音楽ナタリー PowerPush - TarO&JirO
兄弟の絆を形にした初フルアルバム
実の兄弟からなる2人組ロックユニット・TarO&JirOが1stフルアルバム「Piranha」をリリースした。
2本のアコースティックギターとキックドラムという異色の編成でパフォーマンスを行うTarO&JirO。フランスで開催されたバンドコンペ「Tremplins Guitare en Scene 2011」で優勝を果たすなど海外で高く評価された彼らは、昨年12月にミニアルバム「Brothers Fight」をリリースし、活動の拠点を日本に移す。今夏には「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO」や「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」といった国内のフェスにも出場を果たしている。
ナタリーではアルバムの発売を記念して彼らにインタビューを実施。ファンの間で“タロジロック”と呼ばれる2人ならではのサウンドが誕生した背景や、日本のJ-POPシーンの中で1年を過ごしてみた感想など、たっぷりと話を聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦 インタビュー撮影 / 臼杵成晃
「兄貴について行って大丈夫か」って思ってた
──そもそも2人が音楽を始めたきっかけはなんだったんですか?
TarO 音楽をやり始めたのは俺が中学生、JirOが小学生のときですね。当時はゆずがすごく好きで、弾き語りをしたかったんだけど周りに音楽をやってる人がいなくて。それで仲がよかったJirOと一緒に音楽を始めたんです。
──音楽を始めたのは兄弟一緒だったんですね。
TarO そうなんです。JirOとは兄弟でありながら、人生の半分くらいは音楽でつながってる感じなんです。
──ロンドンで活動されていた時期がありますが、なぜ海外に渡ろうと?
JirO ロンドンに行ったのは俺が高校を卒業する頃で……。
TarO 俺がまず海外に出てみたいって思い始めて。進路に迷っていたJirOに「一緒に行かない?」って提案したんです。
JirO 最初は「兄貴について行って大丈夫なのか」って思ったんです(笑)。でもちょうど高校卒業のタイミングでTarOと一緒にやってたバンドが解散して、何をやっていくか考え直さないといけない状況で。ただ日本でまた1からバンドを始めるっていうのはなんか……。
TarO 違ったよね。もともと何かしたいなと思ったら体当たりで体験していきたいタイプで。俺はこの頃21くらいだったんですけど、何か新しいことをしたくて海外に行こうって思ってた。
レッチリが好きだったのにロンドンへ
──実際に2人は海外に向かうわけですが、行き先がロンドンだったのは音楽の趣味によるものだったんですか?
JirO それならよかったんですけど……(笑)。
TarO バンドを組んだ頃から洋楽を聴くようになって、最初に好きになったのはカリフォルニア出身のレッチリ(Red Hot Chili Peppers)で。当時はOasisとか聴いても「微妙だな」とか思ってたんですよ。なんでロンドンにしたかというと、実はあんまり海外の知識がなくて、イギリスとかアメリカとか一緒だろと(笑)。
JirO ロンドンにもニューヨークみたいな街並みが広がってると思ってました(笑)。
──実際行ってみたら……。
JirO あれ? 意外と田舎臭いぞと。
TarO 驚きましたね(笑)。そもそも普通に日本で育ってきたわけだし、英語の成績とかも1とか2で外国人とコミュニケーションを取るのも大変で。ただロンドンだと路上ライブをやる人が「バスカー」って呼ばれてて、ライセンスを取れるようになっていたりするんですよ。もともと路上でよくやってた俺らに合ってるかなとは思ってたんです。
──イメージとのギャップはあったものの、実際に足を踏み入れてみたらロンドンはTarO&JirOに合っていたんですか?
JirO 結果論としてはロンドンでよかったんです。2013年の夏に1カ月くらいカリフォルニアに行って路上ライブをやったんですけど、みんながみんなパーティしてるみたいな陽気な空気感が合わなくて。
TarO 俺らの性格ってちょっとジメジメしていて、ひねくれてるんですよ。それが音楽性にも出てる。だから海外もそういう土地のほうが合ってたみたいで、今振り返るとロンドンで音楽がやれてよかったなって思ってます。
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- ニューアルバム「Piranha」 / 2014年12月10日発売 / IMPERIAL RECORDS
- 「Piranha」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3132円 / TECI-1425
- 通常盤 [CD] 2592円 / TECI-1426
CD収録曲
- Outbreak (instrumental)
- ツバメ返し -Black Heart-
- Piranha
- 時限爆音 -A Burning Fuse- (instrumental)
- つま先 -Chasms-
- 孤独の哀歌 -A Ballad Of A Desert-
- Cube
- 落下 -Fallout-
- Upside Down Baby
- Right There
- What A Bird's Ever Seen
- At The Platform
- The Last Train For Tomorrow
- ペロレラ・レボリューション -Pelorella Revolution-
- Snake Bite[Long Version](instrumental)
- Silent Siren[Piranha Version]
初回限定盤DVD収録内容
- Snake Bite~Silent Siren
- 涸れない水たまり~Once in a while
- Too dark to live
- ペロレラ・レボリューション
- Cube
TarO&JirO(タローアンドジロー)
実の兄弟であるTarOとJirOからなる2人組ロックデュオ。2本のアコースティックギターとキックドラムという編成でパフォーマンスを行う。2009年に音楽の幅を広げるためロンドンに渡り、2011年にはフランスで開催された「Japan Expo Sud」に出演。同じくフランスで行われたバンドのコンペティション「Tremplins Guitare en Scene 2011」で優勝を収めるなど海外で高く評価され、スイスの「Rock Oz' Arene 2011」など海外のライブイベントに多数出演する。2013年12月、ミニアルバム「Brothers Fight」をテイチクエンタテインメントよりリリースし、メジャーデビュー。同年夏には「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO」など国内のフェスにも出演し、その知名度を広めた。同年12月、1stフルアルバムとなる「Piranha」を発表した。