ナタリー PowerPush - たんこぶちん
女子高生を“ロック”に変えた“ひと夏の経験”
佐賀県唐津市在住の女子高生バンド、たんこぶちんの2ndシングル「シアワセタランチュラ」がリリースされた。
7月リリースのデビューシングル「ドレミFUN LIFE」でポップな歌詞とメロディ、多彩なアレンジを聴かせた彼女たちだが、今作「シアワセタランチュラ」では一転。大塚利恵による歌詞、鎌田雅人によるメロディ・アレンジともにかわいらしさをたたえつつも、よりロック色を強調。いずれの楽曲もデコレーションを極力排したシンプルなアンサンブルで各メンバーの実力を見せつけるかのような内容に仕上がっている。
デビューから3カ月、彼女たちはプロのアーティストとしてどんな日々を過ごし、どんな思いで本作を作り上げたのか。ついにたんこぶちんの本領発揮となった本作について聞くと同時に、女子高生兼アーティストとしての日々をたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 成松哲 撮影 / 上山陽介
大型フェス出演でライブに対する意識が変化
──デビューから3カ月経ちましたけど、状況や環境に変化ってありました?
MADOKA(Vo, G) 大人の人とお会いすることが多くなりました。
──そうか。メジャーデビューするって、ある意味社会人になるってことですもんね。
YURI(G) あと応援してくれる人も増えて。学校でも先生だったり友達だったりとかが「CD買ったよ」とか「サイン書いて」とか言ってくれたりして。
──自分自身の変化は?
MADOKA ライブに対する意識が変わったなって思ってます。
──どう変わりました?
MADOKA なんて言うんだろう。前までは自分たちがライブを楽しめればそれでよかったんですけど、夏フェスとかに呼んでもらうようになって、お客さんを盛り上げるにはどうしたらいいんだろう? どういうふうにしたら自分たちとお客さんが一緒に楽しめるかなあ?っていうことを考えるようになりました。
CHIHARU(Key) デビューしたってことは周りから見たら一応プロとしての目で見られるわけで。その人たちの前で中途半端な演奏しないように練習してます。リハーサルでもライブでやる曲を単に順番通りに演奏するだけじゃなくて、ちゃんとキメポーズとか動きも合わせてみたりして。
HONOKA(Dr) ステージが終わったあとの反省をちゃんとするようになったりとか。リハーサルのときも録音しておいて、あとから聴いて悪いところを見つけるようにしてみたり。これまでもそういうことはやってたんですけど、今はその頃以上に細かい部分までチェックするようになりました。
──フェスに出たことでなんでそういう心境の変化が起きたんだと思います?
MADOKA ほかのアーティストさんのライブとか観てると、ステージから何かを言ったら「イエーイッ!」みたいなことを返してくれるじゃないですか、お客さんが。……あれ、なんて言うんだっけ?
──コールアンドレスポンス?
MADOKA それだっ!(笑) 私たちはそういうのをやったことがないので。でも私たちの曲、例えば「ドレミFUN LIFE」なんかにも「大成功!」っていうかけ声があったり、そういう曲も多いんで、フェスで観たバンドさんみたいにお客さんと一緒に歌えたらうれしいな、と思って。
私たち、ちょっと目覚めたのかも(笑)
──今回リリースする2ndシングル「シアワセタランチュラ」の表題曲ってデビュー曲の「ドレミFUN LIFE」とはちょっと路線が違いますよね。
MADOKA だいぶギャップがあると思います(笑)。
──それこそフェスやライブを意識したのか、「ドレミFUN LIFE」よりもストロングスタイル。派手なアレンジは施さず、皆さんのプレイやアンサンブルをストレートにガッチリ聴かせる作りになってます。
MADOKA はい。「ドレミ~」は自分たちにしてみたらちょっと新しい音だったんですけど、「シアワセ~」は自分たちっぽいなと思ってます。
──インディーズ時代のたんこぶちんに近い、いわゆるロックンロールっぽいサウンドに寄せてますよね。しかも当時よりもはるかにテクニカルになっている印象を受けました。
MADOKA えへへへへ(笑)。レコーディングやライブを重ねていったことでちょっと演奏が変わってきた感じはしてます。
CHIHARU 目覚めたのかも(笑)。
──「私ちょっと上手くなってるかも」みたいな自覚ってあります?
YURI 上手くなったとは思わないけど、「シアワセ~」の作曲と編曲をしてくださった鎌田(雅人)さんが「ドレミ~」の頃よりもちょっと難しいフレーズとかを増やしてたので、それを繰り返し練習したりしているうちに成長できた気はします。オクターブ奏法なんかが入ってたりとか、あとチョーキングが多かったり、けっこう新しいことをやってるので。ギターソロは全部チョーキングだし、2番のAメロとかBメロでも使ってたりとか、聴かせどころかなって。
収録曲
- シアワセタランチュラ
- TABOO
- ヒカリ
- シアワセタランチュラ(Instrumental)
- TABOO(Instrumental)
- ヒカリ(Instrumental)
たんこぶちん
2007年、MADOKA(Vo, G)、YURI(G)、CHIHARU(Key)、NODOKA(B)、HONOKA(Dr)らが小学校の課外活動の一環として佐賀県唐津市で結成したガールズバンド。九州を中心にライブ活動を行うかたわら、ヤマハ主催の「Music Revolution」など、さまざまな音楽コンテストで各賞を受賞する。2008年には唐津と姉妹都市提携を結んでいる韓国・麗水市との交流イベント「麗水市国際青年祝祭」や、2013年には「ARABAKI ROCK FEST.13」、「ROCK IN JAPAN FES.2013」にも登場。さらに2008年放送の「M PRESENTS 全力!Tunes」(日本テレビ系)や、2012年の「AKBINGO! サマースペシャル ! 全力バンド選手権」(同)に出演し、MADOKAがGoogleのCMキャラクターに選ばれるなど、各方面にその名を轟かせ、2013年7月「ドレミFUN LIFE」でメジャーデビュー。10月には2ndシングル「シアワセタランチュラ」をリリースした。