ナタリー PowerPush - 多和田えみ
裸のソウルが胸を打つ「Sweet Soul Love」完成 天然系歌姫が語る“エロくてスウィートなラブソング”とは?
ソウルミュージックに出会えたワクワク感
──3曲目「Do You Understand My Love」を作曲をされているLENSEIさんはどういう方なんですか?
LENSEIさんはですね、私と同い年の、オーストラリア育ちの笑顔がすごくキュートな男性で。今は日本にいらっしゃいます。中島美嘉さんの「CRY NO MORE」というR&Bナンバーも彼の作曲ですね。
──この曲はかなりじっくり聴かせるバラードで。さっきも言いましたが、歌に自信が出てきたのかなと、特にこの曲を聴いて思ったんですよ。
いやいやとんでもないです。でも、自信が出てきたというより、自分の声と向き合うことができたというのはあるかも。このアルバムを作り始めてから、自分の声のことがもっと知れるようになってきたというか。
──このあとはカバーが2曲続きますが、まずはbirdさんの「甘く甘くささやいて」。birdさんの楽曲の中でも、あえてこの1stシングルのカップリング曲という、知る人ぞ知る1曲を選んだのはどういう理由ですか?
単純にこの曲が一番好きだったんですよ。A面の「SOULS」ももちろんすごく大好きで聴いてたんですけど、もともと基本的に“エロい音楽”っていうのが大好きだから。
──このあたりが“エロい音楽”のルーツなんですね。
そう(笑)。エロいR&Bをたくさん聴いてる時期があって、中でも「いい!」ってずっと思ってたのがこの曲なんです。
──この曲は打ち込みのリズムが基盤になってますが、やっぱり徹底して音数の少ない、シンプルな構成で。
2番のサビまでベースいないですからね。しかもやっと出てきたベースがウッドベース。
──ウッドベース特有の指板のしびれるノイズというか、その音もシンプルなアレンジがゆえにいい具合に響きますよね。
軋む音がすごくいいんですよね。エロエロしい感じで(笑)。
──アレンジする上で「もっとエロく!」と注文したんですか?
ベースはもともと打ち込みだったんですけど、ウッドベースに差し替えてもらったんです。全体的にはエロい感じ、ヌーディな感じにしたいってことをお願いして。アレンジをやってくれたYANAGIMANさんも「え、こんなに抜いていいんですか? こんなに抜いていいんですか?」っ言いながらいっぱい音を抜いてこういうアレンジに。もうとにかくスカスカなオケが好きで。そのぶん歌うのはすごくむずかしくなるんですけど……。
──そしてもうひとつのカバー曲「Turn Your Lights Down Low」ですが、ボブ・マーリーの曲を選んだのはどうしてですか?
これはですね、確かbirdさんを聴いてたのと同じくらいの時期、私が中学生くらいのときにローリン・ヒルのボーカルをフィーチャーした「Turn Your Lights Down Low」がリリースされたのかな? ボブ・マーリーのトリビュート盤で、ボブの生前の声とローリン・ヒルの新しい歌をミックスしてデュエットさせるっていう企画でした。当時からこの曲が大好きで、ずっと聴いてた曲だったんですよ。
──このカバー2曲が、まさに多和田さんのルーツミュージックと。
そうですね。まさに。ソウルミュージックに出会えたワクワク感が詰まった曲です。
──他にもこの曲をやってみたい、というルーツミュージックがまだまだあるんじゃないですか?
同じ頃に聴いてたマーヴィン・ゲイとかダニー・ハザウェイとか、もうコテコテなんですけど、ブラックミュージックでやってみたいものはたくさんありますね。
CD収録曲
- Baby Come Close To Me
- Only Need A Little Light
- Do You Understand My Love
- 甘く甘くささやいて
- Turn Your Lights Down Low
多和田えみ(たわたえみ)
1984年生まれ、沖縄出身の女性シンガー。高校卒業後、カナダへの語学留学中に出会ったストリート・ジャズ・バンドで歌ったことをきっかけに、本格的に音楽を志す。帰国後に作詞作曲を開始し、2006年2月から沖縄県内のホテルやライブハウスを中心に積極的なライブ活動を展開。翌2007年にMSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会で、NYLON賞を受賞する。同年5月に沖縄限定シングル「ネガイノソラ」がリリースされ、好セールスを記録。その後もアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム「ジョビニアーナ~愛と微笑みと花~」や、沖縄出身アーティストによるコンピ盤「琉球LOVERS ROCK」などに参加し、注目を集める。そして2008年4月、ミニアルバム「∞infinity∞」で待望のメジャーデビュー。ブルースやソウル、ジャズ、ファンクなどブラックミュージックから強く影響を受けたサウンドと、ときに激しく、ときに優しく聴き手に訴えかけるソウルフルな歌声が高く評価されている。