ナタリー PowerPush - たむらぱん
ミュージシャンとして開眼!? 3rdアルバム「ナクナイ」リリース
自分の曲はいつも疑問を残して終わってる
──で、いちばんすごいのが「とんだって」の「何の為に僕ら飛びたかったのだろう 何の為に富みたかったのだろう」で。これはもう……。
一番遠くまで投げてみた、って感じですね(笑)。
──ほとんど人類の根本的な問題にまで踏み込んじゃってますが。こういうことも普段友達と話してたりするんですか?
いや、しますよ。しますし、最後は「もうホントにキリがないから、この話やめよう。怖い」ってなるんですけど(笑)。
──なるほど。
自分の曲って、いつも疑問を残して終わってるところがあると思うんですよ。その疑問を考えることや、叶わない思いに向かって進んでいく労力、行動によって世の中が回ってるんじゃないかなって。それを奮い起こさせることが、自分が音楽を通してやろうとしてることなのかも。もうひとつ思ってるのは、人に対して決め事を作っちゃダメだなってことなんです。「この人はこうだな」って決めちゃうと、それとは違うことが起こったときにヘコんだりするじゃないですか。
──そうですね。
やっぱり、全部自分に返ってくるんですよね。こういう話ってちょっと寂しい気もするけど、それも含めてポジティブに捉えちゃえばいいと思うので。
kyOnさんと一緒にやったことで光が見えた
──「決め付けない」っていうのが、たむらぱんさんの表現の根幹になってるのかも。「ナクナイ」のサウンドメイクもこれまで以上にカラフルだし。
音に関しては、自分にとっての表現がけっこう確立できたと思ってますね。これからは今、自分の頭の中に入ってないものもどんどん取り入れていきたいんです。
──ますます情報量が増える方向に。
そうそう。人にも容量ってあると思うんですけど「あ、これで容量が増えそう」って思ったのが「ごめん」のレコーディングだったんです。アコーディオンとクラリネットをkyOnさん(Dr.kyOn)が演奏してくれて、サウンドアレンジもお願いしたんですよ。レコーディングも一緒にやったんですけど、そのときに「私、ミュージシャンだ」っていう扉が開いて。
──ここにきて?
そうです(笑)。いい演奏したときにミュージシャン同士が「今、良かったよね」ってアイコンタクトで確認する瞬間だったり。そういうのがすごく新鮮だったんですよ。
──今までは基本、1人でやってたわけですからね。
1人でアレンジをやったりしてると「今のは良いフレーズだった」みたいなところに意識が届きにくいんですよ、どうしても。kyOnさんはいろんな経験をしているし、そこから生まれるパワーもあって。そういう人に触れたことで「光が見えた」っていう感覚があったんです。希望が持てるっていうと大げさだけど、自分の中でイメージが広がった感じがあって。
──ミュージシャンの扉が開いた、と。
はい(笑)。あの、私はけっこうコーラスとかアレンジとか「聴こえなくても入れておきたい」っていうことがあるんです。曲を聴いたときにパッと前に出てくるわけじゃないんだけど「これを入れないと何か違う」っていう。「それって間違いなのかな?」って思ってた時期もあるんだけど、kyOnさんはいろんな音をバリバリ入れてるし、私が入れたい音もすごく尊重してくれたんですよね。で、「やっぱり正しかったんだ。大丈夫だったんだ」って思えて。そう、「大丈夫」って思えたのも大きいんですよね。
──そうですね。ちなみにkyOnさんとはもともと交流があったんですか?
知らなかったんです、実は。BO GUMBOSのDVDとかも初めて見たんですけど、すごくいいなって思った。「こういうのやりたい!」って。あとね、「ボーカルの人(どんと)が田村に似てる」っていう話もあって。
──あ、ホントだ(笑)。
(笑)。でも、そういう新しい経験ができたのはすごく良かったと思いますね。それがアルバム全体のイメージだったり、タイトルにもつながっていったので。
「ナシじゃない」って思えるようになった
──大事なアルバムになりましたね、たむらぱんさんにとっても。
うん、なったと思いますし、たむらぱんの音楽を「ナシじゃない」って思えるようになったのがすごいなって。「なんてポジティブなんだ!」って(笑)。でも「アリ」とは言いませんけどね。「ナシじゃない、かも」くらいがいいと思うので。
──うん、いいと思います。「決め付けない強さ」ってきっとあると思うし。
そうなんですよね。さっきも言いましたけど、決まりごとを決めないと、楽しめる要素が増えると思うんですよ、音楽でも日常生活でも。
──日常も楽しめてますか?
そうですねえ……まあ、ひょいひょいと(笑)。手相を見てもらったら「いろいろ考えすぎてる」って言われちゃいましたけどね。「もっとシンプルに物事を考えたら?」って(笑)。きっと私は、いっこいっこに意味を求めちゃうんです。やってることに意味がない、っていうのが怖いんじゃないかなって。
CD収録曲
- バンブー
- スポンジ
- フレフレ
- ラフ
- きづく
- ごめん
- ズンダ
- マウンテン
- SOS
- あいそう
- ストーリーテラー
- とんだって
初回盤DVD収録内容
たむらぱんワンマンライブ “SOSOSOS” @Shibuya O-EAST 2010.09.07
- バンブー
- ちょうどいいとこにいたい
- ハリウッド
- テレパシー
- マイホームタウン
- ハレーション
- アミリオン
- グランパ
- ストーリーテラー
- ちゃりんこ
- SOS
- 十人十色
- ラフ
- ゼロ
- 責めないデイ
- へぶん
- ぶっ飛ばすぞ
- ズンダ
- ジェットコースター
全国ワンマンライブツアー
「パンダフルツアー」
- 2011年2月12日(土)
東京都 代官山UNIT
OPEN17:30/START18:30
- 2011年2月17日(木)
福岡県 DRUM Be-1
OPEN18:30/START19:00 - 2011年2月19日(土)
大阪府 UMEDA AKASO
OPEN17:30/START18:30 - 2011年2月20日(日)
愛知県 名古屋ell.FITS ALL
OPEN17:30/START18:30 - 2011年2月25日(金)
宮城県 仙台CLUB JUNK BOX
OPEN18:30/START19:00 - 2011年2月26日(土)
新潟県 新潟LOTS
OPEN17:30/START18:30 - 2011年3月6日(日)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
OPEN17:30/START18:30
たむらぱん
作詞・作曲・アレンジはもちろん、ジャケットやWEBサイトのアートワークまで手掛けるマルチアーティスト・田村歩美のソロプロジェクト。2007年からMySpaceにおいて自ら楽曲プロモーションを開始。4カ月で1万人のファンを獲得し、18万PV、24万回のストリーミング再生を達成したことが大きなきっかけとなり、日本初の「MySpace発メジャーデビューアーティスト」として、2008年4月にデビューアルバム「ブタベスト」をリリースする。 その後3枚のシングルを経て、2009年6月に多くのCMやTV番組のタイアップ曲を含む2ndアルバム「ノウニウノウン」をリリース。その後、自身初となる全国ワンマンツアー「世界パンタム級ツアー」を敢行。東京は追加公演も含めてチケット完売という大盛況ぶりで幕を下ろした。さらに「ゼロ」のビデオクリップではイラストレーター田村歩美としてSTUDIO4℃とコラボレーションを行い映像制作にもたずさわるほか、shing02の楽曲にボーカルとして参加、ロッテ「Fit's」CM曲の歌唱など、多岐にわたる活動でその才能を発揮している。