Tani Yuukiの1stアルバム「Memories」が待望のCD化、思い出とともに届けるまっすぐな気持ち (2/2)

CDへの憧れ

──国民的アーティストを目指す意味では、アルバムがフィジカルでリリースされるのも大きな意味を持つような気がしますね。昨年末に配信リリースされた1stアルバム「Memories」のCD盤が、4月6日にタワーレコードで発売されました。

正直、以前の僕は「CDはいらないんじゃない?」と思ってたこともあったんですよ。プレーヤーも持ってなかったので。ただ、一方では両親がCDを聴いていたので、そこへの憧れもあった。しかも「Memories」を配信リリースしたときに、「CDでも欲しい」と言ってくれるファンの方がすごく多かったので、当初は受注生産でCD販売していたんですよね。で、今回ついにタワーレコードさんに置いていただけることになって。

──CDを手に取ってくれる人はTani Yuukiというアーティスト自体にも興味を持ってくれていることは間違いないですよね。

そうですね。僕の深い部分まで知りたいと思ってくれる方たちなんじゃないかな。1曲ずつ、じっくり細かく聴いてもらえたらうれしいですよね。最近はサブスクで1曲単位で聴けてしまうじゃないですか。でも、アルバム単位でしか表現できないこともあるんだなって、この作品を作っていく中で強く感じるようになりました。

Tani Yuuki

──1枚を通してストーリーが作れますからね。それこそ先ほどお話に出た「Life is beautiful」は「Myra」の次にリリースされたからサウンド感の違いにビックリしましたけど、アルバムでは最高のエンディングを担う曲になっていて。楽曲自体の聞こえ方も違ってくる。

そうそう。ラスト以外どこに入れるんだってくらいハマってますよね(笑)。楽曲を並べ替えて自分なりのプレイリストを作ってくれるのもすごくうれしいんですよ。「あ、こんな正解もあるんだな」と思わせてもらえるから。でも、まずは1度、CDの曲順で楽しんで聴いてもらえたらうれしいですね。

──収録されている14曲はTaniさんにとってどんな曲たちですか?

僕は自分の経験をもとに曲を作っているので、ここに収録されている曲たちは僕に関わってくれたいろんな人との思い出なんです。そういう意味でアルバムタイトルを「Memories」にしたんですけど。あとは、僕の中にあるいろんな個性が出た14曲でもあるなと思っていて。よくも悪くもちぐはぐでバラバラなアルバムだなと。ただ、曲のバリエーションが増えたことで、ライブのセットリストは組みやすくなったと思いますね。ある意味、ワンマンライブを1本観てもらったような、そんなアルバムでもあるんじゃないかな。

──音楽性の多彩さは武器であり、大きな魅力ですよね。

そう言っていただけることが多いので、そこはこれからも生かしていきたいところです。

Tani Yuuki
Tani Yuuki

Tani Yuukiの曲はなぜ共感を呼ぶ?

──アルバムには「Myra」を筆頭にさまざまなタイプのラブソングが収録されていて。多くの中高生が共感を抱くラブソングの書き方にご自身なりの流儀ってあります?

えー、どうだろうなあ。僕は中学時代に学校へあまり行けていなかったので、恋愛をするようになったのがけっこう遅くて。だから、恋愛というのは偉大なものなんだという気持ちがある。大事な人がいてくれるだけでがんばれる、みたいなわりと単純な思考というか。なので、ハッピーなラブソングに関してはそういう部分が強く出ていることが多いのかもしれない。とは言え、あまり恋愛がうまくいった経験もないので、だいぶ失恋ソングが多かったりもするんですけど(笑)。

──ワード選びで大事にしていることはありますか?

大事にしてることで言うと、曲にもよりけりではありますけど、話し言葉で書くということですかね。例えば「W/X/Y」は身近な関係の2人にしかわからない日常の温かさを描きたかったので、“です”“ます”ではなく、距離感の近い言葉遣い、言い回しを意識しました。あと、わりと自分の経験や、そこで感じた思いをそのまま書こうとはしていますね。フィクションで書いてしまうと、自分の口から出るときの重みが少し変わってしまうような気がするので。

──同音異義語を並べたり、韻を踏んだりという言葉遊びを随所に盛り込みながらも、書き方としてはすごくストレートな印象がありますよね。比喩や暗喩があまり使われないイメージがある。だからこそ聴き手に伝わりやすく、共感を生みやすいんだと思います。

ありがとうございます。そこは性格かもしれないですね。自分で言うとナルシストっぽいですけど、嘘をつくのが苦手なまっすぐな性格なので(笑)。比喩に関しては、RADWIMPSの野田(洋次郎)さんの曲が大好きなので、使ってみたい気持ちはあります。でも、曲を作っているときに比喩を使うか、それとも韻が踏めるまっすぐなワードにするかで迷ったら、間違いなく僕は後者を選ぶ。比喩を使っても気持ちいい耳障りが出せたらいいんですけどねえ。現状、あんまり出てくることがないです(笑)。

母から鼻歌のダメ出し

──アルバムを聴かせていただくと、その圧倒的なボーカリゼーションが大きな魅力になっていることを改めて感じます。ご自身の歌に関してはどう感じていますか?

音楽活動を続けてきた中で表現力は徐々に上がってはいると思うんですけど、現状はまだまだだと自分では思ってますね。もっと磨いていかないと。声質に関しては、自分にとっての大きな武器になっているなという自覚はあります。弾き語りのカバー動画を投稿していたときに自分の歌とじっくり向き合ってきたので、そこで自分なりに心地いい部分を見つけられたんじゃないかな。歌い方の面で影響されたのは絢香さんかもしれないです。

──以前、YouTubeで展開されている企画「Re:tter」で共演されていましたよね。

はい。実際、隣で聴いた絢香さんの歌は深みがものすごくって。自分の歌の薄っぺらさに衝撃を覚えました(笑)。さっきも言いましたけど、うちの母が絢香さんの大ファンなので、僕が実家のお風呂で絢香さんの歌を鼻歌で歌ってると、「全然違うでしょ。絢香さんはここをスッと抜いて歌うんだよ」とかめちゃくちゃ言ってくるんですよ。「いやいや、鼻歌でそんなに口出されたくないよ」みたいな(笑)。

──お母さんに鍛えられたところがあったのかもしれないですね(笑)。

そうなのかなー(笑)。まあでも、絢香さんの歌声は自分にとって今も大きな目標であることは間違いないです。

──3月にはUQ mobile「UQ応援割」のWeb限定CMのタイアップソング「自分自信」の配信もスタートしましたね。春にマッチする応援ソングです。

まさしく今の季節のために書いた楽曲です。「応援」「卒業」といったテーマをいただいたので、自分の学生時代を思い返しながら作っていきました。夢を持った人を応援する曲は世の中にたくさんあるので、この曲では夢をまだ持てていない人の背中を押してあげられたらいいなと。学生に限らず、新社会人として新たに旅立つ人もいるだろうし、夢を見つけるために一歩を踏み出す人もいると思うので、そういったいろんな人たちに届くように気持ちを込めて歌ったので、聴いてもらえたらうれしいですね。

──「自分自信」の歌詞には「僕の未来図」というフレーズが出てきます。最後に、今思い描いている“Taniさんの未来図”を教えてください。

ドーム級のアーティストになることが現状、一番遠くに置いている目標ですね。そのために少しずつ自分のアーティストとしてのレベルを上げて、ライブ会場の規模もどんどん上げていきたいと思っています。あとはアニメやドラマ、映画のテーマソングを手がけたい気持ちも強いですね。特に僕はアニメが好きなので主題歌はぜひやってみたい。最近観たアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のオープニングがマカロニえんぴつさんの曲(「生きるをする」)で、それがめちゃくちゃよかったんですよ! 僕はドラクエも大好きなので、こういうふうに任せてもらえたら最高だなと思って。「次はぜひTani Yuukiに」……って、最近いろんなところで言うようにしてます。言うのはタダなんで(笑)。

Tani Yuuki

イベント情報

Tani Yuuki「Memories」発売記念インストアイベント

2022年5月5日(木・祝)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO


「Tani Yuuki Presents "LIVE LOTUS"」

  • 2022年4月23日(土)東京都 Spotify O-WEST
    <出演者> Tani Yuuki / 映秀。 / おいしくるメロンパン
  • 2022年5月20日(金)東京都 Spotify O-WEST
    <出演者> Tani Yuuki / Anly / meiyo

プロフィール

Tani Yuuki(タニユウキ)

1998年生まれ、神奈川県茅ヶ崎出身。2020年5月にTikTokに投稿した楽曲「Myra」がティーンを中心に支持を集め、累計1億ストリーミング再生を突破。その優しく切ない歌声と、恋愛に思い悩む日常を描いた歌詞がSNSで大きな人気を集めている。2021年12月に自身初のアルバム「Memories」を配信リリースし、2022年4月にはタワーレコード限定でCD盤を発表した。