たんこぶちんが劇中の楽曲を手がけた映画「二度めの夏、二度と会えない君」が9月1日に公開。あわせて、本作の劇中歌集「二度めの夏、二度と会えない君 feat.Primember」がリリースされた。
「二度めの夏、二度と会えない君」は赤城大空による同名ライトノベルの実写化作品。たんこぶちんのMADOKA(Vo, G)演じる不治の病を患う転校生・森山燐と、村上虹郎演じる彼女に恋心を抱く男子高校生・篠原智がバンドを組むことからストーリーが始まり、タイムリープを体験した智がひと夏をやり直そうと奮闘する姿が描かれる。
音楽ナタリーでは今回、たんこぶちんメンバー全員にインタビューを実施。「バンドの歩みを振り返ることができた」と言う劇中歌のレコーディングについて、そして結成10周年を迎えてもなお、日々刺激を与え合っていると言うメンバー5人の関係性について語ってもらった。
取材・文 / 大橋千夏 撮影 / moco.(kilioffice)
緊張と不安を抱えて挑んだ劇中歌集
──今回は映画の劇中歌集ということで、たんこぶちんの作品としては特殊なものになりましたね。映画の世界観に寄り添った作品であるということだけでなく、収録曲はほぼすべて、劇中バンド・Primemberの編成に合わせてギター、ベース、ドラムのシンプルな構成で演奏されています。
YURI(G) 3人編成でのレコーディングはすごく新鮮でした。いつもはMADOKAがバッキングギター、私がリードギターを弾いているんですけど、今回は私1人だからすごく緊張して。
NODOKA(B) 映画の劇中歌や主題歌を担当すること自体初めてだったので、私も最初は不安でした。劇中では高校生役の子たちが演奏することもわかってたし、「その雰囲気にあった音を奏でることができるのかな」って。
MADOKA(Vo, G) 「遠距離恋愛爆撃ミサイル」とか「さよなら監獄教室」とか、原作にも出てくる劇中歌はインパクトの強いタイトルが多かったので「どんな曲になるんだろう」と思っていたんです。でも、改めて完成したものを聴くとどの曲もいい意味でパンチがあるし、耳に残るキャッチーさもあって。アルバムを通して夏を感じられる、「ニドナツ」にぴったりの1枚になったと思います。
NODOKA うん。ちゃんと学生たちの持つ勢いみたいなものも感じられて、なおかつ夏の切なさも出ていると言うか。手応えのある作品になりました。
過酷なレコーディングで表現できた疾走感
──NODOKAさんがおっしゃった通りPrimemberは高校生のバンドなので、皆さんの演奏にも初めてバンドを組んだときのワクワク感や多少の粗っぽさが求められたのではないかと思います。でも結成10周年を迎えたたんこぶちんがいつも通りレコーディングしたら、それはプロの音になってしまいますよね。
MADOKA そうなんですよね。私たちの初ライブとなると小学生時代までさかのぼってしまうんですけど(笑)、今回のレコーディングはそんな初期の頃を振り返るいいきっかけにもなりました。みんなで一斉に音を出して「うわー、こんな音出るんだ!」みたいな、当時の新鮮な気持ちを思い出して。あとはPrimemberらしい音を作るために、自分たちもちょっとなりきると言うか。私自身、劇中歌はすべて、映画で演じた森山燐として歌いました。バンドの演奏もシンプルだし、きっと聴いた人にもワクワク感が伝わるんじゃないかなと思います。
HONOKA(Dr) 私たちは高校3年生のときにメジャーデビューしたんですけど、デビュー後も自分たちでスタジオに集まって練習していたので、そういう部分はPrimemberと同じで。当時の気持ちとかもレコーディングに生かせたのかな。
YURI でも今回、1日に5曲も録ったんですよ。それが過酷で!(笑)
MADOKA しんどかったね。
YURI そういう意味でも疾走感と言うか、必死感は表現できたかもしれないです。前に前につんのめっていくような(笑)。でもみんな原作は読んでいたし曲に対する思いは1つだったので、短い時間にぎゅっと集中してレコーディングできました。
HONOKA 3人でブースに入って一発録りでね。1曲1曲、「よし、やるぞ!」って気合いを入れてやりました。
YURI 個人的にも今回のレコーディングで学んだことがたくさんあるんです。今までおざなりにしていたわけじゃないですけど、コードチェンジのタイミングとか、コードからアルペジオにいくタイミングとか、1つの曲の中でのテンション感について改めて考えてさせられて。今回学んだことを生かして、いつかMADOKAがピンボーカルで歌う曲も作れたらいいなと思います。
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- 映画「二度めの夏、二度と会えない君」
- 2017年9月1日(金)全国ロードショー
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- ストーリー
- 転校生・森山燐と、彼女に恋心を抱く男子高校生・篠原智。
「バンドを組んで文化祭で演奏する」という燐の夢を叶えるためメンバーを集めて奮闘する智だったが、燐にはある秘密があった。
- 監督:中西健二
- 脚本:長谷川康夫
- 原作:赤城大空「二度めの夏、二度と会えない君」(小学館「ガガガ文庫」刊)
キャスト
村上虹郎 / 吉田円佳 / 加藤玲奈 / 金城茉奈 / 山田裕貴 / 本上まなみ / 菊池亜希子
- たんこぶちん「二度めの夏、二度と会えない君 feat.Primember」
- 2017年8月30日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
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TYPE-A [CD]
1500円 / YCCW-10309 -
TYPE-B [CD]
2300円 / YCCW-10310 -
TYPE-C [CD+DVD]
2500円 / YCCW-10311/B
- TYPE-A、TYPE-C CD収録曲
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- 遠距離恋愛爆撃ミサイル(Movie version)
- さよなら監獄教室
- TIME
- グライダー
- 蝉時雨ライダーズ
- 夏のおわりに
- 遠距離恋愛爆撃ミサイル
- TYPE-B CD収録曲
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- 遠距離恋愛爆撃ミサイル(Movie version)
- さよなら監獄教室
- TIME
- グライダー
- 蝉時雨ライダーズ
- 夏のおわりに
- 遠距離恋愛爆撃ミサイル(燐&智 version)
- さよなら監獄教室(燐&智 version)
- TIME(Instrumental)
- グライダー(Instrumental)
- 蝉時雨ライダーズ(Instrumental)
- 夏のおわりに(Instrumental)
- 遠距離恋愛爆撃ミサイル
- TYPE-C付属DVD収録内容
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- 夏のおわりに music clip
- 遠距離恋愛爆撃ミサイル music clip
- 映画「二度めの夏、二度と会えない君」予告編
- 映画「二度めの夏、二度と会えない君」メイキング
- 蝉時雨ライダーズ music clip performed by Primember
- バンドスコア「たんこぶちん 二度めの夏、二度と会えない君 feat.Primember」
- 2017年8月27日発売 / ヤマハミュージックメディア
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[バンドスコア] 2700円
- たんこぶちん
- 2007年、MADOKA(G, Vo)、YURI(G)、CHIHARU(Key)、NODOKA(B)、HONOKA(Dr)らが佐賀県唐津市で結成したガールズバンド。九州を中心にライブ活動を行うかたわら、ヤマハ主催「Music Revolution」など、さまざまな音楽コンテストで各賞を受賞する。2008年には唐津と姉妹都市提携を結んでいる韓国・麗水市との交流イベント「麗水市国際青年祝祭」や、2013年には「ARABAKI ROCK FEST.13」、「ROCK IN JAPAN FES.2013」にも登場。さらに2008年放送の「M PRESENTS 全力!Tunes」(日本テレビ系)や、2012年の「AKBINGO! サマースペシャル ! 全力バンド選手権」(同)に出演し、MADOKAがGoogleのCMキャラクターに選ばれるなど各方面にその名を轟かせ、2013年7月「ドレミFUN LIFE」でメジャーデビュー。2014年1月には初のフルアルバム「TANCOBUCHIN」を発表する。以降もリリースを重ね、2015年1月に2ndアルバム「「TANCOBUCHIN vol.2」、8月に3rdアルバム「TANCOBUCHIN vol.3」、2016年2月に「TANCOBUCHIN vol.4」をそれぞれ発売。2017年2月にはMADOKAの映画初出演作となる「二度めの夏、二度と会えない君」の劇中歌を表題曲に据えたシングル「遠距離恋愛爆撃ミサイル」を発表する。さらに同作の劇中歌集「二度めの夏、二度と会えない君 feat.Primember」を8月にリリースした。