Task have Fun「Violet tears」特集|“全曲リード曲”の自信作、3人のレベルを引き上げた渾身の10曲

Task have Funがニューアルバム「Violet tears」をリリースした。

「Violet tears」は10名の作家が手がけた新曲10曲で構成されるアルバム。「メインアクター」「ひと夏ボーダー」など今年の夏フェスなどで多く披露されてきた楽曲のほか、アイドルらしさを全開にした「相対性♡LOVE!」、塩入冬湖(FINLANDS)が提供した「SPOOL」、2017年発表のバラード曲「マーブル色の気持ち」のその後を描いた「夢見る季節を過ぎても」など、多種多様なナンバーが作品を彩っている。

今回、音楽ナタリーではメンバー3人に個別に話を聞き、「全曲がリード曲」と謳っているアルバムの聴きどころ、ほかのメンバーに対する正直な思いなどを語ってもらった。また特集の最後にはメンバー全員そろってのインタビューも掲載する。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 堀内彩香

熊澤風花ソロインタビュー

ああ、大人になったんだな

──ニューアルバム「Violet tears」には10名の作家が手がけた楽曲10曲が収録されていますが、特に思い入れが強い曲や、個人的に気に入っている曲はありますか?

イントロを聴いた瞬間に好きになったのは、アルバムの最後に収録されている「夢見る季節を過ぎても」ですね。「マーブル色の気持ち」のその後を描いた楽曲なんです。

──2017年発表の「マーブル色の気持ち」では「大人になってく私を あなたはどう思うかな」と歌われていて、「夢見る季節を過ぎても」は大人に成長したあとの心境を描いた楽曲になっています。

私、「マーブル色の気持ち」を初披露した日のことはすごくよく覚えてるんですよ。そのときは「こんな難しい曲を歌えるのかな」と不安だったんです。作詞作曲の見田村千晴さんが曲を通してその後の成長を描いてくださったことがうれしいです。どちらの曲も私が歌い出しを担当していて、どちらも「初めてメイクした日」という歌詞で始まるんです。その部分を歌うと、「ああ、大人になったんだな」と歌詞にリンクするようにして自分の成長を実感できます。ほかにも、「少しだけつけるわさびも」という歌詞が「ピリッと辛い自由の味」と言葉を変えて再登場したり、同じ表現じゃなくても曲がつながっていることを感じられるところがあるんですよ。言葉の使い方が全体的に大人っぽくなっています。

熊澤風花

熊澤風花

──どちらもバラード調で、ライブで盛り上がるアッパーチューンが多いTask have Funの楽曲の中で際立っている印象です。

5年前は「マーブル色の気持ち」を歌うのがホントに怖かったです。落ちサビのパートをいただいたものの、歌うたびに緊張していました。今も緊張はするんですけど、「夢見る季節を過ぎても」を歌うようになってからは、怖いという感情はなくなって、楽しむ気持ちが出てきました。

──それは、この5年間で歌唱力が上がったことも関係していますか?

そうですね……今回のアルバムの楽曲10曲のレコーディングを通していろんな歌い方に挑戦したことで、自信が付いたところもあると思います。この間、単独ライブで「夢見る季節を過ぎても」と「マーブル色の気持ち」を続けて披露したんですけど、「マーブル色の気持ち」がより歌いやすくなった感覚がありました。この2曲はメンバーのパート分けも同じですし、ファンの方も曲を通して時間の経過を実感できると思います。

──このほかにも、アルバムの中で特別な思いがある楽曲を挙げるとしたらどれでしょう?

1曲目の「メインアクター」ですね。ノリやすい曲で、ファンの方はもちろん、業界の関係者の方からもすごく評判いいんですよ。この夏、フェスで一番披露した曲なんですけど、初めて聴いた人も足を止めてくれたり、ノッてくれたりするんです。曲が浸透するのがホントに早いので、代表曲の「3WD」と同じくらい有名になってくれたらうれしいですね。また1つ、新しい武器を手に入れられた気がします。あと、この曲では歌詞に合わせてメンバーみんなおしゃれな感じに歌っていて、そこが新しい挑戦でした。

──おしゃれに歌うというのは、具体的に説明するとどんな感じなんでしょう?

ボイトレの先生に言われたのは、グルーヴを効かせる感じですね。最初はそれがどういうことかわからなかったんですけど、練習していくうちに音をうねらせる感覚がつかめてきました。この曲で歌う楽しさをまた新たに発見できました。新しさで言ったら、8曲目の「相対性♡LOVE!」にも今までにない挑戦があったと思います。ここまでアイドルらしい方向に振り切った曲は初めてで、レコーディングやレッスンでちょっと恥ずかしいなと感じるくらいでした。初披露して半年くらい経つんですけど、ファンの方も最初は「タスクがアイドルしてる!」って驚いたんじゃないかな(笑)。私もまだ慣れなくて、ドキドキしながらパフォーマンスしています。

──ぶりぶりのアイドルっぽさを全開にした曲ですよね。

歌詞が「抱きしめてほしいの!」というひと言で始まりますからね(笑)。この曲を披露すると、ファンの方の目がハートになるのがわかります。曲がかわいすぎるから、照れてふざけたくなっちゃうんですけど、「それじゃダメだ」と思ってしっかりかわいく歌っています(笑)。

熊澤風花

熊澤風花

熊澤風花

熊澤風花

人生そのものがアイドル

──今回、個別インタビューということで、この機会に普段ほかのメンバーの前では恥ずかしくて言いづらいことなども気兼ねなく語っていただければと思っています。白岡さん、里仲さんに対して、自分にはないうらやましいと感じるポイントはありますか?

それはいっぱいありますね。菜月は人を幸せにする才能がすごくて。あの子といると誰でも笑顔になっちゃうんじゃないかなと思うくらい明るいんですよ。でも、1日中いつも明るいというわけでもなくて、そのスイッチを切り替えられるところがカッコいいなと思います。

──周りのことを考えて、意識して明るく振る舞っている?

そうですね。ほかのメンバーがちょっと悩んでいるときがあると、菜月が一番に気付いて、さりげなく声をかけるんですよ。人に対する愛情を惜しみなく出す感じが、菜月の一番いいところだと思います。いい子すぎて不安になるくらいです(笑)。タスクはメンバー3人がいてこそのグループですが、菜月の存在が一番大きい気がしますね。何度助けられただろうと思うくらいです。

──白岡さんについてはどうですか?

今日花はすごく社交性があって。スタッフさんと話しているときとか、一番大人なんですよ。関係者の方に対してもそうですね。率先してコミュニケーションを取って、いい感じに面白い返しをしてグループをアピールするんです。「タスクって面白いな」と思ってもらえる一番の要因になっていると思います。MCのスキルもそうですし、タスクは今日花で成り立ってるなって。

──外交官的な役割を担っている部分があると。

今日花がいなかったら、今、一緒にお仕事をさせていただいている方とここまで仲よくなれていないと思います。タスクの道を切り開いてくれています。

──なるほど。そんな中、熊澤さんのグループ内での役割については自身でどのように認識していますか?

えー、なんだろう……。個人のお仕事も積極的にいろいろやらせていただいているので、タスクを知ってもらえるきっかけになればとはずっと思っています。私の個人のお仕事が入り口になってタスクを知ってくれて、今日花と菜月のことも好きになってくれると、「やっててよかったな」という達成感を感じますね。

──グラビアの仕事を積極的にやっているのも、その思いから?

そうですね。グラビアを見てくれる方は、私がアイドルであることを知らない人も多いので、今後もタスクが注目してもらえるきっかけになれたらうれしいです。

熊澤風花

熊澤風花

──現在20歳の熊澤さんは小学生の頃からアイドル活動をやっているわけで、Task have Fun以外のアイドルファンからの認知度も高いですよね。

アイドルを始めてもう10年くらいになるんですよ。びっくりですよね。

──昔からどんなことにも笑顔で臨みつつ、どこかひょうひょうとしているイメージもあります。胸の内側にある熱い思いをあまり外に見せないタイプというか。

今まではそういうものを口に出して言うのが、なんだか恥ずかしかったんですよ。自分から「これをやりたい!」と言ったとしても、「いや、まだ早いんじゃない?」と思われるのが怖くて。そこは乗り越えたい部分でもあって、人の目を気にしすぎちゃうんですよね。今年20歳の誕生日を迎えて大人になったので、もっと自己主張していければと思っています。

──アイドルという職業が向いている、みたいな感覚はあります?

10年も経つと、アイドル活動=生活みたいな感覚になっていて。お仕事という感覚はありつつも、人生そのものがアイドルという感じなんです。自分で言うのは恥ずかしいですけど、向いているから10年続けてこれたんだと思います。楽しくて面白いし、いろんな発見があるし、多くの人に好きになってもらえるのがうれしい。まだまだタスクとしてがんばっていきたいです。でも、もうタスク以外ではアイドル活動はしないと自分の中で決めているんですよ。このまま3人で成功したいです。

──アイドルに向いているのはもちろんだと思いますが、それ以上にタスクというグループが熊澤さんにハマったのかもしれませんね。

ホントにそうなんだと思います。3人ならではのバランスをすごく感じるし、そのうえで周りのいろんな方に支えていただいています。最近になってそのことにちゃんと気付けたんです。自分も大人になって周りを見たときに、「ああ、いろんな人に助けてもらってここまで来たんだな」って。