ジャケットにも意味を持たせたくて

──吉田ユニさんが手がけた「しんぱい」のパッケージですが、これめちゃくちゃ面白いですね！

たむらぱん　でしょ？（笑）

──スリーブケースをスライドさせると、たむらさんの口が開いたり閉じたりするっていう。読んでる人は何のことかわからないかもしれないけど、ぜひ手にとってみてほしいですよね。こんなパッケージ見たことないし、ずっと遊んでたい（笑）。

たむらぱん　すごいですよね。角度によってはずっと私の口が開きっ放しになってたり（笑）。

吉田ユニ　（CDショップの）店頭でも開いたままになってるかも（笑）。

たむらぱん　最初に見たときから「いい！」って思ったんですよね。

吉田ユニ　この構造自体は昔からあるものなんですけどね。

たむらぱん　（口を）“開けさせられてる感”もいいですよねえ。

──吉田さんは、どこからこのデザインを思いついたんですか？

吉田ユニ　今回の「しんぱい」という曲が、コミュニケーションや、人と人とのつながりをテーマにしているということだったので、まず（CDジャケットは）素直な正面の写真がいいなって思ったんですね。そこにたむらぱんさんらしい遊び心を入れたいと思ったときに、口をパクパクさせるのはどうだろうって。

たむらぱん　「伝える」っていうテーマが明確に出てますよね。笑えるし（笑）。しかもシングルで。

──確かに、シングルのパッケージにここまで凝る人はなかなかいないですよね。ちゃんと“モノ”にする意味があるというか。

たむらぱん　そうなんですよ！ ジャケットにも意味を持たせたい、っていうのはずっと思ってきたことなんで。

吉田ユニ　「手にとってもらって自分の家に置いておきたくなるようなものを」というのをいつも心がけて作っているんです。作品を見てくれた人が「うれしい」とか「楽しい」っていう気持ちになってくれたら、やっぱりすごくうれしいので。

会う前はちょっと怖い人かもって思ってた

──順を追って訊きたいのですが、吉田さんはたむらぱんさんの音楽については、どんな印象を持ってました？

吉田ユニ　今回のお話があるまではなんとなく知ってるくらいで、そんなに深く曲を聴いたことがなかったんです。でもじっくり聴いてみるとすごく良くて。曲の幅広さがすごいなってビックリしましたね。これ、ホントに同じ人が作ってるのかな？って思うくらい。

──たむらぱんさんはどうでした？ 吉田ユニさんは今もっとも注目されてる気鋭のアートディレクターですけども。

たむらぱん　そうなんですよ。

吉田ユニ　いえいえ、そんな。

たむらぱん　もちろんお名前は知ってましたから、今回のアートディレクター候補に吉田さんのお名前が挙がったときも「出た！ 知ってる、この人！」って。逆にちょっと怖いなって思うところもあったんですけどね（笑）。すごいゴリ押しするような人だったらどうしよう、とか。

吉田ユニ　「怖い人だと思ってた」ってよく言われるんですよ。あと「もっと大きい人かと思った」とか。

たむらぱん　「大きい人」っていうのはよくわかんないけど（笑）。まあ、気鋭の“鋭”っていう字がもう……。

──“鋭い”ですからね（笑）。

たむらぱん　そうそう（笑）。でも全然ゴリ押しとかはなくて良かったです。