Technics「忘れられない風景と音楽」|クリープハイプ尾崎世界観が思い出の地・国立へ (2/2)

レコーディング後にこのイヤホンで聴いてみたい

──今回のTechnicsの「忘れられない風景と音楽 プロジェクト」では、尾崎さんとも交流のある歌人の木下龍也さんがコンセプトムービーやラジオCMのナレーションを担当されています。こちらをお聞きになってみて、いかがですか?

不思議な聴き心地のCMですね。抑揚が独特で、まったく押し付けがましくない。

──Technicsの完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ80」を実際に使用されてみていかがですか?

撮影中に着けたとき、周りの音がちゃんと耳の中で聞こえる感覚があって。外音を取り込むアンビエントモードという機能らしいんですが、曲を流さなくても、外の音だけ聴いていたいなと思うくらいでした。

国立駅付近のベンチに座って音楽を聴く尾崎世界観。

──アンビエントモードでは、安全性などの面を考慮して外の音がちゃんと入ってくるようにしてあるそうです。もちろんイヤホンにはノイズキャンセリング性能もついています。

アンビエントモードの状態で音楽を聴くと、耳の中で曲が鳴っているのに外の音も聞こえてきて面白かったです。曲を再生しているときの音もすごく自然でいいですね。尖ったところがないというか、間違いなく耳の中で鳴っているけれど、俯瞰で聴けるような感覚がある。音の輪郭もよりわかるし。最近はスマホで聴かれることが多いから、自分たちの作品もレコーディング後にスマホでチェックするようにしていますが、このイヤホンで聴いてみたいですね。あと、本体の存在を耳の中でちゃんと感じられるところがいいです。「何かを着けている」という感覚がちゃんとある。手に持った感覚も、物としてしっかり感じることができて、いいですね。

「EAH-AZ80」の音は「1つひとつ選別されているような届き方をする」

──尾崎さんにとって“いい音”とはどういうものですか?

「この音がいい」という話をする人があまり好きではないんです。いい音を追求することはもちろん大事なんですが、「これがいい音だよ」と人に押し付けるのはよくないと思う。それぞれ聞こえ方も違うし、聴きたいものも違うので。だから、この「EAH-AZ80」で外の音が聞こえることに感動したのかもしれません。“そのまま”をなるべく自然に提供してくれる感じがあるから。ライブのときに「音がよかった」と言われるのも、あまり好きではありません(笑)。ステージと客席では聞こえる音も違うし、音響のスタッフさんがしっかり調整してくれているということなので、それを褒められるのはうれしいですが、ライブをしている当人に言う感想としてはあまり正しくないと思う(笑)。

──なるほど(笑)。“いい音”は人それぞれということですね。

ただ音の良し悪しはともかく、こうやってイヤホンで音楽を聴くって、よく考えればすごいことじゃないですか。それだけ「聴きたい」と思わせる音楽があるわけだから。自分の曲を、体の中に取り込むように聴きたいと思ってもらえるのだとしたら、それはうれしいことですね。「EAH-AZ80」も、「しっかり入っているな」という感じがしたので、よかったです。

Technics「EAH-AZ80」を持つ尾崎世界観。

──では、もう少し「EAH-AZ80」で曲を聴いていただいて、感想を教えてください。

(「EAH-AZ80」で曲を試聴後)イヤホンによっては、密閉されているところで音楽を聴いているような感覚になるんですが、そういう場合、作り手が意図していない音も聞こえている可能性がある。でも、「EAH-AZ80」は作り手の意図した音がそのまま聞こえている感じがします。あと、ボーカルの声が最初に入ってきますね。ちゃんと、音が1つひとつ選別されているような届き方をします。一気にすべての音が根こそぎ持ち上がってくるような力強いものもいいんでしょうけど、音楽を作っている身としては、丁寧に、下書きしたうえで作っているもののほうが信頼できます。鉛筆でちゃんと線が引いてあって、そのうえで色が塗られているような、そんな届き方をしてほしいと思って音楽を作っているので。結果的に聞こえてくる音楽は一緒かもしれないけれど、間や過程があると感じられるもののほうがいいじゃないですか。音楽も、そうでないものも。「EAH-AZ80」はそういう届き方をするなと思います。

もっと自然な感覚で聴きたい

──クリープハイプの新曲「喉仏」もぜひこのイヤホンで聴いてみたいです。この曲はどのようにして生まれた曲ですか?

この曲はサビのメロディが出てきたとき、あまり引っかかりがない印象だったんです。でもそれは悪い意味ではなく、するっと一筆書きで書けるようなメロディでもあって、スタジオに入ってバンドで合わせたときもメロディが埋もれなかったし、そこが新鮮でした。アレンジの面でも、今までやってきたような足し引きは崩したくて、細かく微調整しながら作っていきました。ホーンも入っているんですが、今までホーンを入れたときは、どちらかというと後ろで支えてくれるような存在だったんです。でも今回はしっかりと前に出てきている感じがして、そこも面白いです。

国立周辺を歩く尾崎世界観。

──歌詞に関してはいかがでしょうか。「喉仏」という肉体的なタイトルが掲げられていますが、人間の中で“言葉”がどういうふうに動くのか、その軌道が見えるような歌詞だと思いました。この曲が主題歌となるドラマ「滅相も無い」のイメージも重なっているようですね。

歌詞を書くのはけっこう苦労しました。メロディを崩したくなかったんです。普段は言葉を優先してメロディを変えることもありますが、今回、特にサビはこのメロディにカチッとハマる言葉を探したくて。ドラマのテーマとして「穴」と「仏教」があったので、そこも面白そうだなと思って取り入れてみました。普段自分が曲の中で扱うテーマに比べると動かしづらかったのも、苦労した要因でしたね。イメージが固定されているというか。テクニックを使えばすんなり書くことができるけれど、もうちょっと自分の感覚や気持ちの面もすくいとって書きたい。でも、テーマ的にそれが難しい。そこで悩んで時間もかかりましたが、結果的には新しいアプローチができたと思います。

──この「喉仏」もそうですが、東京以外の街に暮らす人がクリープハイプの音楽を聴いて「東京ってこういう感じの街なのかな」とイメージを膨らませることもあるのかな、と思うんです。今回ロケをした国立の青空のような、のどかで、ちょっと懐かしさを感じさせるような空気感がクリープハイプの曲には時折現れるような気がして。ご自分で作る曲に、そうした土地の雰囲気や風土などを感じることはありますか?

あまりないですね。ずっと東京に住んでいるからかもしれないけど、自分自身はそういうことはあまり感じたことはないです。それに、どちらかと言うと自分にとって音楽は移動しているときに聴くものなんです。まだ車でツアーを回っていたとき、よく音楽を聴いていました。景色が動いている中で音楽が鳴っていることが、すごく心地いいと感じるんです。それは昔からですね。振動が心地いいのかな。爆音で音楽を聴きながら踊る、みたいな感覚も自分の中にはないし、自然な感覚で音楽を聴きたいという気持ちがあるのかもしれません。

Technics「EAH-AZ80」を装着した尾崎世界観。
忘れられない風景と音楽 プロジェクト

忘れられない風景と音楽 プロジェクト

Technicsの完全ワイヤレスイヤホンが4月22日に開始したプロジェクト。多くの人が疲れやストレスを感じやすい新生活シーズンの春に第1弾として、SNSで思い出の楽曲と写真、そのエピソードを募集するほか、六本木や下北沢、渋谷の駅構内でポスター広告を掲出する。また、マルチクリエイター深根がプロジェクトのために書き下ろした新曲「あの空とおく」を使用したコンセプトムービーや音声広告では、ナレーションをたかはしほのか(リーガルリリー)、歌人の木下龍也が担当している。

特設サイトはこちら


Technics「EAH-AZ80」シルバー / ブラック

Technics「EAH-AZ80」

TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤホン。10mmドライバー×アルミニウム振動板が搭載されており、低域から高域まで再現性の高いクリアな音を楽しむことができる。ノイズキャンセリングの性能は業界最高クラス。長時間の使用でも疲れにくい“コンチャフィット形状”を採用しているほか、業界初の3台マルチポイント接続にも対応している。

製品詳細はこちら

ライブ情報

尾崎世界観の日 特別篇 2024

2024年5月26日(日)東京都 上野恩賜公園野外ステージ


中国ツアー「はじめての中国、はじめてのクリープハイプ」

  • 2024年6月7日(金)中国 上海 THE BOXX
  • 2024年6月9日(日)中国 広州 SD LiveHouse

クリープハイプの日 2024 福岡

  • 2024年9月8日(日)福岡県 福岡サンパレス

プロフィール

尾崎世界観(オザキセカイカン)

4人組ロックバンド・クリープハイプのボーカルおよびギター担当。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を始める。2012年4月に1stアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャーデビュー。コンスタントにリリースを重ねていき、最新作は2024年4月リリースの配信シングル「喉仏」。また作家としても活躍し、半自伝的小説「祐介」やエッセイ「苦汁100%」「苦汁200%」「泣きたくなるほど嬉しい日々に」を刊行。2020年12月には小説「母影」が「第164回芥川賞」候補作品に選ばれた。

<着用衣装>
ジャケット 69,300円(front11201 / 03-6805-3897)
シャツ 85,800円(SEVEN BY SEVEN / 03-5785-6447)
トラウザーズ 47,300円(MARGARET HOWELL / 03-5785-6445)
シューズ 68,200円(MARGARET HOWELL / 03-5785-6445)