自分の声をチェックしたんですけど、相手に一番届いてほしい声の成分がしっかり録れていたんです。これはすごいですよ。
業界初の3台マルチポイント接続
──複数の端末を使いながらリスニングするときに、音楽が再生されたほうに自動的に切り替えてくれるマルチポイント機能は使われました? 「AZ80」は業界初となるデバイス3台まで同時接続することができるんですよ。
これは本当にありがたい機能ですよね。私はスマホとタブレットの両方使いをしているんですけど、飛行機の中に入るまではスマホで音楽を聴いて、中に入ったらタブレットで映画を観ることが多いんです。「AZ80」はスマホからタブレットに持ち替えると、音声がパッと切り替わるんですよ。タイムラグはもちろん、いちいち「こっちの回線を切って、こっちにつなぎ直して」みたいなストレスがまったくない。それが3台まで接続できるようになったというのはめちゃくちゃデカいですよね。これまではスマホとタブレットだけだったけど、例えば携帯ゲーム機にもつなげられるわけだ。「ついに来たな!」という感じがしますよね。私の人生、ずっと有線の煩わしさに腹を立ててきたんですよ(笑)。その私がなんと今は3台も即時性を持って切り替えることができて、コードも絡まらないようなった……。Technicsさん、本当にありがとうございます(笑)。
──(笑)。ここまで「AZ80」を試した感想を聞いてきましたけど、「AZ60」から乗り換えることになりそうですか?
「AZ60」もまだ全然使えるんですけど、「AZ80」の性能のよさを知ってしまったら乗り換えない理由がないですよ(笑)。
ヒャダインが「AZ80」で聴きたい30曲
──今回の取材にあたり、ヒャダインさんには「AZ80」で聴くことを前提にした全30曲のプレイリストを作成していただきました。
僕はよくプレイリストを作るお仕事をいただくんですけど、その中でも今回は会心の出来になったと思います!
──どういった基準で選曲したのでしょうか?
まず「AZ80」で音の解像度がさらによくなったので、それが一聴してわかるプレイリストにしたかった。それにTechnicsだから、テクニクス、テクニ……テクノを軸にしよう!というところから(笑)、1曲目にYMO(Yellow Magic Orchestra)の「テクノポリス」をチョイスして。2曲目以降は「次に聴きたくなる曲はなんだろう?」と数珠つなぎ形式でセレクトしていきました。「AZ80」は決して録音状態やミックス状態がよくない曲でもいい感じに聴かせてくれるから、そういう意味でヴァージンVSの「星空サイクリング」を持ってきたり、「この疾走感につながるのは杉山清貴&オメガトライブだろう」と思って杉山清貴&オメガトライブ「ROUTE 134」を選んだり(笑)。特に杉山清貴&オメガトライブは、デビュー40周年記念のベストアルバム「オールタイムベスト」で新たにミックスされて、昔の音源のままきれいに今の音になっているんですよ。だから「AZ80」のように音がよく聞こえるイヤホンとの相性が抜群にいいんです。
──80年代当時のテクノポップとそこに影響を受けた今の音楽を比較しながら楽しめる選曲になっていますよね。
そうそう。新旧の曲を混ぜたプレイリストではあるんだけど、一貫性は持たせたつもりです。80'sの香りが少しありながら、タムにインパクトがあって、“シンセウェーブみ”があるというか。個人的にはハリー・スタイルズの次に中山美穂が来る世界線、これがいいんですよ。違和感なく聴いてもらえると思うし、やっぱり音楽はつながっているんだということがわかってもらえるんじゃないかな(笑)。
──ryuchellさんが歌うLINDBERG「今すぐKiss Me」のカバーという選曲もすごい(笑)。
そうなんですよ! 「今すぐKiss Me」は、ryuchellさんのバージョンがいいんです(笑)。プレイリストの文脈ともマッチしていて、めちゃくちゃいいと思うのでぜひ聴いてみてください。
──Technicsから連想したテクノというテーマで、YMOで始まりKraftwerkで終わるのかと思ったら、ラストを飾るのがポンチャックの第一人者・李博士というのもヒャダインさんらしいです(笑)。
最初はKraftwerkで終わろうとしたんですけど、それだと少し気取った感じもするなと思って(笑)。だから最高に楽しくて明るい李博士の「야야야」かなと。やっぱり笑って終わりたいじゃないですか。「야야야」はまだ世の中に発見されていない曲なんですけど、ぜひこの機会にチェックしてもらいたいですね。
──プレイリストを作成する中で「AZ80」が似合いそうな音楽ジャンルなど何か発見はありましたか?
「AZ80」はすべてのジャンルを網羅できると思うんですけど、ノイズキャンセリングの性能がよくて、弦が低くても聞き取りやすいので、クラシック音楽を聴くと楽しそうだなと思いました。クラシックって音のダイナミクスがエグいんですよ。だからノイズキャンセリング機能が付いていないイヤホンで聴くと、「聞こえないな」と思って音量を上げたら音の爆弾みたいなのがやってくる。「AZ80」は小さい音量でもきれいに聞こえるので、ダイナミクスが激しい曲も合うと思いますね。
──ご自身が携わった作品の中で「AZ80」での試聴をオススメしたい楽曲は?
プレイリストにも選曲したŹOOĻの「ササゲロ-You Are Mine-」は束縛彼氏からの電話から始まるんですけど、耳元でささやかれたら最高にいいと思うのでぜひ聴いてもらいたいかな。あと、あーりん(佐々木彩夏 / ももいろクローバーZ)に書いた「ハッピー♡スイート♡バースデー!」は彼女と僕のお芝居から始まるんですけど、その曲も「AZ80」で楽しんでもらいたいです。
Technicsは世界に誇れるブランド
──ちなみに6月15日には「AZ80」だけではなく、「AZ60」の新モデル「EAH-AZ60M2」も発売されました。音のチューニングはもちろん、「AZ80」と同様に「ダイレクトモード」を搭載することで音質を向上させていたり、3台マルチポイントにも対応したりというアップデートがなされています。
へえ! 上位互換の「AZ80」だけじゃなくて、ちゃんと今までのラインナップもグレードアップしてリリースするあたり、やっぱりTechnicsは好感が持てますね。それに「マークツー」が付いているあたりインターフィースみたいで音楽を生業にしている人間にはグッときちゃう(笑)。この記事を読んで、Technicsのイヤホンが気になるけど価格的に悩んでいるという人は「AZ60M2」で試してみて、より音にこだわりたい人は「AZ80」を選ぶといいんじゃないでしょうか。
──では最後に、Technicsに対して何か望むことがあれば教えてください。
冒頭でも話したけど、Technicsは堅実で音に真摯に向き合っているイメージがあるので、このまま世界に誇れるブランドでいてほしいです。あと世界で活躍するミュージシャンたちにも「AZ80」を使ってもらいたいですね。本当に素晴らしいイヤホンだと思うので。
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Technics「EAH-AZ80」
TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤホン。10mmドライバー×アルミニウム振動板が搭載されており、低域から高域まで再現性の高いクリアな音を楽しむことができる。ノイズキャンセリングの性能は業界最高クラス。長時間の使用でも疲れにくい “コンチャフィット形状”を採用しているほか、業界初の3台マルチポイント接続にも対応している。
プロフィール
ヒャダイン
1980年、大阪生まれの音楽クリエイター。本名は前山田健一。3歳でピアノを始め、作詞・作曲・編曲を独学で身に付ける。京都大学を卒業後、2007年より作曲家としての活動を開始。動画投稿サイトへヒャダイン名義でアップした楽曲が話題になる。一方、本名での作家活動で提供曲が2作連続でオリコンチャート1位を獲得するなどの実績を残し、2010年にヒャダイン=前山田健一であることを公表。アイドルソングやJ-POPからアニメソング、ゲーム音楽など多方面への楽曲提供を精力的に行い、自身もアーティスト、タレントとして活動する。2021年9月には、サウナへの熱い思いをつづった「ヒャダインによるサウナの記録2018-2021—良い施設に白髪は宿る—」を、2022年10月には自身が手がけた楽曲をピアノアレンジした楽譜集「ヒャダイン(前山田健一) / ピアノ・コレクション」を発表した。
ヒャダイン オフィシャルブログ 「ヒャダインのチョベリグ★エブリディ」 Powered by Ameba