「3人が最高!」というメッセージ
──たぬきゅんにもお話をうかがいたいと思います。新曲「3☆3☆3☆サンシャイン」を受け取ったときはいかがでしたか?
たぬきゅん そうですねえ。今までの曲と違って、今回の曲は舞台のために作ってもらったものなんです。“3”がテーマの曲で、安藤紗々ちゃんが宗子ちゃんの台本を読んで作詞してくれたので、お芝居ありきで書かれています。そのまま聴いても超いい曲ですけど、ステージで聴くのが一番いいんじゃないでしょうか! ここだけの話、実はシナモエンジェルスちゃんとデュエットしてるんですよ。そのバージョンは配信しないんですけど、現場である形で買えるんですよ……。
──どういうことでしょう。
たぬきゅん ふふふ、実はカードにして販売するんです。現場に来たら聴けるバージョンがあるというのもこれまたレアですね。ぼくたちは環境問題を考えたうえで脱プラスチック=配信オンリーでリリースしてきたんです。なのでCDは出さないって決めてるんですけど、今回はカードという形でもリリースさせてもらいます。
──舞台のための音楽ということですが、根本さんから何かオファーはあったのでしょうか。
根本 みんなで歌う曲をリリースしたいというのはねむちゃんに聞いていて、そのうえで台本を書いたので、「3人が最高!」みたいなメッセージを歌う曲がいいと思う、というところまでは伝えて、あとはお任せです。
たぬきゅん テーマを考えたり、「こういうことが描かれているといいね」ということは言ってくれたりしました。
根本 「ふたりじゃ 持ちきれない おっきなにもつも さんにんだから かるがる」という歌詞がいいなと。
シナモエンジェルスにビビり散らかす
根本 「シナモエンジェルスにビビり散らかしてるたぬきゅんたち」というのも劇中で存分に描かれているので、そこも楽しんでいただけると思います。だからある意味、たぬきゅんたちの演技は素でいけたかもしれないね。
たぬきゅん 今回の「3☆3☆3☆サンシャイン」はぼくたちのデビュー曲を作詞・作曲してくれた安藤さん、KOUGAさんの最強タッグに作ってもらったので、たぬきゅんフレンズ的に間違いない組み合わせなんですよ。こだわりもすごかった!
根本 ステージ用の振り付けもあるので、それも華やかですよ。新曲お披露目の場で、サンリオピューロランドのステージングありきで観れるし、シナモエンジェルスもいるので。シナモエンジェルスがご挨拶程度じゃないというのは本当に伝えたいよね。
たぬきゅん ぼくは皆さんにしっかり伝える使命がありますよ。「シナモエンジェルスのセリフも歌唱もある!」、これです。最初のねむちゃんの身の上話とかいらないんで、こっちを載せてください。
──そっちの話も必要ですよ!
たぬきゅん オタクの私利私欲みたいに思われたらイヤじゃん。そこはうまいことやってよ。少しあっさりめにしてさ。
──インタビュアーに書き方を指示するキャラクターはなかなかいないですよ(笑)。
たぬきゅん でも、そこの思いが強いと引いちゃう人もいるからさあ。そのバランスが難しいんだよ。
根本 しっかりしてる(笑)。でもさ、この舞台はモカちゃんとたぬきゅんのダブル主演みたいなお話でもあるよね。
たぬきゅん 言ったね? ダブル主演っていうのはしっかり書いて!
根本 そう思ったうえで芝居を観たらしっくりくると思う。
たぬきゅん そこまで言ってくれるんですか!
根本 それに、超初歩的なところで言うと、キャラクターがキャラクターの推し活動をしているというストーリーがねむちゃんらしいですよね(笑)。そのアイデアをまるまる生かして書いていて、それぞれに推しがいることが劇中でも役に立っています。
たぬフレで名曲をカバーしたい
──歌詞に「夢 そりゃもう たーっくさん あるね」とありますが、夢について聞かせてもらっていいですか?
たぬきゅん 我々には夢があるんだよね?
根本 そうそう。イベント的にサクッとやるショーはけっこうあると思うんですけど、この舞台はサンリオピューロランドもびっくりするくらい作り込んでいるので、もし好評だったら夏休みとか冬休みとかの恒例演目に食い込ませたいです。一度作ったらいくらでもできるので。
──それはいいですね! 半常設みたいな感じで。
たぬきゅん なんなら全員人間でやってもいいし。
根本 上演会場のフェアリーランドシアターでは、サンリオのキャラクターだけでなく、俳優の方々が主演をやったりもしてるしね。2.5次元の登竜門的な演目にもなっているし、それってすごいよね。
たぬきゅん ぼくこそが真の2.5だからね! いや、3次元か? ……すみません、たぬきゅんは3次元でした。
──(笑)。音楽活動における夢はありますか?
たぬきゅん フェスはやりたいと思ってます。プロデューサーとしては?
夢眠 アルバムはいつか出したいというのはあるんですけど、配信メインだしもうプレイリストでよくない?という気持ちもあるんですよね。
根本 けっこうなハイペースで出してるよね。
夢眠 やるならちゃんと出さなきゃいけないと思っていて。「春! 夏! 秋! 冬!」みたいな感じで。
──完全にアイドル時代のリリーススパンの名残が。
夢眠 麻痺した感覚が出てしまっていた(笑)。でも、ファンの方は喜んでくれるので。がっつりとはいかなくてもちょこちょこ新曲は出していきたいと思っていたんです。今回は単なる新曲以上にもっと大きなもので、この舞台自体がアルバムレベルに充実した作品だと思ってます。あとはなんだろうな……もうちょっとふざけた曲を出したいです。
──これまでの曲はメッセージソングが多いですよね。
夢眠 メッセージ性が強いんですよね。みんなが感動して泣いてくれるのもうれしいんですけど、もっとおちゃらけた感じの曲もやってみたいです。舞台バージョンではシナモエンジェルスさんも参加してくれたので、3人組とのコラボはこれからも積極的にやってみたいですね。スチャダラパーさんとか。たぬきゅんフレンズで名曲のカバーもやりたいんですよね。いろいろ考えてます。
──たしかにスチャダラパーとのコラボは想像できてしまう(笑)。夢が膨らみますね。
根本 音楽の話で言うと、劇中で歌う曲数はお客さんが想像するより多いと思います。
──ミュージカルの要素もある?
根本 音楽劇と呼べるものになったと思います。既存の曲を演劇に中に入れて使うのを“ジュークボックス・ミュージカル”というんですけど、以前GANG PARADEと組んだときはGANG PARADEの曲だけでミュージカル(2019年上演「プレイハウス」。参照:GANG PARADE初ミュージカル「プレイハウス」開幕、メンバーそれぞれ思い語る)を作って。その意味では今までやってきたことが生かされているし、人間だと「歌が始まりまーす!」みたいになるとちょっと寒いときがあるけど、今回はキャラクターがやることによって、割り切って見せられるのが面白いというか。たぬきゅんフレンズがオーディションに挑戦するという設定がうまく作用して、みんなが次々と歌うシーンを自然とやれてると思います。
たぬきゅん あとは、キャラクター同士って対等に描かれることが多いと思うんですよ。横一列で仲よし、みたいな。
根本 今回それは全然ないね(笑)。
たぬきゅん ぼくたちはこの前、ガチャピンさんとムックさんにお会いしたんですけど、恐縮です……みたいな感じで手土産持っていったりしました。お相手は気さくに優しく接してくださるんですけど、ぼくたち的には憧れの先輩なので、そこは謙虚にやっていきたいなと。シナモエンジェルスさんなんてご一緒できるだけですみませんみたいな感じなんですよ! オファーを受けてくださるサンリオピューロランドさんは本当に優しいんですよね。
根本が初めて書いた3人組のいい話
──関わる皆さんの思いが相当なものだというのがわかりました。
根本 そうですね。気合いが入っています。すごく普遍的な話だと思うんですけど、3人組って仲よくするのが難しいじゃないですか。誰かが悪口を言って2対1になるのを繰り返す、というテーマはこれまでもずっと書いてきて。物語を書くうえで“3”という数字は好きなんですよね。でも、揉める話ばっかり書いてきたので、今回初めて3人のいい話を書けました(笑)。
たぬきゅん 普段の学校とか会社とかで、3人組で悩んでる人は観てほしいですね! 響くと思います!
根本 3人組で悩んでる人ってどれくらいいるんだろう(笑)。
たぬきゅん けっこういると思うよ! とにかく、普段から年間パスポートでサンリオピューロランドに通ってるお兄さんお姉さん方もひと味違うものが観られるので来てほしいです。そして、あわよくばたぬフレのファンクラブに入ってほしいです。無料のでいいから。有料だとよりうれしい。
根本 ここで急に告知?(笑)
たぬきゅん 宗子ちゃんもしなよ。
根本 私も4月からファンクラブができたので、あわよくば入ってもらえたら(笑)。
たぬきゅん 入ったほうがいいよ! 安いし、1カ月で辞めてもいいんだから……辞めないでー!
──情緒が忙しい人になってますよ! たぬきゅんが入ると途端にコミカルになりますね(笑)。このあたりでそろそろ締めたいと思います。
根本 そういえば私、4月に初めて小説(「今、出来る、精一杯。」)を刊行するんですけど、その直後の舞台がこれになるんです。
夢眠 それはブランディング的に大丈夫なの?(笑)
根本 本を出したら硬派なものをやりそうなのに、っていうね(笑)。その振り幅を見てほしいです。普段のお芝居だと子供に見せるには刺激的なときもあるので、「サンリオピューロランドでやります」と発表したとき、「子供に見せても大丈夫なの?」というリプがけっこうきたんですけど、今回は全然大丈夫ですので。
夢眠 対象は全年齢だよね。あとは「舞台自体は1時間以内だから遠征民も帰れるよ」って書いておいてください……って、インタビューを掲示板みたいに使ってすみません!
根本 だんだんこっちの要望の箇条書きになっていくという(笑)。テーマパークとお芝居のチケットがセットになっているので、全部楽しめるのもいいですよね。
──根本作品のファン、たぬきゅんのファン、サンリオのファンも楽しめるわけですね。
夢眠 令和にシナモエンジェルスが観れるのはすごいことだし、たぬきゅんたちを身内だからこそほったらかしにしちゃいましたけど、たぬきゅんたちもめちゃくちゃよいですので! たぬきゅんフレンズはいいですよ。不祥事とかもありませんから……TOY'S FACTORYに「人間の時代は終わりです」とプレゼンしてパートナーシップ契約を結んでもらったので(笑)(参照:たぬきゅんフレンズ、キャラクター初のトイズファクトリーとのパートナシップ締結)。
根本 不祥事はないかもしれないけど、お芝居の中では普段観れないようなちょっとギスギスしたところもあるよね。
夢眠 人間味があるんだよね。本当に面白いことになると思うので、見逃さないでほしいです。
イベント情報
根本宗子 presents 「たぬきゅんフレンズ、レッツオーディション!~3人組は波乱万丈!?~」
- 2022年5月14日(土)東京都 サンリオピューロランド 1階 フェアリーランドシアター
- 2022年5月15日(日)東京都 サンリオピューロランド 1階 フェアリーランドシアター
- 2022年5月21日(土)東京都 サンリオピューロランド 1階 フェアリーランドシアター
- 2022年5月22日(日)東京都 サンリオピューロランド 1階 フェアリーランドシアター
<出演者>
たぬきゅんフレンズ / シナモエンジェルス / 椙山さと美 / 尾崎桃子 / ゆっきゅん / 杏優(太郎物語) / 果音(太郎物語)
プロフィール
たぬきゅんフレンズ
たぬきゅんが「人気者になりたい」という夢を叶えるため、友人のラビやんとコアラさんを誘って2020年に結成した“イケメンアイドルユニット”。2020年7月に「ラブだよ、フレンズ!」、12月に「ぼくらのホリデー」を配信リリースした。2021年4月にあっとほぉーむカフェとコラボした「ピュアきゅんハートで萌え萌えきゅん♡」を配信リリースし、7月にはTOY'S FACTORYとパートナーシップを結んだ。2022年5月には主演舞台「根本宗子 presents 『たぬきゅんフレンズ、レッツオーディション!~3人組は波乱万丈!?~』」が開催され、同月にそのテーマソング「3☆3☆3☆サンシャイン」を配信リリース。
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夢眠ねむ(ユメミネム)
書店店主、キャラクタープロデューサー。2009年に女性アイドルユニット・でんぱ組.incに加入し、グループ活動のかたわら、映像制作やコラム執筆、作詞を行うなど多方面で活躍した。2019年1月に東京・日本武道館で行われたでんぱ組.incの単独公演をもってグループを卒業し、3月には芸能界も引退。2019年7月にはかねてから目標としていた、自身の名前を冠した実店舗の書店「夢眠書店」を東京・下北沢にオープンさせた。書店経営と並行してミントグリーンのタヌキ・たぬきゅんと、その仲間たちによるユニット・たぬきゅんフレンズをプロデュースしている。
根本宗子(ネモトシュウコ)
1989年生まれ、東京都出身。19歳で劇団・月刊「根本宗子」を旗揚げ。以降、劇団公演では全作品の作・演出を手がけており、俳優として外部への客演も多数。2015年の「夏果て幸せの果て」、2018年の「愛犬ポリーの死、そして家族の話」、2019年の「クラッシャー女中」が、それぞれ岸田國士戯曲賞最終候補作品に選出された。2020年に実施された「TOHO MUSICAL LAB.」で「Happily Ever After」の脚本および演出を担当。同年11月に月刊「根本宗子」の新作「もっとも大いなる愛へ」が無観客上演・生配信された。2021年10月には演出に専念するため、自身の俳優活動を終了。2022年5月に脚本および演出を手がける舞台「根本宗子 presents 『たぬきゅんフレンズ、レッツオーディション!~3人組は波乱万丈!?~』」が上演される。