里仲菜月ソロインタビュー
自分の歌が変わった瞬間
──まず、ニューアルバム「Violet tears」の中で、里仲さんのお気に入りの楽曲を紹介していただければと思いします。
個人的に一番好きな曲は、9曲目の「SPOOL」ですね。
──「SPOOL」は塩入冬湖(FINLANDS)さん提供のバンドサウンドのナンバーです。
普段からこういうエモい曲が好きなので、自分の好みとマッチしているし、キーも合っていて歌に感情を乗せやすいんです。スルメ曲と言うとクセや中毒性のある曲が思い浮かぶかもしれませんが、「SPOOL」は音がきれいでありつつ、私の中では聴けば聴くほど好きになる楽曲なんです。ちょっとアイドルから離れたというか、アーティストっぽい雰囲気の曲というイメージです。プライベートで一番聴いている曲かもしれないです。
──では、レコーディングで一番印象に残っている曲と言うとどれでしょう?
私的に2曲目に入っている「my Buddy!!!」は、自分の歌い方が変わるターニングポイントになったと思っているんです。この曲がきっかけで自分の歌に変化が起きたなと感じていて。落ちサビ前からのおいしいパートをいただいたんですけど、レコーディングのときに高音のところを気持ちよく歌えたんですよ。「なんか、すごく楽しいな」と感じて、「my Buddy!!!」をライブで披露するのも毎回楽しいんです。
──「my Buddy!!!」のそのパートは、今までの曲と何が違ったんでしょうか?
なんだろう…‥今までは気持ちよく高音を出せなくて、「今の歌い方、なんか嫌だな。もっときれいに歌いたいな」と自分の中で引っかかることが多かったんです。でも「my Buddy!!!」では自然といい感じに出せて、それからほかの曲でも高音を歌いやすくなりました。何が具体的に違ったのか、何が変わったのかは自分でもわからないんですけど、「my Buddy!!!」のときの感覚を意識するとうまくいくんです。この曲のおかげでかなり成長できたと思います。
──ほかに、アルバムの新曲で歌い方がうまくいったと感じる曲はありますか?
「La La La ショコラ」では自分史上最高にかわいい声を出している曲です。「相対性♡LOVE!」もかわいい曲なんですけど、この2曲をレコーディングした時期にけっこう開きがあって、その期間でかわいい声の出し方も変わっていったんです。先にレコーディングした「相対性♡LOVE!」でぶりっ子っぽい感じで歌ったのに対し、「La La La ショコラ」ではそれとはまた違う感じのねっとりした甘い声をうまく出せたかなという感覚があって。完成した音源を聴いたときに「これ、私の声?」と思っちゃうくらいでした。自分の中の感情も含めて、とにかくかわいくて甘い方向に寄せていって、レコーディングのときはスタジオのブース内のモニタに自分の姿が映るから恥ずかしいんですけど、そこも気にせず、身振り手振りも交えながら「私が一番かわいい!」という顔をして歌いました。それが声にも影響しているんだと思います。歌声って表情でこんなに変わるんだなと実感しました。
──かわいく歌うのは今まで苦手でした?
そうですね。どちらかと言うとカッコいい雰囲気の曲のほうが表情も作りやすいし、声を出しやすかったんですけど、「La La La ショコラ」ではだいぶ振り切れたと思います。あと、新しい挑戦だった曲を挙げると、「クーリングオフはできません!」と「背徳的カタオモイ」は歌うのが難しかった。「クーリングオフはできません!」はアルバムの中で最後にレコーディングした曲で、いつもあまり頭で考えずに歌ったり踊ったりするんですけど、このときは「次はこう発声して、その次はこうリズムを刻んで」とか、すごく頭を使いながら歌いました。高い音を出しながら言葉数が多い歌詞を歌ったり、声を曲の雰囲気に合わせたりするのも難しくて、レコーディングが終わったあとに「ふぅ」と息をつくほどでした。
2人の嫌なところが見つからない
──これはメンバー全員に聞いているのですが、ほかのメンバーについて「この子のここがすごい」と思うところは?
ふうちゃんはホントに優しくて、もう7年くらい一緒にいるんですけど、一度も優しくない瞬間がないというか、常に人に寄り添えるんですよ。自分自身がどんなつらくても、ほかの人を第一に優先する。しかも小さい頃からアイドル活動をしていてプロ意識も高くて、ここまで素でアイドルな子はいないんじゃないかなと感じます。生まれ持ったアイドル性があって、毎日一緒にいるのに毎日のようにそのアイドル性に驚かされてます。あるとき、今日花のお友達の女の子とたまたま遭遇して一緒に写真を撮ったことがあるんですけど、ふうちゃんがその子の肩にすごく自然に手を置いていて。「これをやられたら惚れてファンになっちゃうな」って、そのさり気なさにびっくりしましたし、見ていてキュンとしました。そういうことを意識せずにできる子で、天性のアイドル性を持っていると思います。
──白岡さんについてはどうでしょう?
今日花は頭で考えていることを言葉にするのが上手で、ホントにうらやましいです。私は考えながらしゃべるのが苦手なので、言おうとしていることをうまく伝えられないことがけっこうあるし、ライブ中はアドレナリンが出て自分で自分が何を言っているかわからなくなることもあるんですけど、そんなときは今日花が「菜月はこういうことを言ってるんだね」と的確に説明してくれて、いつも助かってます。語彙力が高いし、場の空気を読むのがすごく上手ですね。それに、頭の回転がすごく早いんだと思います。
──一方、熊澤さんや白岡さんからは、里仲さんについて「人を幸せにする才能がすごい」「一緒にいると誰でも笑顔になっちゃうんじゃないかなと思うくらい明るい」「太陽という言葉が似合う子」という話が出ましたが、普段は意識して明るく振る舞っているんですか?
私、もとはかなりのネガティブ人間で。昔は「私なんて」といつも考えちゃうタイプだったんですけど、あるときから急に弾けてポジティブになりました。気持ちが沈んでいるときの自分がすごく情けなくて、変わりたいと思ったんです。それに、明るくいたほうが周りのみんなも笑顔になってくれるかなって。確かに、明るくいようと心がけている部分はあるかもしれないです。
──そういう考えになったのには、何かきっかけがあったんですか?
うーん、わりと緩やかに変わっていったと思います。だんだんと自分の見た目、歌、ダンスに対して自信が付いてきたことが関係しているのかな。
──そんな中で、この先乗り越えたいと思っている自分自身の課題はありますか?
歌とダンスですね。前よりも自信は付いたんですけど、ずっと歌とダンスのスキルを成長させたいと思っていて、最近はその気持ちがさらに強くなりました。「あの子、カッコいいよね」と誰からも思ってもらえるくらいに成長したいし、精神的にも強くなりたいです。
──最後に、このインタビューを通してほかのメンバーに伝えたいことはありますか?
「いつもホントにありがとうございます。これからも一緒にいてください」と言いたいです(笑)。メンバー3人、ホントに超仲良しで、ちょっと気持ち悪いくらい年々仲よくなっているんです。2人の嫌なところが全然見つからないし、愛であふれてますね。
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メンバー全員 インタビュー