共有するための“繋がり”の気持ちを大切に
——多和田さんは歌詞だけでなく、前作では「MUSIC BOX」「CAN'T REACH」の2曲、そして本作では「MISERY」の作曲も手がけていますよね。作曲作業というのは、もともと子供の頃に何かをやっていたとか、そういう経験があるんですか?
小学校のときは吹奏楽をやってました。そのときはアルトホルンで、中学校のときにマーチングでスネアドラムを。どっちもぜんぜん作曲とは関係ないですけど(笑)。ピアノは1カ月ぐらいで辞めたんですけど、ちょっと触ったことがあったので。曲を作るときには、ホントにたどたどしいながらもピアノで……。
——メロディを考えて?
はい。まずメロディを考えて、そのあとにジャーンって、そのメロディに当てはまるコードを、ホントにシンプルなものを見つけていくみたいな。
——じゃあまだまだ発展途上な感じですか?
完全に発展途上ですね。
——これだけ熱いメロディを書かれるんだから、ぜひどんどん書いてほしいです。
ありがとうございます。おかげでテンションが上がりました! 今日帰ったらさっそくピアノの前に座ってみようかなっていう気になりました(笑)。
——「MISERY」はライブではもちろん、クラブでかかっても盛り上がる曲だと思います。さっきの“夏感”の話にも近いですけど、熱い空間でみんなで輪になって、ワーっと盛り上がるイメージが浮かぶ曲ですよね。
ですよね! わたしもレコーディングのときに聴きながら、ワーってなってたんですよ。ギターのチョロンチョロンって感じとか『あーもう!』って。けっこうストイックな感じがして。
——気の早い話ですが、次に作る作品についての構想などはありますか?
全然予想できないようなものを作りたいですね。『え?』みたいな。『こうくるんですか、次は』みたいな、誰も予想できないようなものを。
——1stでホップ、2ndでステップときて、想像もつかないジャンプを見せる感じですか?
あはは(笑)。でも気持ちは全部毎回、たぶんずっとこれからも同じ気持ちだと思うんです。『音楽って自分にとって何なのか』を探りながら。それから、それを聴く人にとっても何かを見つけ出せるものになればいいですね。歌ったり作ったりするのは自分だけど、できあがったものはみんなのものでもあるから。それを共有するための“繋がり”の気持ちは大切にしたいです。音楽で遊んだり音楽を感じたりする中で、自分でもグッと来る作品。そういうものを作りたいですね。
決め言葉は「ゼロ」
——ステージではバンド「The Soul Infinity」とともにライブを行っていますが、チームワークはいかがですか?
いいですよ! ライブの本数を重ねるうちに仲間としての意識がすごく出てきたので。もっともっと、これからどんどんよくなっていくと思います。
——ライブは緊張しますか?
緊張はしますね。やっぱり。
——緊張をほぐすための方法をメンバーで共有していたりしますか?
始まる直前に円陣を組んで、今日のテーマっていうか、ひとこと『ナントカ、ナントカ、ナントカ、エーイ!』みたいなことをやってます。
——そのひとことを決めるのは多和田さんの役割になるわけですよね。
そうですね。みんな緊張感を持って挑んでると思うので。それで緊張がほぐれてるかどうかはわからないんですけど。みんなでひとつになる恒例の行事というか。
——決め言葉みたいなものはあるんですか?
決め言葉は、最近は『ゼロ』ですね。ゼロ。
——みんなで手を重ねたりしますよね。それで「ゼロ!」と?
『ゼロ、ゼロ、ゼロ、オーッ!』って。ゼロの心というか。音楽にピシッと向かう“ぶれない感”というか。
——その気持ちが「ゼロ」という単語に集約されたわけですね。それも自分の中から出てきた単語なんですか?
うん。そうですね。
——ライブはこれからもどんどんやっていきたい?
はい。たくさんやりたいです。
——ライブが一番好きですか?
そうですね。やっぱり『その場で音楽を奏でる』というのがいいんですよ。で、そこで人間同士が集まって、それを感じながら、なにかを分け合うみたいなことってすごく、とっても大事に思ってて。ネイチャー+ミュージック、イコール『LOVE & PEACE』ですから!
プロフィール
多和田えみ(たわた・えみ)
1984年6月26日、沖縄県宜野湾市に生まれる。学生時代はマーチングバンドに参加。
高校卒業後、カナダへの語学留学中にストリートジャズバンドで歌い、音楽を志す。
帰国後は本格的にボーカル、作詞作曲を始め、2006年2月より沖縄県内のホテルやライブハウスを中心にライブ活動をスタート。
2007年4月、MSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会で、NYLON賞を受賞。
5月16日に初のCDシングル「ネガイノソラ」を沖縄県内限定でリリース。発売1ヶ月で2000枚を売り上げ、タワーレコード那覇店などでインディズチャート1位を獲得する。
続く6月、東京にて初のワンマンライブを敢行。メジャーレーベル各社による獲得争奪戦の末、アミューズが新設したプロダクション&レーベル<AZEAL>の第1弾専属アーティストとして契約を果たす。
2007年10月にアントニオ・カルロス・ジョビン生誕80年記念トリビュートアルバム「ジョビニアーナ~愛と微笑みと花~」に参加。2008年1月発売のコンピCD「琉球LOVERS ROCK」では風味堂の「ゆらゆら」をレゲエアレンジでカバーし、2月発売のコンピ「DIVA」にオリジナル曲「CAN'T REACH」で参加する。3月にはDJ KAWASAKIとのコラボナンバー「INTO YOU feat. EMI TAWATA」も発表。
4月23日に、待望のメジャーデビューミニアルバム「∞infinity∞」をリリースした。